同僚の看護師から患者の様子を聞く蛭沼さん(右から2人目)

日本全国で新型コロナウイスが感染拡大している。東京では連日、感染者が2千人を超えるようになり、1月7日に緊急事態宣言発出後も数が下がる気配はない。感染者増加で、首都圏の病院はどこも満床状態に近づいており、医療現場も逼迫(ひっぱく)してきている。そんな医療の最前線で、年末年始も休みなくコロナ病棟の患者のケアに従事する聖路加国際病院(東京・中央区)の看護師、蛭沼恵美さん(東京センターチャーチ会員)に話を聞いた。

コロナ病棟で。感染しないよう完全防備

「乗り切れるかどうかわかりませんが、乗り越えるつもりでいます。乗り切るつもりで皆、頑張って働いています」。蛭沼さんは、力を込めてそう語る。電話口から聞こえてくる声は、とっても溌溂(はつらつ)とした元気な声だったので驚いた。「逼迫した中で看護師はみな疲れ切っている」という記者の想像は、見事に打ち砕かれた。「その明るさはどこから来るのですか」と聞くと、「信仰ですね」と即答した。

とは言え、「年末年始は、患者がぐっと増えた。退院したらすぐ入る」と言う。「患者が増えれば診る人が増え、重症患者も増える。でも、医療者の数は限られています。通常診療とコロナ患者の診療とのバランスが厳しくなってきており、予定していた手術を先延ばししたり、今までなら受け入れていた救急車も泣く泣く断らなければならない状況になっています。外来の患者を診つつ、病棟の患者も診ている医師たちも大変だと思います」

聖路加国際病院は、昨年1月に国内2例目を受け入れて以来、新型コロナウイルス患者を積極的に受け入れてきた。蛭沼さんは、そのコロナ専用病棟のアシスタントナースマネージャーだ。「世の中の状況に合わせた病院の役割を理解した上で、そのニーズに応えるべく専用病棟を安全に、そして最大限に機能させていけるかを管理者と共に考えています。また、同時に患者を受け持ちますので、現場のスタッフと共によりよいケアを提供できるように日々奮闘しています」

不安にかられている患者には、逆に明るく元気に接するという。「医療者、看護師が元気でないと、余計に不安になってしまうかなと思って。限られた入室時間と接触回数の中でも、日々の変化をよく観察し、良くなっている部分はしっかりお伝えし、『気にかけています』という思いが伝わりますようにと願い、患者さんの心に寄り添える者でありますようにと祈りながら接しています」

「お祈りしてほしい」という要請があれば、祈ることもあると話す。「コロナ専用病棟では入室する人を極力減らす必要があるので、時にチャプレンのような役割を担うこともあります。祈ってほしい方がいれば一緒に祈るし、励ます時に聖書の言葉をプレゼントすることもあります。私はそれを〝コロナ伝道〟と呼んでいるんです。御言葉や祈りによって生きる力が湧いたと言ってくださいますし、癒やされ退院していく姿を見る時は本当にうれしいです。神様をほめたたえずにはいられません」

祈りの課題としては、①長期戦なので、医療従事者の心と体が守られるように、②国のリーダーが、最善の選択ができるように、を挙げる。蛭沼さんも、本当に多くの人たちの祈りに支えられていると感謝する。「祈りと励ましがあるのは、クリスチャンの恵み。闇のように見える中でも、神様にある平安、希望、そして主が支えてくださるという確信があるので、元気に頑張れます」
今は厳しい状況だが、「コロナが収束し、神様の光と希望を見る1年になってほしい」と蛭沼さんは心から願っている。