(c)2008 Magic Hour Films
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ミャンマーという国にどんな印象をもっているだろうか。軍事政権が長く続き、キリスト者への迫害があること、アウン・サン・スー・チーさんが自宅軟禁されている、など断片的な出来事からイメージする人が多いだろう。「ビルマVJ 消された革命」はビデオジャーナリストが撮りためたミャンマー(以下ビルマ)の今を一つの作品に仕上げた。アカデミー賞で「ザ・コーヴ」と競ったことでも知られ、世界各地の映画祭で46の賞をとっている。同作品の原案者、ヤン・クログスガードさんに話を聞いた。


デンマーク出身のヤンさんがビルマの映像作品を撮る動機とは。
「この10年でビルマ国民は圧政に窒息しかけていました。その中で軍政が燃料費を値上げし、民衆が立ち上がり始めました。まだ、民主化への願いは生きている、と思いました。『ビルマ民主の声』(在外ビルマ人らが組織し、オスロに拠点をもつ民主化支援メディア)が05年から衛星放送を始め、小さな変化が見えてきていました」
ビルマ国内ではビデオ撮影などに厳しい制限がある。VJのサポートやネットワークは。
「海外ジャーナリストやNGOからのサポート、経済支援やセッショントレーニングがあります。ただ、厳しいのが現実ですね」
映画では、長井健二さんが背後から撃たれた場面をはっきりと映す。
「軍部によって外国人ジャーナリストが殺されるということはまずない。長井さんは最前線でカメラを回していたため撃たれたのだと思います。VJたちもすぐ殺されるよりも、捕まって重刑や極刑になる人が多い。しかし、投獄されたとしても、何もしないでいることは人としての尊厳を失うことだと考え、彼らはカメラを回し続けています」

(c)2008 Magic Hour Films
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この映画はビルマ国民や政権にどんな影響を与えているのか。
「もちろん、この映画の放映は禁止です。しかし、DVDなどで観られているようで、VJになりたいと志願する人が増えています。大切なことは、ビルマ国内の人が自分たちの姿を客観的に見て、正しい情報に触れることです。現状では情報規制が厳しく、自分たちの村で起きたことがほかの地域でも起きていると知る機会も少ない。民主化は中にいる人たちの手で起こすものですから」

映画の中には、ビルマ僧による非暴力のデモ行進があるが、軍部によって襲撃され、殺されるなどショッキングなシーンもある。偶然映っていたというキリスト教施設もあり、「市民が無知な方が都合のよい軍政に代わって、宣教師らが教育を授けている。こういった働きが民主化に大切」とヤンさんは語る。 【遠山清一】

原案・脚本 ヤン・クログスガード 監督 アンダース・オステルガルド 配給・東風、シアター・イメージフォーラムにて公開中、他全国順次公開。

公式サイト http://burmavj.jp