2013年12月08日号 2面

 自称キリスト教メディア「クリスチャントゥデイ」と関連団体の創設者、張在亨氏(ダビデ張)の異端カルト疑惑をブログで追及してきた救世軍士官(牧師)山谷真氏を相手取り、株式会社クリスチャントゥデイ(以下、CT)とその代表(社長)及び前代表らが、名誉を毀損されたとして記事の削除や損害賠償等を求めた民事裁判で、東京地裁(戸田久裁判長)は11月13日、一部記事の削除などを命じる判決を言い渡した。
CT側が削除を要求したブログ記事の表現は87か所に及ぶが、判決はこのうち41か所について真実・相当性、公共性・公益性が認められ名誉毀損に当たらないとの判断を示した。損害賠償については原告3者で計200万円の請求に対し95万円が相当と認定。裁判費用も原告被告で2分するなど、いわば「引き分け」の判断。山谷氏のブログ上に謝罪文を掲載せよとのCT側の請求は退けた。
判決を受けて山谷氏は、名誉毀損を指摘された46か所をブログから削除、賠償金の支払い手続きをした。控訴はしない。同氏は11月30日、自身のブログ「MAJOR MAK’S DIARY(http://majormak.blogspot.jp)」「裁判日記(http://saibannikki.blogspot.jp)」及びツイッターで、判決への正式コメントを発表した。
判決は、本件ブログ記事のうち「キリスト教界に一定の影響力を有する報道機関及びその役員の異端疑惑や統一教会疑惑に関する」各表現について、「公共の利害に関する事実であり、専ら公益を図る目的でなされた」と認定。だが公益性と並び名誉毀損の違法性が阻却される要因である真実・相当性については、表現内容で判断が分かれた。
山谷氏が元CT編集長K(判決は本名)の両親に相談されて受け取った「2002年」「東京ソフィア教会」の記述があるノートについては、Kの所有物であり、「『キリストの来臨』について『イエスキリストではなく、来臨のキリスト』などの記載があり、これは正統派のキリスト教の教義から外れる内容である」として、「正統派ではない『キリストの来臨』に関する講義が平成14年当時、東京ソフィア教会において行われていた可能性がある」と認定。しかし「張在亨が来臨のキリストであることが明示的に記載された部分はなく、本件ノートが(略)、直ちに、張在亨が来臨のキリストである旨の教義が東京ソフィア教会、ひいては原告会社において教え込まれていたとは認められず、他にこれを裏付ける客観的な証拠はない」と判示した。
これに対し山谷氏側は、CT関連団体の脱会者からのメール中に「再臨主がダビデ張であるとの教えがあった」旨が記載されていた書面を証拠として提出したが、判決は脱会者と名乗る人物が匿名で特定できないとして退けた。山谷氏は、この点を立証するには脱会者に実名で法廷証言をしてもらわなければならない、などと判断し控訴を断念。本判決が確定した。

クリスチャントゥデイ裁判:「来臨キリスト」疑惑 真実・相当性を認定--世界的組織の関連が解明

 クリスチャントゥデイ(CT)が救世軍の山谷真少佐を名誉毀損で東京地裁に訴えた裁判の判決は、「張在亨の再臨疑惑については、韓国キリスト教総連合会の異端対策委員会(CCK)が『証拠がなく事実でなく、異端性が全くない』との判断を示し、世界福音同盟においても同趣旨の通知が公表されたことにも照らせば、原告会社において張在亨が再臨主であるとの異端的教義が信奉され、教え込まれていることを認めるには足りない」と判断した。
しかし、元CCK異端カルト対策委員で張在亨氏の異端疑惑を調査した崔三更(チェサンテク)、陳用植(チンヨンシク)、朴亨洋(パクヒョンヤン)の3氏は、同決定の真意について、①「1997年以前は統一教会と関係があった」ということであり、②「張牧師に他のどんな異端思想もない」という意味ではない、との見解を公表している。
今回の判決でも、ブログの「クリスチャントゥデイ問題とは? 統一教会(世界基督教統一神霊協会)核心メンバーであった張在亨氏(学舎長、巡回伝道団団長、ICSA事務局長、鮮文大学教授)が、自分自身を『来臨のキリスト』として若者たちに教え込み、張氏が設立した関連団体(ACM、イエス青年会、EAPC等)と関連企業(クリスチャントゥデイ、クリスチャンポスト、ジュビリーミッション等)に献身させて、無賃労働をさせている上、そうした実態を糊塗しつつ、世界福音同盟(WEA)への浸透を企て、成功を収めつつある、という疑惑」との表現については、「真実であると信じるにつき相当な理由があった」と認めた。
判決は、CT側の否定にもかかわらず、「クリスチャントゥデイは、キリスト教メディアの世界的ネットワークとして、アメリカ、イギリス、日本、韓国等の世界各国の主要土地に記者を有し、新聞を発行している。原告会社は、上記ネットワークの一部として、日本において『クリスチャントゥデイ』という新聞を発行する組織である」と事実認定。
また、各種団体や人物の関係について、張在亨氏が韓国で設立した教団「大韓イエス教長老会合同福音」(以下、合同福音)から派遣された宣教師が日本キリスト教長老教会や東京ソフィア教会を設立したこと、同教会とCT、株式会社ベレコム、韓国クリスチャントゥデイの住所が重なる時期があること、CTは韓国クリスチャントゥデイ、(米国)クリスチャンポスト及びベレコムから資金援助を受けたこと、原告高柳泉氏(前CT代表)は合同福音において張在亨氏から牧師の按手を受け、東京ソフィア教会牧師や合同福音の日本代表使役者の地位に任命されたことなど、相互に密接な関係にある構造が解明された。現CT代表の矢田喬氏も、株式会社ベレコム取締役、東京ソフィア教会賛美リーダー、ACM千葉センター代表者、イエス青年会会長であったと認定された。
【根田祥一】