ユウ(左)と連弾するピアノ曲を聴くトキヤ  (C)2010 君へのメロディー製作委員会
ユウ(左)と連弾するピアノ曲を聴くトキヤ  (C)2010 君へのメロディー製作委員会

青春時代の初恋と友情が、淡く切なく心に響いてくる物語。

両親が離婚したことで港のある町の高校に転校してきたトキヤ(佐藤永典)。転向した当日、同じクラスのシュン(佐々木喜英)と授業中に殴り合いのケンカ。だが、この激しい出会いが2人を大の親友へと絆を強めていく。不器用なシュンが、ピアノを弾けるトキヤに弾き方を教えろと執拗に懇願する。シュンは、一目惚れした女子高生に弾いた曲を録音して聞かせたいと言う。シュンは、初恋をした。

数年後、トキヤは訪れた病院の病室で外の景色を眺めている記憶喪失の女の子・紺野ユウ(岡本玲)と出会う。ユウの記憶が戻るきっかけになればと町を案内するトキヤ。だが、ユウは間もなく退院した。記憶を無くしていたり、心にハンディキャップを持っていても、日常生活に支障のない人たちと開業準備をしているペンションで働くユウを見つけたトキヤ。オーナーの勧めで、開業準備を手伝うようになったトキヤは、ユウのことが気になっていた。トキヤは、初恋をした。。。

男同士の友情が重奏な低音部のように流れ、2つの初恋がさわかなメロディを奏でる青春のアンサンブル。その主旋律に、人が人の心を支える深い愛情というテーマが、このアンサンブルを聴き終わって心に刻まれている。

いまは、心の絆をより合わせて揺るぎない人生を生きていきたいと求め合う時代なのかもしれない。このピュアな友情と純愛のドラマは、そのことを感じさせてくれる。   【遠山清一】

監督/編集:横井健司。日本映画、1時間38分。出演:佐藤永典、岡本玲、佐々木喜英。配給:日本出版販売。10月9日(土)より池袋テアトルダイヤにてロードショー。

公式サイト http://kimimero.com