2016年07月24日号 3面

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信徒の成長とネットワークが宣教の鍵

私が宣教師として遣わされているミラノは、ファションなどの文化トレンド発信地として知られるイタリア北部に位置する商工業都市です。このミラノには6千人ほどの日本人が在住しています。

経済危機と難民問題

イタリア・ミラノにおいて在留邦人に福音を伝える宣教師として着任し、今年でちょうど14年目をむかえていますが、着任当時と現在の欧州の状況には大きな環境の変化がありました。大きな節目は、2008年の秋に起きたリーマンショックです。このことを引き金に欧州経済危機が始まりました。
また、それ以前から欧州の市場では、日本の家電メーカーや自動車メーカーの圧倒的なシェアが次第に他のアジア系企業に移行していくという、大きなパラダイムシフトが起きた14年でもありました。そして、ここ数年の最も重要なトピックが中東からの爆発的な移民の流入です。
これらのことは、欧州における邦人宣教のあり方や環境、邦人教会のあり方などにも大きな変化を与えています。このように、激変するグローバル社会の中、人々はかつて無いほど国や地域の間を移動しています。

在欧邦人増加傾向

先に述べたような状況にも関わらず、在欧邦人の数は年々増えています。外務省の統計によると、実態として20万人の邦人が、広いヨーロッパ大陸に点在して暮らしています。世界レベルでは、現在130万人以上の日本人は、国外で暮らしています。
前述のように、日本企業からの家族単位での駐在が減少傾向にあるのに反し、独身や夫婦のみでの企業からの派遣、あるいは欧州の企業に挑戦する人、日本での仕事を辞め、欧州で専門的な学びをしに来る30代、40代の人々が増えています。
日本からは、欧州には何か華やかなイメージがあるのですが、実態としては当初の志に敗れたり、何らかのトラブルをきっかけに心を病んだりするなかで、人生の意味を問い直したり、欧州の思想基盤となった聖書について学びたいという思いの人々が数多くいます。
そのように、母国を離れたことでイエス・キリストに出会い、信仰をもって帰国する人々は、年間2千人と言われています。現在日本では洗礼を受ける人々は年間で6千人、その内訳の3分の1にあたる人々が、日本を出たことで福音にふれた人々だということができます。
このように、日本を出て福音にふれながらも、日本に帰国したり、あるいは別の国へすぐに移動していく人々を、わたしたちは「ピープル・オン・ザ・ムーブ」と定義しています。これらの人々が霊的に成長し、福音に生きるには、それを下支えするネットワークと協力体制が必要です。そのために、私たちはすでに次のような実践を行ってきました。

次世代のネットワーク

毎年、イースターの季節に、欧州各地から(またアメリカや日本からも)多くの日本語を話すクリスチャンが一堂に集います。スリム・カンファレンスと呼ばれ、今年で5回目を迎えます。SLIM (Servant Leaders In Ministr) Conferenceとは、次世代を担うキリスト者の若者が、主への奉仕の働きのため、サーバント・リーダー(仕える者)として、キリストの体を建て上げる「成熟した者」(エペソ4・12)として、整えられることを目的としたミニストリーです。
これまでもKGK(キリスト者学生会)、そして北米からの帰国者を支援するJCFN(ジャパニーズ・クリスチャン・フェローシップ・ネットワーク)等と密接な連携を図ってきました。そして、JCE6(第6回日本伝道会議)においては、参加者と共に今後7年間、その他のミニストリーや日本の地域教会との協力のあり方を模索していきたいと考えています。具体的には、次のような成果目標を掲げています。

JCE7までの計画

本プロジェクトにおいて私たちは、第7回日本伝道会議が行われる2023年に向けて、以下の目的と目標を掲げて活動します。
目的1 ディアスポラ宣教の理解が日本の教会において広がり、神学的理解が深められること
目的2 既にディアスポラ宣教に携わっている働き人、団体、教会のネットワークが広がり、それぞれのビジョンとミッションが明確化され、交わりが深められること
目的3 グローバル化・多文化化する日本と世界の宣教を担うリーダーが養成されること
目的4 上記を通して、日本の地域教会による宣教の働きが前進して行くこと
これらの目的を踏まえて、ピープル・オン・ザ・ムーブと呼ばれる日本語を話す人々が、それぞれの場所でキリストに出会い成長し、福音に生きることをサポートして行きます。そのためには、さらなるネットワークと協力体制が必要です。他のプロジェクトとも連携しながら、今後7年のグローバルな宣教協力のインフラとネットワークを構築していきます。