[CSD]2002年4月21日《ヘッドライン》

[CSD]2002年4月21日《ヘッドライン》  = 1面 =
◎大衆伝道者・本田弘慈氏が逝去——走り尽くした「御国の人間国宝」
★キリスト教系映画誌で「ロード・オブ・ザ・リング」が優秀映画賞に
★イスラエル:ベツレヘムの生誕教会炎上でまた犠牲者
★バチカン:「クローン人間は医学悪」
★<青天幕に射した光>[3]「帰ることないよ」と抱きしめられ
★<落穂抄>敵意の壁を取り除くのは主イエス

 = 2 面 =
◎有事立法に反対を——キリスト者平和ネットなど意見広告へ
★平和をつくり出す宗教者ネット発足
★JEA総主事交代?:福音主義は現代の諸問題に答えうる
★「差別は罪の原点」——部落問題・人権教育テキスト「いばらの冠」新版を出版
★ジンバブエ:教会監視団は大統領選「不正」を指摘
★<世界の出来事フラッシュ>ベトナム、インドネシア
★<論説>ワークシェアリングと隣人愛——人格的応答者としての人間観 記・稲垣 久和
★あかし文学賞:キャンドルの灯火[3] 作・島田 裕子

 = 3 面 聖書特集=
★日本聖書協会が「10カ国語 ルカによる福音書——ワールドカップ限定版で伝道用に
★5月に韓日対照聖書も刊行——ワールドカップ記念
★ビデオ「手話訳聖書」の刊行加速か——9月から日本聖書協会が協力
★三省堂がCD-ROM版「聖書思想事典」発売
★<本の紹介>「英語聖書の歴史を知る事典」A・ギルモア著(教文館、3000円)
★聖書同盟が「基本聖句集」キャンペーン中
★無料でSOL聖書通信講座が日本でも受講できる
★トッパン印刷博物館で「ヴァチカン教皇庁図書館展」——聖書写本から印刷黎明期まで
★東京で「聖書を読む会」セミナー

 = 4 面 特集・教会形成=
★「自然に成長する教会」アンケート結果レポート
★賜物見つけ仕え合う——成長の鍵を握る信徒育成教材「ネットワーク」
★ハウスチャーチムーブメントとは何か——RACネットワークの取り組み
★山陰で教会形成を学び合う若手牧師らの超教派「牧師懇談会」
★教会形成リトリート案内

 = 5 面 =
◎エイズ孤児と共に生きる——タイ・APO孤児の会の吉田 登さん
★<召天>召しへの忠実がつくった希有の伝道者 本田弘慈氏
★「サムソンとデリラ」がビデオに
★<召天>片岡伸光氏(元キリスト者学生会総主事、本紙論説委員)
★イスラエル:生誕教会の鐘の音消える

 = 6 面 生活のページ=
★<あの日のメッセージ>「召命」って何だろう? 記・脇 英親
★<真っ向勝負>質問:別れた彼女がいる教会、気まずい 回答者:平林 佐知子
★<今週の本棚>『マーティン・ルーサー・キング自伝』クレイボーン・カーソン著(日本基督教団出版局、5500円)
★<今週の本棚>『神のドリームチーム』トミー・テニー著(生ける水の川、1600円)
★<今週の本棚>『聖霊について教えて下さい』<上>チェック・スミス著(プリズム社、1200円)
★<情報クリップ>催し情報ほか

大衆伝道者・本田弘慈氏が逝去−−走り尽くした「御国の人間国宝」=0204210101=

日本を代表する大衆伝道者・本田弘慈氏(日本福音クルセード主幹)が4月6日午前7時41分、90年の生涯を閉じた。日本人で初めて巡回・大挙伝道に専心する伝道者となった1956年から2000年まで45年間に奉仕した伝道会は4千42回、うちクルセード(大挙伝道)549回で、その会衆150万2千430人、求道決心者12万9千724人、献身希望者6千543人、子ども集会参加者8万1千22人を得た。(関連記事5面)
 今年3月19日に体調の不振を訴え、自ら望んで東京・板橋区の誠志会病院に入院、多発性脳こうそくと診断された。長年本田氏の健康管理にあたり信頼していた岡田信良院長の手厚い診療を受けたが、日増しに容体は悪化し帰らぬ人となった。
 葬儀は、伝道者として留守がちだった本田氏を支えた家族を中心にと配慮し、家族葬(密葬)として4月8日、9日、本田氏がバックストン聖会で説教した日本基督教団渋谷教会を式場に営まれた。親しい教友、後輩、信徒、同労者らが恩師の本田氏を追憶の辞でしのび、救霊の情熱に燃え、かつ人間味あふれた「伝道者・本田弘慈」の素顔が浮き彫りにされた。
 前夜式で式辞を述べた中島秀一氏(日本イエス・キリスト教団荻窪栄光教会牧師)も、17歳のときに本田氏の伝道説教で信仰決心をした一人。今年正月に本田氏を訪ねた際のエピソードを紹介した。
 本田氏は「見よ、わたしは新しい事をなす」というイザヤ書43章を読むように求め、みことばに託す思いを3ポイントで?新しい求道者、新しく救われる方が起こされるように?新しくきよめられる方が起こされるように?新しい献身者が起こされるようにと話した。「魂は救霊心にますます燃えていらっしゃると思わされました。もし今、本田先生がここに立ったら、このみことばを語るのではないか」
 中島氏は黙示録3章でラオデキヤの教会が「なまぬるい」「熱心になって悔い改めなさい」と叱責されている記事から、「日本の現状はリバイバルにはほど遠い。このままでいいのかと先生が励まして下さるような気がする」として、本田氏が聖会だろうが結婚式だろうが葬式だろうが「あなたは救われていますか」と、いつでも悔い改めを迫る説教者であったことをしのんだ。
告別式の式辞では盟友で日本福音クルセード委員長を務めた羽鳥明氏が、今年も日本中央聖会で共に奉仕する予定だったことを話し、「本田先生はあたかもスパイクシューズをはいたまま天国に駆け上るかのように意気盛ん」だったと形容した。昨年の同聖会で本田氏は、講壇に立って用意した説教を忘れてしまったが、ただ10分間心にあるみことばを語ると、全員が献身の思いをもって立ち上がったという。「それを見たとき、本田先生は神が日本に与えて下さった御国の人間国宝だと思いました。大衆に語り愛の網打ちをすることができなくなったことは、どんなに残念であったか」
そして第2テモテ4章を引き、「自分の命を注ぎの供え物として主の前にささげたパウロのように、本田先生は覚悟があった」として、だれにでも単刀直入に福音を語って戦いをりっぱに戦いぬき、高齢になっても日本縦断伝道を敢行して休むことなく走るべき行程を走りつくし、きよめと祈りと、時が良くても悪くても福音を宣べ伝える信仰を守り通した、と評価。「全人格を網羅した献身に、奥さんも子どもさんも巻き込んだと思う」と家族の労をねぎらった。
本田氏が関係した諸団体による合同葬(追悼記念礼拝)が、4月26日午後1時から、東京・新宿区百人町のウェスレアン・ホーリネス淀橋教会で行われる。

有事立法に反対を−−キリスト者平和ネットなど意見広告へ=0204210201=

政府が今国会に有事法制関連3法案を提出することを受け、その動きに抗議し、有事法制に反対の意思を表明しようと4月3日、「平和を実現するキリスト者ネット」、日本山妙法寺、陸・海・空・港湾労組などが呼びかけ、国会前で反対行動を行った。国会議員や、日本キリスト教婦人矯風会などキリスト教団体、労働組合、市民団体から約600人が集まった。
 また、有事法制の動きに関連し、「平和を実現するキリスト者ネット」、「平和をつくり出す宗教者ネット」(別記事参照)、市民団体の集まりである「許すな!憲法改悪・市民連絡会」の3団体は、5月3日の憲法記念日に、一般紙で「有事法制に反対し、平和憲法を生かそう」と意見広告を掲載し、国民や国会に伝えようと、広く賛同者を呼びかけている。
 呼びかけに際して「平和を実現するキリスト者ネット」事務局長の小河義伸さん(日本バプ連盟・恵泉バプテスト教会牧師)は、「戦争は人間を殺すことであり、有事法制は戦争を前提とした法律。過去にキリスト教界は、神の法ではなく人間の意思に従い侵略戦争を肯定した。神の法は『殺してはならない』(出エジプト20・13)と言っている。そのため有事法体制に反対し、法案を成立させないように意見広告で訴えていきたい」と語った。 アメリカのアフガン報復に反対し16か国から賛同金を集め、ブッシュ大統領あてにニューヨーク・タイムスに意見広告を出した市民団体グローバル・ピース・キャンペーンのきくちゆみさんや、「平和をつくり出す宗教者ネット」の武田隆雄さんらがアピールに立った。
 意見広告は、賛同者5千人を目標に広く協力を求め、まず朝日新聞首都圏版に掲載する予定で、賛同金の集まり具合次第で他の一般紙への掲載も検討する。内容の詳細もこれから話し合う。
 賛同金は1口2千円(個人・団体、複数可)、意見広告に賛同者の名前を掲載する。郵便振替00120・8・151801「5・3意見広告」。4月19日までに申し込むと、意見広告に賛同者として名前が掲載される。意見広告ホームページはhttp://www.peace2001.org/
意見広告事務局=TEL03・3203・0372FAX03・3204・9495(NCC)。

エイズ孤児と共に生きる−−タイ・APO孤児の会の吉田 登さん=0204210501=

タイ全土に8万6千人以上といわれる、親をエイズで失った孤児たち。そんな子どもたちを支援しようと首都バンコクの西56キロの町、ナコンパトムにケアセンターの建設が進む。センター建設の中心となっているのは、AOP孤児の会代表理事の吉田登さん(日基教団・横浜港南台教会員)だ。
 吉田さんは1976年にYMCAのボランティアとして、独立したばかりで洪水の被害で苦しむバングラデシュへと赴いた。その際タイにも立ち寄り、以来、吉田さんにとって両国は「どうしても気になる国」になった。バンコクのYMCAからエイズ孤児のレポートが送られてくる度に、多くの人々に支援を訴えてきたが、ある時「誰かに支援してもらいたいと思ってきたが、自分はどうなんだ」と我が身を振り返り、「自分が行こう」と決めた。吉田さんはそれまで携わっていた電話会社の事業から身を引き、59歳の誕生日の2000年6月16日にタイへ渡った。
 当初の建設予定地は、雨期になると水没してしまうことがわかり、急きょ別地を用意した。3千坪の敷地に7つの建物ができた。現在、在タイ日本大使館の協力も得ながら、3つの建物を建設中。今年9月には完成予定だという。18人の子どもたちがすでに入所しており、完成すれば孤児や職員らを含めて100人まで収容可能になる。
 タイのエイズ患者に対する政策は進んできているが、エイズ孤児の支援にまで手が回らないのが実情だ。吉田さんは「エイズと貧困は切り離せない。地方の貧しい人々、特に女性が都会に仕事のために出てきて、性産業に就く中でエイズ感染することが多い」と語る。
 建設後の経済的サポートが今後の課題だ。吉田さんの所属する横浜港南台教会では、「タイ・エイズ孤児と共に歩む会」を結成し、経済的な支援をしている。同教会の秋吉隆雄牧師は「子どもたちの将来を見据えて支援していきたい」と語る。教会員らは「あとではだめです。今でなければ」と、現地訪問したときに会の発足を決めた。吉田さんは「本当に主体的にサポートできるのは教会だ」と話し、クリスチャンの支援を訴えている。同会の連絡先は港南台教会TEL045・833・5323。郵便振替口座番号00250・4・68758、タイ・エイズ孤児と共に歩む会。