1つのものごとも異なる角度からみれば、問題の奥行が見え、次の行動へのヒントになるかもしれない。この企画では、1つのテーマ、キーワードについて、異なる分野や立ち位置にいる3人に聞く。第一回は「若者の『居場所』」。揺れ動く時代の若者にとって、学校や家庭、友人や同好の場とも違う「教会」がどんな居場所になれるか。生きづらさを抱える青少年を支えるケアの視点とは。時には同じメンバーが集う教会の「外」にも居場所が必要かもしれない。異なる立場や働きの3人に聞いた。

ロザリン・ヨン=特定非営利活動法人 光希屋 (家) 代表   秋田大学地域心身医療学講座 助教

ロザリン・ヨンさん

 

「揺れ動く時代の若者にとって、学校や家庭、友人や同好の場とも違う『教会』がどんな居場所になれるか」という問いに対して、私の信仰や専門、そしてこれまでの活動の経験は多くの示唆を与えてくれます。特に、現代の若者たちは多くのストレスや孤独感に直面しており、心を支え、安心できる居場所がますます重要になっています。

若者の悩みは、大人が理解しづらい面があります。調査によれば、孤独を強く感じる人々には、無職者や未婚者が多く、特に10代の子どもたちは、インターネットを使いこなす60代の高齢者と比べて約13倍も孤独感を強く感じていることが分かりました。20代から50代でも、インターネットを活用する高齢者と比べて孤独感を抱えており、これが生活状況や婚姻状況に対する不満、ストレス、不安やうつ症状と深く関連しています。

孤独感は外出パターンに密接に関連しており、社会的な関わりを制限する人々は孤立感を強く感じています。この孤独感は、社会的な疲労感、過去のネガティブな経験、社会的孤立感から生じる可能性があります。

多くの若者は、学校生活や部活動の中で強い同調圧力を感じており、異なる価値観や個性が排除されやすくなっています。他者との関係で自分を抑えたり、無理に合わせたりすることで、孤独感を抱える若者が増えています。また、親との関係が希薄化しているため、十分なコミュニケーションが取れず悩みを抱え込む子どもも増加しています。特に、親に迷惑をかけたくないという心理が摩擦を生む要因となり、思春期の若者は親とは異なる視点で物事を見がちで、意見の食い違いから摩擦が生じやすくなります。その結果、悩みを打ち明けることが難しくなり、対人関係が苦手になる傾向が高まります。このような背景から、若者はネット相談を選ぶことが増えています。ネット上で似た価値観を持つ人々と集まることは一時的な安心感を与えますが、思考が偏りがちになるリスクもあります。社会的な関与は孤独感を軽減する可能性があるため、ポジティブな交流の機会を促進することが重要です、、、、、

2024年10月20日号 04面掲載記事)