[CSD]2008年11月2日号《ヘッドライン》

[CSD]2008年11月2日号《ヘッドライン》
 = 1面 ニュース=
★イエスによって輝け!——Passion World Tour 2008
★アフガン:キリスト教慈善団体の女性射殺される——タリバンが犯行声明

 = 2 面 ニュース =
◎「難民受け入れで日本が変わる」——難キ連セミナーで滝澤三郎氏講演0801102020
★<教会の実情を知る:ルポ>[30]20人以下の教会が全体の2割強——歳月重ね地域から信頼
★<逝去>大柴俊和氏(前ベテル聖書研究委員長、81歳)
★<落ち穂>地域の光としての教会

 = 3 面 教界ニュース =
★「種が落ちて死ぬ体験を」——全国7ヶ所で聖化大会
★優しさある人間関係の豊かさ——東京・障碍者問題を考える集い
★アムネスティ「人権パスポート」制作——世界人権宣言から60周年
★<オピニオン>危機と変化の時代に立つ教会 記・藤掛 朗

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★聖書の言葉で従業員が一つに——米谷 義隆さん[下](さかえドライ[株]顧問)
★<信仰の中の日本語>[4]人は…引き離してはなりません 記・尾崎 善光

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★三位一体の神——一神教批判と多元主義を超えて 記・藤原淳賀
★<精神障害と教会>[38]幻聴さんとのつきあい方  記・向谷地 生良

 = 6・7 面 全面広告=
☆JTJ宣教神学校——だれでも、いつでも、どこででも、開かれた神学校
ホームページ http://www.jesustojapan.com/
 = 8 面 関西だより=
◎「ええ声」役立てて——闘病のなか音楽CDで医療の働きを支援0801102080
★宣教「いつかでなく今」——新生宣教団関西地区宣教報告会
★近放伝:悩み、批判…「本音」赤裸々に——若手牧師のそこまで言っていいん会
★<逝去>小西幸男氏(活けるキリスト高田一麦教会牧師、70歳)

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★EVENT:ミュージカル「GIFT~神さまの贈り物」(神奈川県:杜のホールはしもと、11月1日・2日に公演)
★BOOK:『愛するあなたに』ハ・ヨンジョ著(Duranno、1,600円税込)
★REVIEW:『闇を住処とする私、やみを隠れ家とする神』上沼昌雄著(いのちのことば社、1,890円税込)評・坂本献一

 = 10 面 法律特集/裁判員制度 =
★09年5月から裁判員制度始まる——突然通知が来たら?

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎「裁判員制度」教会はどう取り組む——キリスト者として問われる時代0801102110
★Attention:公衆電話と清涼飲料水の自販機の設置部分には課税? 記・櫻井圀郎

 = 12 面 ひと=
★和太鼓の魅力を伝えたい——柳川立行さん(和太鼓奏者)

◎「難民受け入れで日本が変わる」−−難キ連セミナーで滝澤三郎氏講演=08011020201

 難民・移住労働者問題キリスト教連絡会(難キ連)は「'08難キ連セミナー」を10月18日、東京・新宿区西早稲田の日本キリスト教会館で開催。前国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)駐日代表の滝澤三郎氏(国際連合大学客員教授)を講師に招いた。
   ◇
 難民とは、国籍、宗教、人種、社会的集団、政治的意見のために自分の国に迫害されるなどして他国に逃れた人たちのこと。UNHCRは、そんな難民を支援する国連の機関。UNHCRの援助対象になっている難民や国内避難民は3千700万人に上り、地球上に生活する全人口の200人に1人に当たる。
 日本では、04年に入管・難民認定制度が改定され、ここ数年難民申請者数が急増。その大半がミャンマー軍事政権から逃れてきたミャンマー難民だという。日本政府も昨夏以来、すでに外国に暮らす難民を一定の定住枠を設けた上で積極的に受け入れる「第三国定住」の導入を検討している。
 一方、難民認定されず不法滞在者となり、帰国もできない状態のまま、入国管理局(入管)への収容あるいは強制送還に怯える長期「仮放免」状態の難民が、苦しい生活を強いられている現状もある。難キ連は、そんな仮放免中の在日難民支援と第三国再定住支援、入管被収容者面会を通し入管処遇問題解決への働きかけに取り組んできた。
 滝澤氏は、「第三国定住難民受け入れと国内難民の現在とこれから」の題で講演。最初に「08年は日本の難民開国元年だと思っている」と宣言した。日本が難民を受け入れることは「経済的利害を超えた人道的義務。積極的に受け入れるべき」と強調。その点で第三国再定住計画の開始は、?より多くの難民の命を救える、?「難民鎖国」との批判を是正して国際的な連帯と責任分担で国際貢献できる、?難民問題に関心が集まることで国内での難民申請者処遇に対してもプラスに影響する、?難民コミュニティーの拡大など、社会的受け入れ環境を形成できる、?難民との接触を通し日本人の意識が変革される、とし、「これが実施されたら難民鎖国日本のイメージは一掃される」と述べた。
 さらに「難民には日本を変える力がある」とも。「難民はかわいそうな人というイメージがあるが、実は彼らは命がけで国を出、様々な困難を乗り越えてきた強い意志をもった人たち。そんな難民を通して日本人の意識が変わり日本も変わる」
 だが、他国に比べ、難民受け入れは世界130位とあまりに低い現状があり、難民へのサポートが弱い点も指摘。「難民のほとんどがやむを得ない事情から不法入国者、不法滞在者であるが、日本政府は人権より治安を優先し、難民を人権擁護の観点でなく法律違法の観点から見てしまう。政府の難民認定手続きも時間がかかる。このため『日本は難民支援には金を出すが難民は受け入れない』などのイメージが海外にあり、難民も日本でなく欧米に逃げる」と語った。
 滝澤氏の講演に先立ち、難キ連運営委員で移住労働者と連帯する全国ネットワーク共同代表、渡辺英俊氏(日基教団・なか伝道所牧師)は、09年導入の在留カードと国内難民問題について解説する中で、「入管が難民認定をしている点がおかしい」と指摘。「入管は出入国管理法に違反した人を国に帰すということが本来の業務だが、難民は超法規的な保護を必要とする人々。だから経験を積んだ入管審査官であればあるほど難民審査に不適格だ。難民審査は、政府から独立した機関がするべきだ」と述べた。
 質疑応答では「第三国定住を考える前に今、日本にいる仮放免状態の難民を支援するほうが先では」との意見もあった。

◎「ええ声」役立てて−−闘病のなか音楽CDで医療の働きを支援=08011020801

 声楽家の岡本篤子さん(日本基督教団・希望が丘教会員)が制作したチャリティーCD「bist du bei mir 神よ、あなたが私と共におられるならば」が好評だ。CDを聞いた人からの自由献金は、日本キリスト教海外医療協力会(JOCS)にささげられている。岡本さんは結婚直後に膠原病を発病、闘病しながら音楽活動を続けてきた。今回のCD録音はおよそ2年がかり。その間胃がんを発症して手術も受けた。「私の歌で人の役に立つことができたら」と企画したCDは、予想以上の反響を喜んでいる。

 岡本さんは26歳のとき発病した膠原病を抱えながら、教会や施設で歌ってきた。むしろ病気が原動力のように、どこででも歌った。夫の淳一さんの転勤で滞在したブラジルでは、日系人に歌を教え、テレビに出演してマダム・バタフライを披露した。「助けを求めている、すぐそばの人のため」に岡本さんは歌を歌う。神様からもらった「ええ声」は、必要なところで用いられている。
 CDは岡本さんも会員として参加しているJOCSの働きを啓発、支援するために制作し、友人知人に配った。価格は聞いた人が自由に決めて、同封の振込用紙でJOCSに振り込んでもらうことにした。収録曲は宗教曲や日本歌曲、ドイツ歌曲など全18曲。「このCDは歌の自分史」と言うように、1985年、40歳のときに東京の教会で歌ったものや、97年、00年のときの歌も収録され、そのときどきの歌声と思いを伝える。
 「日本人にはめずらしい明るいメゾソプラノ」と評された歌声。「言葉に合った声で、詩とメロディーを伝えるのが、歌う者の役目」と確信し、歌い続けてきた。技巧だけではなく、気持ちの入った詞と曲と声の合体が人の心を打つ。それが実現できたのが、今回のCDだ。クリスチャンも、そうでない人の心もとらえて、「勇気をもらった」、「癒された」と、電話や手紙で連日喜びの声が届いている。
 CDの申し込みは大阪シャロームTel.06・6762・3020。

◎「裁判員制度」教会はどう取り組む−−キリスト者として問われる時代=08011021101

 10面でも紹介した裁判員制度。この制度を、「教会で考えよう」と取り組み、学んでいる教会がある。東京・北区のアッセンブリー・神召キリスト教会(山城晴夫牧師)だ。昨年と今年2度にわたって裁判所関係者を講師に招き、学びをした。今年の学び会の様子を紹介するとともに、同教会の酒井勝さん、鵜川貴範さん、丹澤一歩さんに、会に参加した感想を紹介する。

 同教会で、裁判員制度について考えようとの意見が出たのは昨年のこと。裁判員制度開始が1年後に迫ったこともあり、「教会員で裁判所関係機関に勤めている人から、司法関係者を一度教会で招いて話を伺ってみたらどうかと壮年部に提案がありました」と酒井さんは語る。
 そうして行われた昨年の会では、DVDを見て講師の説明を聞く程度だった。「しかし、ただ見て終わりでは、何の意味もないということで、今年も招きました」。今年の学び会では、DVDを見るだけにとどまらず、質疑もさかんに行われ、それに答えるかたちで会が進められた。「昨年の学び会のあと、皆がそれなりに意識をもったようで、教会での継続的な学びはなかったものの、各自の関心は高まっていました」
 今回とくに、教会員が話題としたかったのは、「さばいてはならない」という聖書の教えとの整合性と「憲法に定められている思想・信条の自由が侵されないか」という点だったという。
 DVD鑑賞後には、教会員と講師の間で質疑応答が行われた。「裁判員自身が、証拠調べや現場検証にどれだけかかわれるのか」との質問に対し、「ある程度争点が絞られてからの評議になるので、非常に少ないのでは」と回答。さらに、思想・信条の自由とも関連して「『さばいてはならない』という聖書の言葉もあり、戸惑う」との意見には、「キリスト教の中でもカトリックからプロテスタント各教派まで幅広い解釈があり、一つに判断をすることが難しいけれど、やはり自分は関われないと判断した場合、裁判官との面接の時に伝えることをお勧めする。また、『殺してはならない』という聖書の言葉と、死刑の判決にもかかわらなければいけないということは、非常に重く、クリスチャンにとって負担なことだと個人的に思う」と吐露した。
 そのほか、「警察や検察側の捜査内容がどれだけ明らかになるのか」との点については、「裁判で出される証拠については検察官の力量と判断に委ねられているので、どこまで可視化できるかはわからないのが実情」と返答。これに対して、「裁判では99%が有罪といわれているが、限定的な証拠だけで裁判員が判断するのでは、その点も変わらないのでは」と懸念の声も聞かれた。
 また、守秘義務についても「生涯、守秘義務を守り通せるのか、漏れないという保障はない」など不安の声も多くあった。しかしその上でなお、「犯罪がなぜ起きたのか、地域で話し合う場がない日本において、老若男女が話し合う機会となれば。今、主要先進国では、市民が司法に参加する動きがある。そういった流れも理解しつつ、地域の防犯や再犯率の低下のために、市民に参加していただきたい」と話を締めくくった。