[CSD]2004年7月18日《ヘッドライン》

[CSD]2004年7月18日《ヘッドライン》
 = 1面 =
◎「創憲」提案で「一神教」批判——民主党憲法調査会中間報告
★国家像「伝統、文化踏まえた『国柄』」に言及——自民党案の憲法改正ポイント発行
★教会建築史で見る日本の初期宣教——横浜で展覧会開催中(8月29日まで)
★<恵みのどんでん返し>1人の女性の闘病から教会が変えられ 記・中野 直文
★<落穂抄>まるで幼子のよう  = 2 面 =
◎教会は「主の正義と平和」教えているか——靖国法案提出から35年
★<イラク戦争肯定の理由>[2]「先制攻撃戦争」正当化 評価 記・渡辺 聡
★一神教は排他的ではない——朝祷会全国大会で岸英司司祭
★<論説>教会の祭司的使命——民の傷を癒す宗教性を 記・稲垣 久和
★<今週の本棚>『ポスト・モダン 世界のキリスト教』A・E・マクグラス著(教文館、1,890円) 評・赤江 弘之
<情報クリップ>催し情報ほか  = 3 面 全面広告=
☆第36回日本伝道の幻を語る会
——いよいよ始まるリバイバルの幻——
8月23日(月)~25日(水)、会場:山崎製パン企業年金基金会館サンシティ
Tel.03-3804-1765、Fax.03-3869-5262  = 4 面 全面広告=
☆第28回東京福音リバイバル聖会
——も得る教会を建て上げるために——
8月11日(水)~13日(木)、会場・川口総合文化センターで
http://www.tokyo-revival.org
 = 5 面 =
★「愛される価値」知らせたい——家出中高生と向き合う教会
◎「神の後押しでJ1復帰!!」——サンパイオ選手(サンフレッチェ)の証しが本に
★圧巻150人の賛美轟く——永楽教会ホザナ聖歌隊、初来日公演
★ブルガリア:ハリー・ポッターの魔法に警告——ブルガリア正教会
★英国:英国教会のWeb版「iチャーチ」正式発足
★<CDの時間>「Touching The Hearts」森 佑理(ライフ・ミュージック、2625円)  = 6 面 =
★<信仰人スピリッツ>仕事をとるか信仰をとるか——(株)バイオグリーン・インターナショナル 代表取締役社長・阿部 守利さん
★<ミッションと起業>語らずしてキリストを示した男——ソニー(株)創業者・井深 大 記・横手仁美
★<ブックレビュー>『世界ビジネスジョーク集』おおば ともみつ著 評・中野 雄一郎(中公新書、735円)
★<書籍案内>『ソニーを創った男 井深 大』小林 竣一著(YWC、1,680円)
★<書籍案内>『65歳から世界的企業を興した伝説の男』藤本隆一著(産能大学出版部、1,575円)
★三谷康人さんの行き方見せたい——『ビジネスと人生と聖書』韓国語版出版

「創憲」提案で「一神教」批判−−民主党憲法調査会中間報告0407180101

 民主党憲法調査会が6月22日にまとめた「創建に向けて、憲法提言 中間報告」の中に、一神教を批判し多神教を奨励する趣旨の文言が含まれていることが分かった。改憲論議では、さきに自民党憲法調査会が、20条の「政教分離」規定を変更し、伝統的・儀礼的な行事を政教分離の対象外として国が関与できるようにする方針を固めている。自民党案は、首相・閣僚の靖国神社参拝をめぐる違憲論の批判をかわし決着を狙ったものだが、野党第一党である民主党の対案もまた、靖国神社参拝に批判的なキリスト教界の論調を「〈一神教的な〉正義を振りかざす」ものとして退け、「日本社会に根付いた〈多神教的な〉価値観」を奨励することで、自民案の「政教分離」なし崩しの方向を後押ししかねない、きわめて危険な内容だ。 【根田祥一】
 問題の文章は「人間と人間の多様で自由な結びつきを重視し、さまざまなコミュニティの存在に基礎を据えた社会は、異質な価値観に対しても寛容な「多文化社会」をめざすものでなくてはいけない」とした上で、「これもまた、〈一神教的な〉唯一の正義を振りかざすのではなく、多様性を受容する文化という点においては、日本社会に根付いた〈多神教的な〉価値観を大いに生かすことができるものである」と結論づけている。
 併せて「私たちは、日本が培ってきた『和の文化』と『自然に対する畏怖』の感情を大切にするべきであると考えている。『和』とは、調和のことであり、社会の『平和』を指すものである。21世紀のキーワードはいまや、『環境』『自然と人間の共生』、そして『平和』であり、日本の伝統的な価値観の中にその可能性を見出し、それを憲法規範中に生かす知恵が必要である」との表現も見られる。
 民主党憲法調査会の憲法提言中間報告中、「文明史的転換に対応する創憲を―グローバル化・情報化の中の新しい憲法のかたちをめざして―」と題した、第1小委員会総論中の第2項「未来を展望し、前に向かって進む」の末尾にある文章だ。
 「平和」「環境」「自然と人間の共生」といった時代が求める言葉を散りばめつつ、「日本の伝統的な価値観」を憲法に盛り込もうとすることは、裏を返せば、〈一神教的な〉価値観に基づいて首相・閣僚の靖国神社参拝に反対するキリスト教界のような意見を、「日本社会に根付いた〈多神教的な〉価値観」に反するとして排除することになりかねない。例えば、キリスト者・教会が信仰の良心から地域の神社の祭礼などに協力しない場合、それを〈一神教的な〉非寛容な態度だとして非難することは、戦前戦中を通じて日常的に起きてきた。そのような一神教に対する非寛容や排除が、今度は憲法によって正当化され、理論的な支柱を得ることになる。そうなれば、偶像礼拝を拒否する聖書の福音の宣教にとって、甚大な向かい風となることは必至だろう。
 我が国の右寄り文化人たちの中にも、一神教を「非寛容」だと非難し、多神教的な日本の伝統的価値観を「寛容」だと奨励する論調がしばしば見受けられる。だが、そこには、日本社会が「寛容」だとする多神教的伝統・文化を一律に国民に押し付け、それに異を唱えるキリスト者の生き方を「非寛容」だとして排斥する「非寛容」さを根強くもっている、という矛盾があることを見抜かなければならない。 自民案の国家像 「伝統、文化踏まえた『国柄』」に言及  一方、自民党は6月に発行した「憲法改正のポイント―憲法改正に向けての主な論点―」の中で、「1 美しい日本語で書かれた前文に」として、現行憲法の前文を全面的に書き改める方向で検討していることを明らかにした。新たな前文は、日本の目指すべき国家像を明記する中で、「我が国の歴史、伝統、文化などを踏まえた『国柄』について言及すべき」との意見がある、としている。
 また「2 『現実の平和』を創造し、非常事態に備える」と題し、非戦平和主義をうたった現行憲法9条を「虚構」と批判した中でも、「日本の安全保障と国際貢献については、和を尊び、命を慈しむ我が国古来の伝統・文化を基本に据え、我が国民の生命と財産を守り、より積極的に世界の人々の生命・人権を尊重するという立場から」自衛のための戦力保持の明記や国際平和に貢献する姿勢を内外に宣言するとの趣旨で、伝統的な日本的価値観を強調している。

教会は「主の正義と平和」教えているか−−靖国法案提出から35年0407180201

 1969年6月30日、自民党の有志らによる議員立法として靖国神社法案が初めて国会に提出されてから35年。その後、同法案は提出をくり返し、審議未了、廃案となった。この法案提出から35周年にあたる6月29日、靖国神社国営化反対福音主義キリスト者の集い(靖国の集い)=西川重則代表=が、「有事体制づくりの日本にあって、改めて靖国神社問題を考える」と題して公開学習会を、東京・千代田区のお茶の水クリスチャンセンターで開催した。学習会では西川代表が最近の国会傍聴のリポートを交え、今後キリスト者がどのように靖国神社問題とかかわるかなどを語った。
 礼拝形式の第1部では村上正道氏(福音キリスト教会連合・水海道シャローム教会牧師)が、旧約聖書出エジプト記20章7節から「主の御名を用いる過ち」と題して説教。第2部で西川氏が講演した。
 西川氏は、6月14日に国民保護法など有事法制関連7法が成立したことを受け、「有事法制関連7法案は、憲法に基づく法的根拠など存在しない。その成立の手続きは、『国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である』という憲法41条に反している。憲法の大原則からとうてい認められない」と断言。「民主党が有事法賛成なのは不幸だ。他の野党は反対の立場だが、少数政党で残念だ。有事法制の成立で、戦争の準備をする政府、はだかの国会を直視しなければならない」と語った。
 西川氏は、「次の国会では、参院選の結果によるが、教育基本法の改悪、自衛隊海外派遣の恒久的な法案、昭和の日の制定、防衛庁を『防衛省』に改変すること、その他が議論されるだろう」と見通しを示した。
 また、「憲法調査会で、憲法改悪運動が進んでいる。特に前文、1条、9条、13条、19条、20条、21条、89条などを変えようとしている」とし、参加者らに注意を呼びかけた。
 長年、国会傍聴活動をしてきた西川氏は、「国会は伝道の基盤だ。憲法問題など理を尽くして説明し、人格的なつながりから国会で出会った方々を教会にお連れしている」と語り、靖国神社問題や有事法制問題に取り組むことは、単なる政治的な活動ではなく、宣教の働きだと強調した。
 また、靖国神社が02年に創建した「本格的な軍事教育施設『新遊就館』」について触れ、「遊就館では、若い世代に『天皇の心、英霊の心』を教え、『ここだけが真の歴史に基づいて教えてくれる場所だ』と言っている。私たちは若い世代にどのように教育しているか、遅れをとっているのではないか。教会などで、主が喜ばれる主の正義と平和について、どのように教えているでしょうか」と投げかけた。
 「21世紀の日本は『国益中心主義』『排外思想』のただ中にある。そのような中で、キリスト者は神との関係を保ちつつ、日本の精神風土に対し、何をし、どのように考え生きるべきか」と問いかけた。

「神の後押しでJ1復帰!!」−−サンパイオ選手(サンフレッチェ)の証しが本に0407180502

 「神様はサッカーをやらない。しかし、ぼくと一緒にピッチを走ってくれている、と確信している」。元ブラジル代表で、サンフレッチェ広島に所属するクリスチャンJリーガー、セザール・サンパイオ選手の本『SAMPAIO 勝者の証』(JCベストブックス)が6月発売された。
 本書は、プロサッカー選手として20年近くプレーを続けてきたサンパイオ選手が、その体験と信仰を踏まえ「勝者のメンタリティーとは何か」などについて語る。
 特に強調するのが、技術よりも「内面のタフさ」で、いかなる困難に遭遇しても、その障壁は自分のベストを引き出すために与えられている契機ととらえる姿勢が重要だと語る。「偉大な選手とは優れたテクニシャンのことを言うのではない。持っているものを90分の試合時間に出し切れる選手のことだ」は、至言だ。
 そのサンパイオ選手自身、サッカー人生を歩む中で、アキレス腱の故障、スランプ、チーム退団など、何度も苦境に立たされてきた。しかし、その中で1日24時間神に頼りながら過ごすことを学んだという。「ぼくらが人生を生きる過程においては、良いことばかりが起こるとは限らない。・でも天から与えられる祝福は想像以上のものだ。土壇場で切羽詰まったときほど湧き出る、言い知れぬ力がそれだ」
 第1章の「チャレンジ精神に裏付けられた人生」では、J2に降格したサンフレッチェ広島への移籍の経緯が書かれている。普通、輝かしい経歴の選手がJ1からJ2のチームに移籍するケースは珍しい。しかし、それを決断させたのは長女ガブリエラちゃんのひと言だった。「パパは広島のチームをJ1に引き上げる助けをするのよ」
 移籍したサンパイオ選手は「J1復帰!! それは神様の後押しによって」とプリントされたアンダーシャツを着て試合に臨む。チームメイトに「神が与える『信じる力』によってぼくらは目標を成し遂げることができる。状況は必ず変わる」というメッセージを伝えたかったという。その成果もあり昨年、サンフレッチェ広島は見事J1復帰を果たす。
 サンパイオ選手は「サッカーがすべてではない。信仰は勝たせてもらうためのものではない」と語る。「自分はただの人間。でも神様が自分にサッカーの能力を与えている」と言う。  本書の面白さはサッカーについて、サッカー人生について語りながら、いつのまにか神や信仰についても言及していることだろう。   【中田 朗】