「好きなんですね。仕事をしながらでも、結婚し子どもが生まれても、やっぱり描きたくなるんです」。神奈川県横須賀市在住の佐野朱美さん(60)=アッセンブリー・横須賀キリスト教会員=は、主婦として40年以上、絵を描き続けてきた。横須賀美術協会(YB)会員、中美神奈川会員でもあり、これまでYB公募展、横須賀市民展、中美神奈川支部展、全美展などに出展、受賞。08年の市制施行100周年記念公募展「横須賀」では自作「港と向き合う」が入選した。今年は念願の個展を開催。5月、「佐野朱美展」が神奈川県鎌倉市由比ガ浜のギャラリー「ジャックと豆の木」で開かれた。

 佐野さんの作品はアクリル画で、抽象的要素を含んだ具象画。個展では横須賀などの風景画を展示。今回は展示しなかったが、聖書を題材にした聖画もいくつか描いている。
 赤、橙、青、緑などの明彩色にグレーをうまく使った落ち着いた色彩で、見た感じは油絵のように見える。下絵の段階では、細かく計算をするなど構図にこだわり、絵を描くときは筆だけでなく、絵の具をつけたあとペーパーを使ってこすったりヘラで削ったりと、いろいろなテクニックを使うという。影響を受けた画家は、「横須賀出身の洋画家の島田章三氏と渡欧画家の奥村光正氏」と佐野さんは語る。
 小さい頃から絵が好きだった。本格的に描き始めたのは中学生の時で、「部活で先生が油絵を教えてくれました」。高校一年生の時、友達に誘われ、開拓したばかりの家の教会に行った。「すごく温かい教会で、先生も親切にしてくださった。そして、町内会館で行われていた礼拝に出席し、日曜学校のお手伝いもしていた」
 その後、誘ってくれた友人が教会を離れた。「どうしようかと迷った」が、自分は留まる決心をしたと言う。「もう少し聖書のことを知りたい、学びたいと思った。神様は一歩一歩私を導いてくれた」。やがて信仰決心した。
 高校卒業後、「美大に行きたいと思った」が父親の反対もあり断念。だが、その後も絵のサークルに関り、夫と結婚した後、クリスチャンの絵の先生との出会いもあり、その後も絵を描き続けた。「私を指導してくださった先生は、自分が描きたい絵を描かせてくれた上でアドバイスしてくれるので、のびのびと描かせてもらえました」
 2年ほど前から、個展を開きたいと願っていたが今年、遂に実現。個展開催期間中には、多くの絵の仲間や教会関係の友人が見学に訪れた。「今度はぜひ教会で個展を開きたい」と、夢は大きい。(中田 朗)