[CSD]2008年6月1日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年6月1日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎「9条は世界の希望」——9条世界会議に各国から2万2千人参加
★日本宣教の源流 ほうふつ——光輝展にバックストン愛用の聖書を展示公開(6月4~8日まで東京・銀座教文館9F)

 = 2 面 ニュース=
★静岡地裁:HCC浜松教会主任牧師の暴力・セクハラ再認定——損害賠償は時効を理由に請求棄却
◎「福祉文化の創造を」——TCU福祉専攻開設式で阿部志郎氏記念講演
◎NCC:中国とミャンマーへの義援金募る
★<教界ニュース>日本宗教連盟、玉川神の教会
★<落ち穂>中国・四川大地震被災地での家の教会

 = 3 面 =
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[11]教会のサポート受けずに開拓伝道——牧会の行き詰まりが自給伝道の出発点
★<教会の実情を知る:集計データから>[15]閉塞感を感じる理由——新しい魂が生まれてこない
★<オピニオン>「本当の休息の場」に帰る喜び 記・瀬底 ノリ子

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★仕事そのものが伝道——芹野 与幸さん[中]([株]一粒社ヴォーリズ建築事務所経営管理室長)
★<更正の手がかり>[17]勇気ある撤退は会社を守る 記・梅津 善一(公認会計士)

 = 5 面 情報 =
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★DVD:「Struggle & Triumph」
★BOOK:『創造の確かな証拠』カール・ウィーランド著(Bible & Creation、525円税込)
★REVIEW:『アメリカにおける神の国』H・リチャード・ニーバー著(聖学院大学出版会、3,150円税込)評・東條隆進

 = 6・7 面 特集/阪神宣教座談会 =
★震災を通して変わった宣教——リーダーシップとイノベーションを

 = 8 面 特集/建国60周年を迎えたイスラエル =
★「歴史の出来事と聖書」——建国は神が約束に忠実であることの見本
★BPF最高責任者が10月来日——フェスタ2008で日本縦断
★『ユダヤ人はなぜ選民なのか』石川洋一著——教会・イスラエル双方の悔い改めと和解を提案
★「イエスを信じる」「ユダヤ人」は両立する——16歳少女が懸け橋に

 = 10 面 教会学校 =
★教勢が伸び悩む時代に神を見る——教案誌「成長」30周年記念大会
★<CS分級アイデア>フワッと飛び出しびっくり——牛乳パックのびっくり箱 記・石橋えり子

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★クリスチャン学生寮・東京ティラナスホールが創立50周年——継承される「3つの献身」
★会堂に舞う赤いバラの花びら——福音ルーテル東京教会でのペンテコステ礼拝
★<僕の子育てライフスタイル>[4]嫌なところを言ってごらん 記・堀井洋二

 = 12 面 教会 =
★偶像の町に福音届けたい——千葉県:ハーベストチャペル・みもみキリスト教会

◎「9条は世界の希望」−−9条世界会議に各国から2万2千人参加=0806010101

 世界各国で紛争の絶えない現代にあって、武力行使を永久に放棄し、戦力をもたないことを定めた日本国憲法9条は、日本が思う以上に、世界における貴重な条項のようだ。国内で改憲の動きが加速しつつある今こそ、改めて「9条」の意義を考え、世界の平和のために何ができるのかを考えようと、5月4日~6日、千葉市美浜区の幕張メッセで「9条世界会議」(同会議日本実行委員会主催)が開催された。キリスト教界からは日本YWCAや牧師らも参加。会期中は、国内をはじめ各国からのべ2万2千人が集い、平和への思いを新たにした。

 同会議では、世界各国からノーベル平和賞受賞者を含む世界の知識人や宗教者、平和活動家ら150人余りのゲストを招聘。初日は「9条を考える全体会」、5日には「9条を生かす分科会」、6日には総会を開催した。
 会議の初日には約1万2千人もの参加者が訪れ、主催者側によると3千人が会場に入りきれなかったほど。「全体会」では、9条を支持する海外ゲストの発言が相次いだ。ノーベル平和賞受賞者で、北アイルランドの平和活動家マイレッド・マグワイアさんは「憲法改正」の動きを憂慮し、「9条は60年にわたり世界に希望を与え続けた。9条を支持するのはあなたたちだけではない」と日本の参加者にエールを送った。また、同じくノーベル平和賞受賞者のワンガリ・マータイさん(ケニア・グリーンベルト運動)はビデオメッセージを通じ、「9条は人類全体が賛同すべきものだ」と訴えた。
 5日の「分科会」では、「平和を創る女性パワー」、「9条の危機と未来」などのシンポジウムや、国内外の市民団体によるイベントを開催した。日本YWCAは、「子どもたちに9条を伝えたい。9条の考え方を世界に広げ、戦いのない地球を子どもたちに残したい」との願いから、「核のない地球@9条—子どもたちに伝えるためのワークショップ—」を開催。日本が行ってきた戦争の歴史、憲法9条の誕生、平和な地球を願い歩み出した子どもたちの姿などをシナリオにまとめて参加者に配布し、朗読や音声、映像を通して「平和」を考えた。
 参加者の一人は、「平和のために私ができること」として「地球上どこでも、『私と同じ命が生きている』という想像力を広めたい」との思いを抱いたと語った。また、ワークショップに参加した教育学博士ベティー・リアドンさん(アメリカ)は「大切なのはこの後。子どもたちが今日感じたことをどのように深めるかです。このワークショップを通して、日本の方々が責任をもって歴史を見ているのだと感じました。アメリカ人として、自国でも9条を広める活動を展開していくことの大切さを感じました」と、感想を述べた。
 「9条世界会議」は幕張メッセのほか、5日に広島、6日に仙台、大阪でも開催された。

◎「福祉文化の創造を」−−TCU福祉専攻開設式で阿部志郎氏記念講演=0806010202

 「イエスの教えである隣人愛を実践する福祉の人材育成」を目指し、今年4月から開学した東京キリスト教学園(TCI)の東京基督教大学(TCU)神学部国際キリスト教福祉学科キリスト教福祉学専攻。その福祉専攻開設記念式典(TCU主催)が5月8日、東京・文京区の東京ガーデンパレスで開催。祝賀会と阿部志郎氏(横須賀基督教社会館元館長、神奈川県立保健福祉大学名誉学長)を招いての記念講演会が開かれた。
   ◇
 同福祉学専攻は、06年より準備が進められ、昨年12月28日に関東信越厚生局より介護福祉士養成施設の指定内示(認可)を受け、年明け1月より学生募集、入学試験を実施。5人の新入生を迎えてスタートした。 
 赤江弘之氏(TCI理事長)が、「来年はTCU開学20周年。同福祉学専攻は時代の要請に応え、この国の形を整える大事業の出発の時。キリストの心を心とする新しい福祉文化の創造を担う人材の育成を願っている」とあいさつ。倉沢正則氏(TCU学長)は「高齢社会の日本で、介護の分野にクリスチャンの奉仕者を送り出すことは、TCUの建学の精神。福祉の分野には、クリスチャンの主体的な参加が求められている」と語った。
 阿部氏は「人生―愛し、愛されて―」と題して講演。 「フィリピンは、日本兵によって多くの国民、兵隊が虐殺された場所、バターン半島のバンバラガという村に行った。私は戦後その村を訪れた、軍服を着ていない初めての日本人だった。『阿部』という名前がバンバラガ語で『フレンド』という意味もあり、会衆が歓迎してくれた。私にとって和解の体験だった」
 また、103年前の東北大凶作の時に824人の孤児を岡山に連れ帰った石井十次、西南の役で官軍の兵のみ救助され賊軍の兵を置き去りにするのを疑問に思い「負傷した兵に敵味方はない」と日本赤十字を設立した佐野常民、21歳の時神戸・新川のスラム街に身を投じ貧しい人々の救済にあたった賀川豊彦などを挙げ、「愛なくして人と人、民族と民族、国と家の間に和解は起こらない」と述べた。
 川勝堅二氏(元三和銀行頭取)の言葉「英国には、ボランティアはしてもしなくてもいいが、しないことが恥ずかしいと言わせる社会がある」を引用し、「恵まれた人が恵まれない人を見て、申し訳ないという思いに導かれる。恵まれた人の恵まれない人に対する和解の業が福祉だ」とも述べた。
 さらに緩和ケア病棟の「緩和(パリアティブ)」という言葉には「自分の上着を脱いで、痛み苦しんでいる人にかけてあげる」という意味があると説明。「コートを脱いだ人、かけられた人が共に心温められ、豊かにされる。そういう福祉文化、共同体をこの大学を通して創造していってほしい」と期待を込めた。
 阿部氏の講演を受け、同福祉学科長の稲垣久和氏は「阿部先生の福祉哲学を継承しつつ、私たちの新しい学科、教育、研究の出発点とさせていただきたい」と応答した。

◎NCC:中国とミャンマーへの義援金募る=0806010203

 日本キリスト教協議会(NCC)はミャンマーを襲ったサイクロン「ナルギス」、中国四川省を襲った四川大地震の被災者救援のため、救援募金を募っている。
 NCCわかちあい委員会(徳弘浩隆委員長)は、世界のキリスト教ネットワーク「ACT」を通じて緊急の支援金を送る。ACTはミャンマーで活動するキリスト教関係団体やミャンマーの教会と連絡を取って被害状況を確認し、世界の教会に向けて被害者への支援呼びかけの準備を進めているという。NCCはバプテスト教会、聖公会、長老教会、メソジスト教会、福音教会などが加盟するミャンマー教会協議会(MCC)とサイクロンで被害を受けた人たち、教会のため祈りを合わせたいと願う。
 またACTは、中国での唯一の国際ACTメンバー「愛徳基金会」を通じて四川大地震の被災者緊急救援活動を行う。具体的な支援要請は愛徳基金会の現地調査に基づいて行われる予定。
 同わかちあい委員会とNCC中国委員会(渡部信委員長)は、愛徳基金会を通して行われる緊急援助活動をサポートするため、地震被災者救援募金を送る。
 募金窓口は、郵便振替00180・4・75788、日本キリスト教協議会(記入欄に「ミャンマー・サイクロン救援募金」か「中国地震被災者救援募金」と明記)。

◎日本宣教の源流 信仰ほうふつ−−バックストン愛用聖書公開=08060101

[img align=right]http://jpnews.org/pc/uploads/img483a410781fa1.gif[/img] 日本宣教の源流の一つ松江バンドの創始者、英国国教会宣教師バークレー・フォウエル・バックストン(1860~1946)が愛用した現存する唯一の聖書が6月4日~8日、東京・銀座の教文館9階ウェンライトホールで開かれる聖句書道を中心とした作品展「光輝展」(ライトハウス主催)で特別展示される。

 この聖書はライトハウスの小田彰牧師が74年英国に留学した際、B・F・バックストンの四男ゴッドフレー氏宅で出合った。「父の深い聖書研究の生活がこれを学ぶ人の内に受肉し、みことばと御霊によるリバイバルの原動力となるように」と日本に持ち帰ることを託され、保管してきた。
 1895年4月に父トーマスが贈ったもので、99年12月から使い始めたと記されている。バックストン39歳。1890年に来日した第1期宣教に区切りをつけ、英国を中心に日本伝道隊(JEB)を組織した第2期の開始時期にあたる。
[img align=left]http://jpnews.org/pc/uploads/img483a412797d53.gif[/img] 精緻な書き込みは全巻に及び、章のタイトルや説教ポイント、数節ごとのコメントを黒赤青緑のペンで書き分けている。ウェスレーやスポルジョンの言葉、自身の祈りや黙想、人生の記録、とりなしを祈った日本の弟子や親族の名前もある。

 会場で全ページのコピーを開いて見ることもできる。開場は午前10時~午後8時。教文館Tel03・3561・0003。

(写真右:愛用聖書には家族や同労者パゼット・ウィルクス夫妻の写真、笹尾鉄三郎の名刺、家族のはがきも貼られている。右上は松江の自宅で若き日のバックストン夫妻。写真左:細かい几帳面な字で特に詩篇やローマ書などにはびっしり書き込みがある)