2016年11月06日号 3面 

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マーティン・スコセッシ監督といえば、上映反対運動まで起こった、イエス・キリストを悩める人間として描いた「最後の誘惑」の監督である。その彼がなぜ遠藤周作の作品を映画化したのだろうか。10月19日の記者会見にて彼はこう語った。
「この物語は、『信じるということは何か』を問う作品で、異文化の衝突を描いている点に興味が惹かれた。信仰がわかるためには、あらゆる障壁を乗り越えていかなければならない」。まさしく「最後の誘惑」を撮影している1988年にこの本に出会い、この本をどう映像として描くかで、撮影までに長い年月がかかったそうである。
この物語での障壁とは、17世紀の日本で起こった激しいキリシタン弾圧である。棄教を迫られる若き司祭、ロドリゴの苦難に満ちた闘いを描いた作品で、ロドリゴ役をアンドリュー・ガーフィールドが演じ、記者会見には、キチジロー役の窪塚洋介、通詞役の浅野忠信が出席した。