1つのものごとも異なる角度からみれば、問題の奥行が見え、次の行動へのヒントになるかもしれない。この企画では、1つのテーマ、キーワードについて、異なる分野や立ち位置にいる3人に聞く。第一回は「若者の『居場所』」。揺れ動く時代の若者にとって、学校や家庭、友人や同好の場とも違う「教会」がどんな居場所になれるか。生きづらさを抱える青少年を支えるケアの視点とは。時には同じメンバーが集う教会の「外」にも居場所が必要かもしれない。異なる立場や働きの3人に聞いた。

後藤正樹=日本同盟基督教団 麻布霞町教会牧師

後藤正樹さん

麻布霞町教会は都心に位置しています。私が赴任した8年前には、私たち夫婦を除き10代~30代が全くいませんでした。しかし現在は、約20人の青年が集う教会となっています。教会で育った人もいますが、上京して都心で働く社会人クリスチャンが中心です。

彼らの多くは、上京後に教会から離れていたり、過去に教会に対して傷つき悩んでいたり、信仰を捨てようと思っている人たちでした。しかし、知人や家族、牧師から紹介されて麻布霞町教会に来るようになりました。

東京に赴任し、このようなクリスチャン青年が多くいることを痛感しました。そのため青年たちの信仰の回復を願い、彼らが教会に再び通い、教会のすばらしさを知ることを教会の一つの使命としています。今日まで彼らの所属教会の牧師たちと連携を取りながら、青年たちと関わり、歩んできました。

では教会が青年に対して具体的に何をしているかと言うと、特別な取り組みを行っているわけではありません。あえて言うならば、「教会の当たり前を見直す」という教会の取り組みが、集う青年たちに合っていたということです。

その取り組みの一環として、麻布霞町教会は各世代の会を廃止しました。青年会はもちろん、壮年会や婦人会もありません。これに至った経緯はいろいろありますが、世代を超えて自由に交わりたいと考えたためです。

そのため、青年という定義が曖昧です。青年で集まる時は、小学生から大学生、社会人、既婚者もいます。また決まった活動もないので拘束時間はありません。

青年たちはどのようにしているかというと、日曜の礼拝後に「今日どうする?」とお互い声を掛け合い、その日の午後のスケジュールが決まります。中には忙しくて疲れていたり、他の予定があったりして礼拝後に帰る人もいますが、それもOKです。

基本的には教会で昼食を持ち寄って食べたり、また外食をしたり、そこからカフェで夜まで交わることもあり、、、、、

2024年10月20日号 05面掲載記事)