首相の靖国参拝に抗議:同盟基督
2013年12月29日
内閣総理大臣 安倍晋三 殿
〒151-0072 東京都渋谷区幡ヶ谷1-23-1
日本同盟基督教団「教会と国家」委員会
委員長 柴田智悦
安倍首相の靖国神社参拝に対する抗議声明
私ども日本同盟基督教団「教会と国家」委員会は、本年行われた靖国神社春季例大祭に169名、及び秋季例大祭に157名もの国会議員が参拝され、安倍首相ご自身も真榊を奉納されたことに対して強く抗議し、また8月15日の終戦記念日には首相、閣僚を始めとする国会議員の皆様が靖国神社を参拝されないよう求めて参りました。しかしながら、このたび、12月26日に安倍首相自らが「内閣総理大臣」として靖国神社を参拝されたことに対し、以下の理由で強く抗議いたします。
第一に、首相が「内閣総理大臣」の肩書で靖国神社に参拝され、国のリーダーとしての参拝であると言っておられることは、日本国憲法の政教分離原則に違反しています。日本国憲法第二〇条「信教の自由、国の宗教活動の禁止」には、戦前・戦中における国家と神社神道との結びつきによる反省から、「いかなる宗教団体も、国から特権を受け」てはならず、「国及びその機関は」「いかなる宗教活動もしてはならない」と規定され、国家と宗教との分離が明確に規定されています。従って、一国の首相が「内閣総理大臣」として報道陣に囲まれる中、公然と靖国神社を参拝されることは、決して「私的」な参拝ではあり得ず、明らかに「宗教法人靖国神社」という、特定の宗教団体に対する公的な政治的関与です。
首相は、憲法第九九条に定められている、公務員の憲法尊重擁護義務をこそ、率先して遵守すべきです。
第二に、靖国神社は、戦前・戦中は陸・海軍省に管理された国民を戦争に動員するための軍事施設であり、戦後も戦没者を「英霊」として「顕彰」しており、さらに、極東国際軍事裁判によって有罪判決を受けたA級戦犯を合祀していることからも、日本の侵略戦争を正当化していると言えます。そのような靖国神社を日本国の代表たる「内閣総理大臣」が参拝されることは、日本がかつての戦争を反省していないばかりか、美化していると捉えられかねません。その上、日本国憲法前文に謳われている「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し」という精神を否定し、「戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認」を宣言した憲法第九条をも否定することになります。特に今年は、矢継ぎ早に、国家安全保障会議の設置、特定秘密保護法の成立、愛国心が明記され武器輸出三原則を緩和し集団的自衛権の行使も視野に入れられている国家安全保障戦略が閣議決定され、普天間基地を辺野古に移設するための埋め立て申請を沖縄県知事に承認させるなど、戦争放棄を掲げる憲法の平和主義に反して、再び戦争のできる国になるための体制を整えているかのようです。その上で首相が靖国神社を参拝されたことは、今後、国のために戦って死に、英霊として祀られる人が生み出されるので