東日本大震災から10年を迎えます。この災害を教会、個人はどのように迎え、痛みを覚え、祈り、考え、行動したか。

いのちのことば社で刊行された手記について、クリスチャン新聞の当時の記事から振り返ります。

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本書はミッション東北・郡山キリスト福音教会牧師、福島県キリスト教連絡会代表である木田惠嗣先生と日本同盟基督教団・徳丸町キリスト教会牧師、ふくしまホーププロジェクト事務局長の朝岡勝先生との対談集です。福島で育ち、福島でずっと牧会をしておられる木田先生が、東日本大震災とその後の福島第一原発事故後の福島で生活し、支援活動を続けてこられた中で考えてきたこと、感じたことを吐露しておられます。
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内容としては、最初に私たちが福島という土地を理解するための紹介、東日本大震災と福島第一原子力発電所事故のこと、教会協力によって推進された様々な支援活動、福島の現状と今後について、記されています。インタビュアーの朝岡先生が、私たちが知らなければならない情報をきちんと押さえて質問をしてくださっています。

この対談集を読みながら、福島で生きる方々、そして福島でキリスト者として生きておられる方々の思い、戸惑いや苦悩を木田先生が代弁しておられるように感じました。もちろん、言葉にすることのできない思いも多くあったと推察しますが、それでも読者である私たちに、福島の声を届けてくださっているように思いました。たとえば、分断や低線量被曝と健康問題やその不安などは、読んでいて心が痛む内容ですが、それでも私たちが目をそらしてはならない事実をしっかりと伝えてくれています。

福島の教会とクリスチャンが取り組んでいる課題は、いつ終わりが来るのかわからない、長期にわたるものです。だからこそ、日本の教会とクリスチャンは決して福島を忘れることがあってはならないと思います。福島の声を聞き、福島から学び、それを世界に発信すること、また福島の教会を支援することは、神さまが日本の教会に託された使命ではないでしょうか。その意味で、すべてのクリスチャンの皆さまに本書を一読していただくことを願います。(評・岩上敬人=インマヌエル狭山キリスト教会牧師)

2015年2月1日号から

『福島で生きていく』
木田惠嗣・朝岡勝共著
発売日:2014/12/01

 

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