11月17日号紙面:宮城県丸森町、大崎市鹿島台町に食料支援 初期段階後の支援の在り方模索 いのちのパン 恵泉キリスト教会仙南チャペル
宮城県丸森町、大崎市鹿島台町に食料支援 初期段階後の支援の在り方模索 いのちのパン 恵泉キリスト教会仙南チャペル
台風19号の大雨で中心部一帯が広範囲にわたり浸水した宮城県伊具郡丸森町。床上浸水2万棟弱で死者、行方不明者も出るなど、宮城県でいちばん大きな被害に遭ったが、この地域にも教会の支援が行われている。各地の教会の被害状況、祈りの課題と合わせて紹介する。【本紙取材班】
フードバンク「NPO法人いのちのパン」(大友幸証理事長)は10月18日、台風19号の大雨で中心部一帯が広範囲にわたり浸水した宮城県伊具郡丸森町に1・5トンの食料支援を行った。「いのちのパン」は保守バプ・塩釜聖書バプテスト教会の復興支援プロジェクト「ホープみやぎ」の後継活動で、地域貢献のための団体。量販店のコストコや塩釜市内にある練り物屋などから定期的に食料品を受け取り、必要なところに提供している。「今回は近隣の東松島市から、災害時に取っておいた災害備蓄品を大量にいただいたので、1・5トンもの食料品を送ることができた」と、大友氏は話す。
11月5日には、大崎市鹿島台町志田谷地地区に食料品と日用品を届けた。近くを流れる吉田川が氾濫し、200世帯ほどが約1週間冠水していた地域だ。「33年前にもここで『8・5』と呼ばれる大規模氾濫と冠水が起きた。当時は集落にも若い人たちがいて何とか復興できたが、今は住民の多くが高齢者で、生活再建の道は険しいと感じていると聞いている。今後も何かしらの形で、この地域の復興のお手伝いをさせていただきたいと願っている」と大友氏。「家を直せばお金がかかる。家を直すか否か、瀬戸際にいる被災者らが良い判断ができるように、行政が被災者のそういう思いを汲み取って支援をしてくれるように」と祈りを要請した。
丸森町まで車で30分の亘理郡亘理町にある恵泉キリスト教会仙南チャペルの大喜多義也牧師は、「いのちのパン」から丸森町に届けられた食料を町内の体育館に運び入れる作業に参加。移動販売のアルバイトで担当していた丸森町の山間部に被害があり、その地域に食料を届けている。「テレビでは丸森町の中心部が盛んに報道されていたが、山間部も道路が寸断されていたり、立ち入り制限されていて、物を調達するのが困難な状態。行かないといけないと決断した地域があったので、車で物資を運ばせていただいた」
山間部は傾斜があり、水が溜まりやすい場所とそうでない場所で被害状況は違うという。「今は食料や日用品を持っていく初期の段階が終わった後の支援の在り方を模索している段階。被害の大きさを目の当たりにして、何ができるだろうか、という思いが募っている」と大喜多氏。「長期的支援をしていく形について、今導きを求めているので、その道が開かれ、知恵が与えられるように」と祈りの課題を挙げた。
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神奈川県川崎市の多摩川沿いにある日基教団・宿河原教会(星野香伝道師)は、会堂内床上70㎝に浸水。周囲の住居に比べ低い場所にあり被害を受けた。会堂は築50年の平屋建て。教会員宅での被害はない。13日、星野伝道師は、外部奉仕で離れており、宿河原教会では外部奉仕者が説教を担当する予定だったが礼拝は中止。教会員ほか、SCF(キリスト教学生友愛会)や星野牧師がかかわるゴスペルクワイヤーなど関係者によって清掃活動をし、20日以降の礼拝は実施できている。教会ブログ(Shttp://shuku-kyoukai.sunnyday.jp/)やフェイスブックなどで情報を発信している。
冷蔵庫やエアコンをはじめとする電化製品、音響、電話機器、歴史資料や記録物、讃美歌集、書籍など破棄せざるを得なかった。「清掃をして外側からは大丈夫なように見えるが、建物内の水につかってしまった土壁は徐々に崩れが広がり、教会内の床のたわみも日に日に大きくなり、今ではいつ床が抜けてもおかしくない状態」と言う。
安全面を考えて、大規模な改修・改築が必要となる。「多額な費用が必要となる。礼拝出席は12〜15人、高齢者も多い小さな教会。どうぞお祈りに覚えていただき、またご支援ください」と祈り求めた。郵便振替口座番号00140・1・25955、加入者名 日本基督教団宿河原教会。
福島県いわき市の新川沿いにある日基教団・磐城教会(疋田充伝道師)は牧師館が床上浸水。牧師館が川側にあり、くるぶしの上程度浸水した。礼拝堂は床下浸水。元々やや傾いており、低い所のじゅうたんがにじんだが一部だったので、13日の礼拝は通常通りできた。「水は10月12日夜中の11時30分から12時ころに入ったようだ。川があふれる危険が予想されていたので夜9時30分には車を高台に移動。物品もめぼしいものは高い所に上げたので、物品の被害は最小限で済んだ」と言う。
教会員の知人の業者を通じて、会堂や牧師館の修理の見積もりを出してもらい、罹災証明書、日本基督教団の会堂共済を申請している。「いわき市内で浸水した中では被害は小さい方と思う。より多くの被害を受けた地域があり心配」とも話した。
千曲川の氾濫で流域に甚大な被害をもたらした長野県北部では、信徒宅が床上浸水に遭うなどの被害が聞かれた。
須坂市の同盟基督・須坂聖書教会の篠原哲二牧師は、「一人暮らしの教会員の信徒のお宅が全部つかった。その方の家の片づけを教会員で行った」と語る。「被害が局所的であった須坂市でも他の被災地と同じように今後の見通しに不安を覚えている人がいる。これから寒くなってくるので、被災者の生活が守られるように」と祈りを要請した。
長野市の同盟基督・長野福音教会の高橋宣広牧師は「豊野に住む81歳の信徒宅が2階近くまで浸水し泥だらけの状態。北信州キリスト教会災害対策室のボランティアがその方のお宅の片づけをしてくださっている。これから周りに支援を広げていく」と語る。「町内では、『聖書より重たい物を持たないのがクリスチャン』というイメージがあったが、スコップを持って泥出ししている姿を見てイメージが変わってきている。支援活動を通して福音が届いていないところに福音が届けられ、教会が認知され、やがてミニストリーになっていけるように。12月になると寒さが厳しくなるので、その前に被災された方々に次の生活の場所である仮設住宅、市営住宅が与えられるように、水につかった住宅を乾燥させ、次に工事の準備に入ることができるように」と祈りを要請した。