「成瀬仁蔵の帰一思想」 新史料発見 近代キリスト者の課題も 北陸学院辻氏、明治学院で講演
NHK朝のテレビ小説「あさが来た」にもそのモデルが登場した、日本女子大学の創設に尽力した成瀬仁蔵について、新たな史料が見つかった。そこには近代のキリスト者が直面した課題の一端があった。
明治学院大学キリスト研究所主催の宣教師研究プロジェクト公開研究会で、 新史料を発見した、辻直人氏(北陸学院大学教授)が、成瀬と帰一協会の関わりについて語った。
牧師でありキリスト教教育に尽力した成瀬だったが晩年には、キリスト教の範疇を超えて、多宗教の対話や合一を目指した帰一思想を抱き、国内外で活動した。
辻氏は、今年3月に米国へ研究調査をした際、シカゴ大学で成瀬の帰一思想に関する書簡など新史料を発見した。
帰一協会が設立される1911年以前の09年の書簡を含み、帰一思想の生成過程やシカゴ大学の新約学者アーネスト.D.バートンの関わりが明らかになるものだった。
今後時代背景や帰一協会の他の思想家たちとの温度差、当時のエキュメニカル運動との関わりなどが課題になるという。
会場に集った人との議論の中では、スペンサーの社会進化論などの近代思想、陽明学など東洋思想の影響、国内外の情勢的影響、キリスト教と日本社会の摩擦と迎合などの示唆、日本の近代のキリスト者の変節の問題などが話し合われた。
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