写真提供=武田倫和監督 監督: 武田倫和 取材/インタビュー松岡 環 渋谷アップリンクで公開中。問い合わせ=Tel.03-6821-6821。
写真提供=武田倫和監督
監督: 武田倫和 取材/インタビュー松岡 環 渋谷アップリンクで公開中。問い合わせ=Tel.03-6821-6821。

南京攻略戦で日本軍は南京市民に一体何をしたのか。

元日本兵250人と当時南京にいた中国人300人に聞き取りをした、その軌跡をフィルムに収めた本作は「事実」を前に圧倒的な説得力をもつ。
南京大虐殺(南京事件)は被害規模の大きさばかり論争になり、果ては「ない」という論を展開する人もいるが、取材に応じた日本兵はこう証言する。「全くこれはあったこと」、「言うか言わないか、みんなしてた」と。男は兵士と見なして銃殺、女性とあらば幼女から老女まで強姦する。「天皇の赤子」と称された日本兵の姿は、その言葉とは裏腹に彼の地で欲望をむき出しにしたものだった。
しかし、私たちはこの歴史の彼岸にはいない。同じ地平に立ち、同じ性質をもって今を生きている。南京大虐殺の当事者はすでに物故した人も多い。今も日本や中国に暮らす体験者が、日夜忘れられずに抱えて苦しむもの。それは何なのか。証言は私たちの心をざらつかせ、時に棘のように刺す。鋭く、あるいは鈍く刺す歴史の「闇」は人の心にある「闇」でもある。本作は、閉ざしたがる心の扉を開くきっかけを与えてくれる。【奥山みどり】
本作を含めた「南京史実を守る映画祭」を12月13日世田谷区民会館ホールで開催(同実行委員会主催)

URL http://jijitu.com/filmfestival2009/index.php/2009-09-28-05-28-02