[CSD]2008年8月3日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年8月3日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
◎再び立ち進むために——新潟中越沖地震から1年 柏崎市内3教会で再起礼拝
★「人々の情けにさめざめ泣いた」——今も仮設住居生活の春川さん

 = 2 面 ニュース =
★LM-J宣教大会:「宣教の働きはバトンリレー」——退任・新任両宣教師が報告
★国際:ジンバブエの現状はアフリカへの道徳的挑戦
★<教会の実情を知る:教会ルポ>[19]地域社会の衰退が教会も影響——教会間の格差広がる
★<落ち穂>中国五輪の選手村と宗教施設

 = 3 面 教界ニュース =
◎日本聖公会初の審判廷へ——わいせつ牧師に終身停職求める懲戒申し立て
◎クリスチャントゥデイ問題:香港調査の信頼性を保証——学生組織の脱会者証言など
★オーストラリア:聖職者による性的虐待で教皇が謝罪の意
★<オピニオン>自己保身捨て神の法に服す審判廷を 記・根田 祥一

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★聖書で人の魂救いたい——澤田 輝彦さん[下](日本ギデオン協会全国理事)
★<更正の手がかり>[20:最終回]幻のある会社は栄える 記・梅津 善一(公認会計士)

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★「南京大虐殺」証言集の背景[中]記録された難民の生々しい惨状 記・加藤 実
★ヨルダン:北部で地下礼拝堂発掘——世界最古の教会か
★<精神障害と教会>[32]相談の大切さ——自分の中にある力  記・向谷地 生良

 = 6 面 全面広告=
☆信徒伝道者の養成をめざす——超教派 日本福音学校 2008年秋季学生募集
新宿校:Fax.03-3359-5791
千葉校:Tel&Fax.043-252-1490

 = 7 面 カウンセリング特集=
★「どこまでかかわるか」牧師の役割を明確に——丸屋真也氏
★自己開示と訓練で信頼し合える教会——斉藤 衛氏

 = 8 面 特集/北京オリンプック=
★北京五輪宣教は祈りから——開催地に世界14か国のクリスチャン結集
★五輪出場選手のあかし届けるツール——DVD「苦しみと勝利」を発行

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★MOVIECD:「アメリカばんざい」7月26日より公開(森の映画社、太秦配給)
★BOOK:『病院のベッドで学んだ人生の大事なこと』松野敏之著(中日新聞社、1,500円税込)
★REVIEW:『原子爆弾とキリスト教』栗林輝夫著(日本キリスト教団出版局、998円税込)評・友納靖史

 = 10 面 関西だより =
★単立教会の長所と弱点問う——近畿宣教会議継続プログラムでディスカッション
★<提言>脱・閉塞感[1] 牧師の経済的自立、信徒の霊的自立にカギ——
★文屋範奈&B-ROXY 初セッション

 = 11 面 クリスチャンライフ =
★接客とおして届ける神様の愛——東京・国分寺「シャインショップ」
★オーストラリア:教皇、現代の大衆文化や商業主義を批判
★<弱い私の自慢ばなし>[8]私のリアクションを変える 記・斎藤 望

 = 12 面 ひと=
★生きた神様の招きに応じ医療宣教へ——近藤 恵さん(LMI世界宣教会)

◎再び立ち進むために−−新潟中越沖地震から1年 柏崎市内3教会で再起礼拝=0808030101

 新潟県中越沖地震からちょうど1年の7月16日。最も被害が大きかった新潟県柏崎市では、日本ホーリネス教団柏崎聖光キリスト教会(片桐宣嗣牧師)、日本伝道福音教団柏崎キリスト教会(吉澤昭男牧師)、日本基督教団柏崎伝道所(臼田宣弘牧師)の3教会合同による「中越沖地震記念・再起礼拝」が、市内中心部の柏崎キリスト教会新会堂で開催された。

 柏崎市内では、今も震災で家を失った900世帯、2千500人あまりが仮設住宅で暮らしており、全壊・半壊した家の再建、一部損壊した家の補修が遅々として進まないなど、地震被害の影響が尾をひいている。そんな中、「霊肉共に再び立ち上がり、一歩足を進めていこう」との願いを込め「再起礼拝」が行われた。
 礼拝は、地震発生時の午前10時13分に1分間の黙祷の時をもって開始。会堂が全壊し今も牧師住宅で礼拝をもつ柏崎聖光キリスト教会牧師の片桐氏がメッセージをした。
 片桐氏は、ナチス強制収容所の極限状況を体験した心理学者V・E・フランクルの書名をヒントに「それでもイエスと」の題で語った。「生きることに意味があるように、苦しみ、悩みにも意味がある。その中で『イエス』と応えて生きる時、生きる意味を体験できる」
 その意味には・体験価値=何かを体験する、・態度価値=避けられない逃れない事実・現実にどんな態度をとるか、・創造価値=主にあって目標を目指して活動し創造する、の3つがあるとも。
 今回の地震を通して学んだ体験価値について片桐氏は、「『死の陰の谷においても守られた』こと」と語る。「地震発生時、教団の聖会出席のため新潟・妙高高原にいた。戻ってみると会堂は全壊、朝立っていたものが夕方にはつぶれていた。最初はなぜ平和でなく災いなのかと思った。しかし、1年間を振り返ってみれば、まさに主がすべてのことに先頭に立ち、しんがりとなって、私たちの必要を満たしてくださったという体験だった」
 また、態度価値については「後ろのものを忘れ、前のものに全身を向けつつ」(フィリピ3・13、新共同訳)を引用。「私たちは今、再び起き上がる(再起)だけでなく、再び帰る(再帰)、再び希望をもつ(再希)を求めていくべきだ」と述べた。さらに創造価値については「粘り強く、噛めば噛むほど味が出る『こしひかり』のような光輝くクリスチャン像を目指そう」と語りかけた。
 そのほか、各教団を代表して疋田國麻呂(日本基督教団関東教区総会議長、大宮教会牧師)、時枝哲也(日本ホーリネス教団信越教区長、松本キリスト教会牧師)、大内正(日本伝道福音教団理事長、富山福音キリスト教会牧師)の各氏が励ましの言葉を送った。
 同礼拝に先立ち、7月8日に柏崎市駅前の柏崎エネルギーホールで全盲のバリトン歌手、時田直也さんによる「第2回中越沖地震・再起支援コンサート・歌声に希望をのせて」(同実行委員会主催)が開催され、仮設住宅生活者など160人が集い感動を呼んだ。また、同コンサートは地元テレビのニュースや新潟中越沖地震特集番組でも紹介された。今年のクリスマスには森祐理さんをゲストに3回目のコンサートを、500人のホールを借りて開催する。臼田氏は「教会が被災地で何をできるかを考えた時、やはりコンサート。本当の意味で被災者に慰めを与えられるのは教会では」と期待する。
 3教会は、柏崎聖光キリスト教会再建のための義援金を募っている。【振り込み先】郵便振替00690・4・4638、柏崎聖光キリスト教会、▽北越銀行柏崎東支店普通口座492318、日本ホーリネス教団柏崎聖光キリスト教会 代表片桐宣嗣。

◎日本聖公会初の審判廷へ−−わいせつ牧師に終身停職求める懲戒申し立て=0808030301

 日本聖公会京都教区に属する奈良県の教会の元牧師(司祭)が80年代に、当時小学生だった同教会信徒の少女にわいせつ行為をしていた事件で、大阪教区など各地の聖公会の司祭2人、信徒9人が7月10日、京都教区審判廷にこの牧師を終身停職にする懲戒申し立てを提起した。京都教区審判廷には、加害司祭を擁護し被害者を非難した関係者らも含め、ほかに関連して4件の懲戒申し立てが続けて出された。
 審判廷は聖公会の法憲法規に基づき、法規違反をした信徒や聖職者をさばき、教団の秩序を維持するための教会の裁判。日本聖公会では1860年の創立以来、開廷された記録はない。
 申立書によると元牧師は、被害女性が小学4年生から高校3年生に至るまで礼拝堂ほかで「みだら」な行為を繰り返した。その性的加害の事実は、被害女性が提訴した民事訴訟において大阪高裁確定判決(05年7月、最高裁が支持)で認定されている。元牧師のわいせつ行為についてはほかにも数人の被害者が分かっている。申立書は、元牧師は行為を反復継続しており決して一過性の偶発的なものではないと指摘。マタイ5・28、・ペテロ2・2、ヘブル13・4などを引用し、聖書のみことばに背く「姦淫」「みだら」な行為であり、「教会共同体の秩序を乱す著しい不道徳」と主張した。
 また申立人らは、元牧師がいまだに加害事実を認めず、被害女性らに対し呵責すら表明していないことも問題視し、「聖書に示された姦淫であり、罪だとはっきり宣言すること…こそが悔悛機会と教会共同体和解形成のスタート地点」と認識。京都教区が元牧師を懲戒せず依願退職を認めたことや元牧師を赦すべきとする声があることを踏まえ、「放任主義や誤魔化しを行うことは、被申立人の著しい不道徳をこれからも助長させ、益々罪に陥れることになるだけ」と批判した。
 被害者の女性は元牧師に「大人の女性になるために必要なこと」などと言われ、被害意識のないまま性的虐待を耐えていた。成人後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状に見舞われ、性被害にあっていたことを自覚、加害司祭が職を退くべきだと考えて司祭と妻に退職するよう訴えた経緯がある。
 元牧師は、一時は被害女性に土下座し謝罪の手紙を書くなどした。だが退職に同意した後で否認に転じ、民事裁判では原告女性について「虚言癖がある」「精神病的状況」などと主張した。女性はフラッシュバックに苦しみ自殺未遂をした。
 民事訴訟では被害女性に対する500万円の損害賠償が認められており、聖公会内では元牧師が同裁判で社会的制裁を受けたのだから赦すべきだとの議論があるという。しかし申立人らは、元牧師には今に至るまで誤りを認める姿勢がないとして、審判廷には聖書が示す「偽証」や、事件後に聖公会関係の幼稚園理事長として退職金を受け取ったことに対する「盗み」、司祭按手において約束したことに違反する不道徳の責任も問うている。
 日本聖公会法憲法規によると、審判廷申し立ての時効は3年だが、申立人らは、被申立人の不道徳は過去に完了したものではなく、被申立人が謝罪しないことによって被害女性との和解は成立の見通しも立たず、社会復帰の事後対策は停滞せざるを得ないことなどを挙げ、時効は成立していないと見ている。
 被申立人は牧師を退職しても、現状では日本聖公会の司祭であり、日本聖公会以外で結婚式の司式など牧師の職に就くことが可能。「終身停職」の懲戒処分によっては、一切の聖職業務に携わることをとどめる狙いもある。申立人らは、教会として自浄作用が働くかどうかの岐路に立っているととらえている。

◎クリスチャントゥデイ問題:香港調査の信頼性を保証−−学生組織の脱会者証言など=0808030302

 クリスチャントゥデイ(CT)、基督日報(ゴスペルヘラルド)などのメディアや、イエス青年会などの学生伝道団体などを設立したダビデ張こと張在亨氏(大韓イエス教長老会合同福音牧師)が、信奉者たちに自分を「来臨のキリスト」と信じ込ませている異端疑惑に関連して7月8日から10日まで韓国基督教総連合会(韓基総=CCK)異端似非対策委員会の中心メンバーらが香港を訪れ、この疑惑について当地で調べている基督日報事件独立調査団や新興宗教関注小組の関係者と会見、その内容が7月14日、同行取材した韓国のネット新聞「ニュースNジョイ」に報じられた。
 同報道によると、香港を訪問したのは崔三更韓基総異端問題相談所長、シム・ヤンシク韓基総異端似非対策委員会副委員長、パク・ヒョンテク韓国基督教異端相談所長の3人。それぞれ所属教派(大韓イエス教長老会統合、大韓イエス教長老会合同、大韓イエス教長老会合神)の代表的異端専門家とされ、韓基総異端似非対策委員会専門委員でもある。
 3人は今回の訪問中、香港調査グループの仲介で、中国と香港のイエス青年会から脱会した証言者多数と面談した。証言者らは、イエス青年会に接触したきっかけ、そこで会った人物、張在亨牧師を来臨のキリストと思ったかどうか、その他の活動内容、脱会に至る経緯などを明らかにした。3人の異端専門家は、証言者らから証言資料に公証を付けて韓国に送付すると約束を得たという。
 独立調査団の背景と調査の過程、調査結果の報告を受けた異端専門家3人は、証拠資料の信憑性をどう保証できるかを指摘。これに対し、独立調査団委員長の柯廣輝弁護士は「独立調査団は香港教界の神学者、牧師、法律家など有識者で構成されている。私たちが持っている証拠に対して弁護士として法律的な責任も負うことができる」と答え、独立調査団の調査結果について公的信頼性を強調した。それと共に香港イエス青年会と中国イエス青年会を調査した資料、張在亨氏が設立したオリヴェット大学(米サンフランシスコ)のウィリアム・ワーグナー教授への事情聴取の資料などを3人に渡した。
 柯弁護士によれば、香港と中国のイエス青年会は張在亨氏との関係について立場を何度も変えるなど信頼できない態度を見せたが、ワーグナー教授は、全世界のイエス青年会と基督日報、クリスチャントゥデイなどが張在亨氏の影響力の下にあることを認めた。
 また、新興宗教関注小組の楊子聰氏はイエス青年会脱会者らの証言の信頼性について「証言者らはイエス青年会からの脅迫を受けながらも、真実を明らかにしなくてはいけないという決心を曲げていない」とし、「証言者らと協議して、最大限の公証が付けられるようにする」と述べた。
 香港独立調査団は4月10日、イエス青年会脱会者らの証言や調査資料に基づき、基督日報(ゴスペルヘラルド)とイエス青年会は「異端である高度な可能性が排除できず、深刻な憂慮と関心を表明する」と発表した。

韓基総異端対策委
本格再調査を示唆

 香港訪問を終えて崔三更氏は、「調査を始めた以上、韓国でも私たち3人を中心にこの問題への対応が始まるだろう」と述べ、今後、張在亨牧師来臨キリスト疑惑への本格的な対応を広げることを示唆した、とニュースNジョイは伝えている。