【新型コロナ関連】筑波キングス・面会禁止がストレス 礼拝の時間絶やしたくない

新型コロナウイルスの感染が日本でも広がり、その影響は介護福祉や医療の現場、ホームレス支援の現場にも現れてきている。その現状について、茨城県常総市でケアハウス、特別養護老人ホーム、障害者が働く作業所など、複数の施設を運営する(社)日本キングスガーデンの宇都宮和子理事長、神奈川県川崎市の「いきいきクリニック」の武知由佳子院長、横浜市中区の寿町でホームレス伝道を継続する単立・横浜カナン・キリスト教会の佐藤敏牧師に話を聞いた。

宇都宮氏に「以前と変わってしまったことは」と問うと、真っ先に返ってきた答えは「毎朝の礼拝が同じように持てなくなったこと」だった。特に高齢の利用者にとって、毎日の生活リズムが崩れることは、それだけで負担になるのだと言う。これまでは近隣の教会の牧師に協力を得て、毎朝9時から職員の礼拝をチャペルで行い、9時半から利用者はホールに集まって説教を聞くことができた。今は牧師が来ることを控えている。職員は賛美をして、担当者が聖書日課を読み、全員で聖書を輪読。利用者はホールには集まらず、各自の部屋で、担当の職員が館内放送を使って行う、お祈り、賛美、聖書日課、主の祈りに参加する。15分ほどの時間だが、他の職員はその時には業務を始めているので、利用者の周囲で一緒に賛美歌を歌うなどもしている。「ご利用者には、少しでもいつもと違わない生活をしていただきたいので、この習慣は絶やさないようにと思って続けています」
利用者へのケア自体は今までと変わらずにできているが、もう一つ気がかりなのは、外部からの面会が禁止になり、利用者が家族と会えないことだと言う。これは利用者だけでなく、その家族にとっても、精神的な負担になる。その不安を解消するのに役立っているのが、毎月発行しているニュースレターだ。その月の施設内での出来事や、その都度何人かの利用者の様子などを、写真とともに掲載している。それを、会計報告とその利用者個人のその月の記録とともに、毎月家族に送っている。「以前からやってきたことでしたが、面会ができない今、ご利用者とご家族、そして施設をつなぐものとして、とても役立っています」
作業所が運営していた喫茶室も今は閉じている。そこで作ったパンやお菓子は今までどおり販売しているが、お茶を飲みながらゆっくり食べることはできない。「ケアハウスのご利用者などがよく使ってくださっていて、毎日来るのが楽しみだった方もいらっしゃいます。皆さん、とても残念がっています」
デイサービスも、利用者のニーズが変わらずあるので、通常通り続けているが、発熱があるようなら利用を控えてもらっている。送迎の車の中では、マスクを着用してもらい、施設に来てからも、食事の時には通常より間隔を広く取るなどの対応をしている。
職員も毎日検温し、家族に発熱があれば4日間、本人に発熱があれば1週間、自宅待機する。その間の給与は補償しなければならない。現在問題は起きていないが、地域柄、公共交通機関の利用者はおらず、近隣の職員が多いのも、この状況下では感謝なことだと言う。「ご利用者の健康も、職員の健康も、みな神様に委ねています。1日も早く、普段の状態に復し、チャペルに牧師先生が来てくれるように。神様の御言葉を聞くことができる環境は大切にしていきたいです」