[CSD]2009年8月30日号《ヘッドライン》

[CSD]2009年8月30日号《ヘッドライン》

 = 1面 ニュース=
◎人権教育を現場へ発信——全国キリスト教学校人権教育研究協議会
★8・15世代超えて祈り合う
★参加者3割が信徒——第5回日本伝道会議 登録締め切り迫る

 = 2 面 ニュース/各地で8・15集会 =
◎核廃絶の機運に期待——千鳥ヶ淵 平和祈祷会で関田氏
★平和遺族会全国連絡会——侵略正当化「田母神論」9条支持の世論が止める
★すべての民の平和を祈る教会であれ——改革派西部中会
★日韓関係史から「平和」——関西クリスチャン罪責告白者会
★イラクで相次ぐキリスト者殺害
★<落ち穂>伝道の動機

 = 3 面 教界ニュース =
★キリストの大使としてデビュー——深イイ話の企画ユニット「新撰組リアン」関義哉さん
★過ちには「個」の責任がある——沖縄ハンセン病者の視点から
★同性愛容認で米聖公会は準会員扱いに?
★<オピニオン>「つなげる」ことは大切 記・藤掛 明

 = 4 面 ビジネスパーソン=
★受変電設備機器リース業展開——菅原 進さん[中](菅原電機産業[株]代表取締役社長)
★<ストップ・ザ・不祥事>[9]「さあ、再建に取りかかろう」 記・楠田高久

 = 5 面 牧会/神学/社会=
★第5回 日本伝道会議の論点[10]青年——彼ら自身の中にある危機にこそ福音が必要
★創造論博物館が無神論者を招待
★「イスラム教との関係重視」——WCC次期総幹事候補
★「ハリー・ポッターと謎のプリンス」をバチカン紙が賞賛
★伊地震被災地で珍しい聖画発見
★<精神障害と教会>[58] 発想の転換——弱さ、苦難が秘める可能性に 記・向谷地 生良

 = 6・7 面 特集/第5回 日本伝道会議目前 =
★各分野で「もっと広く、もっと深く」——教会・教団間協力の壁をどこまで低くできるか
★地域的協力の可能性模索
★アイヌ宣教の歴史と課題——開催地委員会がシンポジウム
★日韓教会の宣教協力シンポ——備えるべき課題は何か探る

 = 8 面 全面広告=
☆日本プロテスタント宣教150年 関西大会
9月21日(月・祝)神戸ポートピアホール

 = 9 面 情報=
★<情報クリップ>催し情報・放送伝道ハイライトほか
★CD:「3種のサクソフォンによる 聖歌・讃美歌の世界」岸義紘(ホザナミュージック、2,000円税込)
★DVD:「立ち上がれ」ハレルヤミュージック(2,000円税込)
★BOOK:『筆とペンでなぞる美しい聖書の言葉』尾崎洋子著(いのちのことば社フォレストブックス 1,575円税込)
★REVIEW:『ヨーロッパ宗教改革の連携と断絶』森田安一編(教文館、2,940円税込)評・正木牧人

 = 10 面 関西だより =
★うつから光へ導かれて——カラーコンサルタント 棚橋淳子さん
★ラジオドラマ仕立てで福音——関西のFM初の福音番組放送開始
★人に寄り添い希望を示す——大阪聖書学院セミナー
★福音落語「蘇生の息子」完成披露——露のききょうさん

 = 11 面 クリスチャンライフ =
◎教会が休息と和みの場に——「おもてなしの心」伝える紅茶教室
★<痛みに中に生きる>[28]若者編 「社会に出たくない」学生増加?

 = 12 面 ひと=
★「絶望のどん底で絵を始めた」——画家 タク・ヨンジュンさん

◎人権教育を現場へ発信−−全国キリスト教学校人権教育研究協議会=0908300101

 1948年に「世界人権宣言」が採択されてはや60年。いまだ戦争、民族差別、経済格差、そしてごく身近な生活に至るまで、人権侵害の根ははびこっている。「全国キリスト教学校人権教育研究協議会」(関田寛雄会長、全キリ)は94年、キリスト教学校や教会での人権教育の広がりを目指して発足。その原点とも言える「人権教育セミナー」が、このほど20回目を迎えた。今年は8月6~8日、東京都千代田区の女子学院、在日本韓国YMCAで開催され、全国各地から約100人の教職員らが参加。20年のこれまでを振り返り、今後の課題を話し合った。

 1990年8月、大阪市東住吉区の「矢田解放塾」で、キリスト教主義学校に集う教職員らが交流集会を開いた。教育現場での痛切な経験から、「部落」解放運動と在日朝鮮人の人権問題に取り組んできた教職員たちだ。当時公立高校の教員だった藤原史朗氏(全国在日外国人教育研究所所長)は「解放教育」について発題し、この交流会が、キリスト教界において人権教育の先駆者的な働きとなるよう訴えた。
 交流集会はその後毎年開催され、「人権教育セミナー」となった94年に全キリが発足。テーマも「部落」差別、民族差別に留まらず、障がい者、性差別、セクシュアルマイノリティー、「日の丸・君が代」強制・愛国心教育など、徐々に広がっていった。
 毎回、教職員、キリスト者、学生など様々な参加者が全国各地から参加する。「セミナーで当事者の方の証言を聞くことで、私自身の無知、偏見、差別意識に気づかされてきました」と参加者の1人。人権に関する様々な問題を知り、考え、本音を話し合う。問題意識を同じくする「仲間」に勇気と励ましをもらえた、という人は少なくない。
 全キリでは、これまでのセミナーの到達点を確認・共有し、「若い世代」とともに今後取り組むべき課題を考え、広くキリスト教学校へ発信することを目的に「記念論集」を発行した。今年のセミナー初日夜の「全体会」では、論集をもとに20回を振り返り、「部落」解放、民族差別、性差別、平和教育など、様々な分野からの課題が提案された。全キリ運営委員の一人、佐藤信行さんは「20回を迎えた現在、これらの課題が今なお私たちの『宿題』としてあることを、認めざるをえない。しかし、…少しずつ、着実に、人権教育の課題をキリスト教学校の教育現場へ発信することができたはずである。そのことを、心から感謝したい。…私たちはこれからも、学校の子どもたち、それぞれが困難な問題を抱える子どもたち一人ひとりに向き合い、日本社会、世界各地のさまざまな友人たちと手をつなぎ合いながら、希望を見失うことなく未来を語っていきたい」と論集に寄せて語った。
 「記念論集」は、1冊500円で希望者に頒布している。取り扱い先=NCC教育部Tel&Fax. 03・3203・0731。

◎核廃絶の機運に期待−−千鳥ヶ淵 平和祈祷会で関田氏=0908300201

 8月15日、千鳥ヶ淵戦没者墓苑で開かれた「平和祈祷会」(8・15東京集会実行委員会主催)。説教者の日基教団・神奈川教区巡回教師の関田寛雄氏は、平和について3つの観点から語った。
 1つは、米国オバマ大統領のプラハ演説。「史上初めて原爆を投下したアメリカの『道義的責任』を述べた大統領はほかにいない。力と勇気を与えられた演説だった。平和を求める第一歩は核廃絶。これを心に刻みたい」と核廃絶に向けた機運の高まりに期待を寄せた。2つ目はオバマ大統領の発言の背後にキング牧師の十字架があるという見方だ。関田氏がキング牧師に送った手紙の返事には、「非暴力で闘うことですでに道徳的に勝利している。自分の生涯は思いがけなく終わることがあるかもしれないがこの運動は続く。なぜならそれは正しいから」とあったという。永遠のいのちとは何か。それは時間で終わるいのちに限定されない使命に生きるいのちだと実感した。終わらない希望を心に刻みたいと語った。3つ目は、日本を巡るアジアの状況。「先のピースリボン裁判では、佐藤美和子さんが『君が代』伴奏を強要されたことが合憲と判決されたが、たとえ敗北しているようでも、キリストの十字架を負い続け、神の勝利を信じるゆえに闘い続けている。だからこそ、戦争をあおる論調には抵抗しなくてはならない。ミサイル発射など東北アジアの緊張関係はあるが、敵意をなくし、平和を求める運動に身を賭して神の勝利をいただくこと」と力強く語った。
 その後、希望や平和、正義などのテーマに分かれて祈った。

◎教会が休息と和みの場に−−「おもてなしの心」伝える紅茶教室=0908301101

 「紅茶」と聞くと、どんなイメージを抱くだろうか。コーヒーに比べて、少しゆったりと時間をかけていただくイメージを抱く人も多いだろう。紅茶を気軽に親しんでもらおうと、紅茶セミナーを開いている教会がある。東京都小金井市にある貫井南町キリスト教会(橋本洽祚牧師)だ。教えるのは、日本紅茶協会のティーインストラクター資格をもつ牧師夫人の美智子さん。紅茶のスペシャリストが教える「紅茶のイロハ」とは?

 月に1度、教会で開かれる紅茶セミナーは、今年の5月から月に1度のペース。季節に合わせた紅茶の淹れ方、楽しみ方だけでなくそれに合わせたケーキ作りも学べるとあって、評判は上々だ。

 以前、小学校教諭をしていた美智子さんは、英語教育の教材開発研究のために、イギリスを訪れる機会があった。そこで紅茶に出合ったのが、10年ほど前だ。現地でアフターヌーンティーを学んだり、日本でもティーコーディネーターの資格などを取っていたが、個人の学びの域だったという。そして3年前、家族の介護のため早期退職をした。仕事の第一線は退いたが、「今の状況でも役に立てることができないかなと考えていました」
 その時、紅茶を通しての出会いや交流の場面が思い起こされたという。「日本にも『茶』の文化があるように、イギリスにも長い歴史の中で育まれた『紅茶』の文化があります。様々な国のお茶の文化に共通するものは『人をもてなす心』ではと感じていました」
 もてなしの心の背後にある「思いやり」や「愛」はキリスト教の教えとも相通じる。
 「それはぜいたくなお茶会である必要はなく、仕事の手を休め、家族のために淹れる一杯のお茶であったり、友人と楽しむ和やかなお茶のひと時であったり、イギリスの人々がよく言う『A nice cup of tea』。これを教会で地域の人たちと分かち合えたら」。その思いは教会員の理解と共感を得られた。温かな祈りと心強い励ましが力となりティーインストラクターの資格を取り、教会での紅茶セミナー開講に至った。

 7月は3回目のセミナーだったが、全コース参加者できない人に配慮し、セミナーの始めに「ゴールデンルール」と言われるホットティーの淹れ方から教えてもらえる。この日は暑い季節に合わせてアイスティーの淹れ方も教わった。たとえば、果汁を入れて2層の彩りを楽しむセパレートティーは、どのようにしたらきれいな層が生まれるのか、理屈がわかれば決して難しくない。
 「紅茶を日常で楽しみ、寛ぐこと」が目的なので、家庭の台所にある用品で代用できる知恵を教えてもらえるのも、参加者にとってうれしいところ。参加者は「家でも試してみたい!」と身を乗り出して聞き入っていた。その間にも、基本的で大切なマナーや、茶葉の種類なども教えてもらえるので、知識と知恵が同時に身につけられる。
 一方、ハーブや英国菓子の研究家・北野佐久子さんに師事し、「こちらの方がキャリアが長い」というケーキ作りもバリエーション豊富に教えてもらえる。この日習ったアップルクランブルケーキは、子どもと楽しみながら作れてしかも簡単な作り方も紹介され、「家で作る!」との感想があちこちで漏れた一品だ。
 参加者の多くが、クリスチャンではなく、近隣の人たちで「教会に初めて足を踏み入れた」という。「『日曜日に礼拝があるから来てください』と言っても、なかなか人が来てくださらない。どうしたらいいかと考えていたときに、退職や紅茶を学ぶ機会が重なって、これを神様のために用いていただきたいと祈りました。神様が道を開いてくださり、今、機が熟した気がします。教会の行事も直接紹介できて、参加している教会員とも交流できるので、伝道の機会にもなると思います」と美智子さんは語る。
 1時間半ほどの間に、初対面の参加者も笑顔で話していた。紅茶のリラックス効果に加え、セミナーの随所に感じられる「おもてなしの心」が気持ちを和ませたからだろう。敷居の高さも近寄りがたさも感じない、「安らぎ寛げる教会」。参加者らはそんなイメージも、レシピと共に持ち帰っていった。
 次回は9月5日午後2時から。「アフタヌーンティーの歴史とイギリスのティープレイス」がテーマ。費用は1回千800円
問い合わせ=Tel&Fax.042・388・0075、Email:m_m1125@live.jp