CD「Beauty Will Rise」STEVEN CURTIS CHAPMAN ――苦しみの中にある希望の光
5歳の娘(養女)を亡くした。その後の歩みの中から生まれたアルバム。なぜ「それでもなお神を信頼する」と言えるのだろう?それが、このアルバムに惹かれた理由だ。
センスがよく、かつ素朴なアレンジで、アコースティックギターやピアノで弾き語りをしているよう。重いテーマにもかかわらず、暗くも重苦しくも無い。暗闇の中に静かに差し込む光を感じさせてくれるようだ。
死に際して、あるいは様々な苦難の体験の中で、超然として「なんとも思わない」ことこそが信仰だという主旨のことを聞いたことがある。いや、少年時代は自分もそう思っていた。そして、父親が長男の死の後、教会に行かなくなっていたのを責める気持ちがあった。だが大きな喪失体験をし、そこから回復しつつある今は、それが一面的な未熟な信仰観だったと思わされる。
「神さまはどういうお方なのか?どこにおられるのか?」という、苦しみの中で当然わいてくる疑問をも「あなたに尋ねるのを恐れるけど」といいつつ歌う(6曲目)。チャップマンは、自身も傷を持つものとして、傷ついている者にやさしく寄り添い、語りかけるように歌っている。
そういえば、くすぶる灯心を消すことなく、痛んだ葦を折ることのない方は、超然と「かくあるべし!」というのではなく、ご自身が痛み苦しみを負ってともに歩んでくださることによってそうされるのだった。冒頭の疑問の答えは、「Trust Me(9曲目)」と語りかけ、共に歩んでくださる方にあった。【生】
全12曲 Sparrow Records 2,079円(税込)
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