内閣総理大臣 安倍晋三様

           靖国神社参拝に対する抗議声明
 
わたしたち日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会は、あなたが12月26日に靖国神社に参拝したことに対し、厳重に抗議いたします。
そもそも一国の総理大臣が特定の宗教の施設で参拝することは、その宗教に肩入れすることになります。あなたが日本国憲法20条3項で言うところの「国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教活動もしてはならない」と定めた、政教分離の原則を知らないはずはありません。言うまでも無く政教分離の原則は近代国家が歴史を通して獲得した普遍的な基本的人権の一つです。日本政府を代表する立場にあるあなたは、神社でも寺でも、またキリスト教会であっても、参拝したり礼拝したりすることは憲法で禁じられているのです。
さらに靖国神社は265万あまりの戦没者と共に、A級戦犯14人をも「神」として祀っているところから、参拝は国内、国外に重大な問題を引き起こします。あなたは参拝直後の談話の中で「日本は、二度と戦争を起こしてはならない。私は、過去への痛切な反省の上に立って、そう考えています」と言われましたが、どこに過去への痛切な反省があるのでしょうか。これは参拝の行為とは明らかに矛盾するものです。参拝することによって、先の大戦を引き起こしたA級戦犯を免罪にすることになります。また死んだ兵士たちを顕彰することで、彼らを戦場に駈りたて、死なせてしまった当時の政府の責任を無いものとします。その行き着くところは、国民に向かって、「今度戦争が起きたら、英霊に続いて、戦え」と言っていることと変わりありません。
安倍首相、今回あなたは「靖国神社に合祀されない国内、及び諸外国の人々を慰霊する」とされる鎮霊社にも参拝しましたが、このようなごまかしは通用しません。鎮霊社の役割が慰霊であるとされているのに対し、靖国神社の役割は慰霊と共に顕彰にあるからです。
だから参拝は、不戦の誓いとなるはずがなく、幾多の戦争遺族をほんとうに慰めることにはなりません。
2000万人といわれる戦争犠牲者を出したアジア諸国が憤激するのは当然す。国際社会は、あなたの行為を深い憂慮をもって見つめています。
 私たちは、政教分離の原則を堅持し、日本が二度と戦争をしない、真実の意味での平和国家になることを求める立場から、改めて総理大臣の靖国神社参拝に反対し、今回のことを国内外に向かって謝罪し、これ以上靖国神社への関与をくり返さないよう強く要請いたします。

        2013年12月27日
日本キリスト教会靖国神社問題特別委員会
                    委員長 栗田英昭