CD「復活のロックンロール」サルーキ=――“復活”テーマに現代社会へのラブソング
1曲目の「復活進行」、あまりにストレートな、そのまま「聖書!」という歌詞に驚かされる。クリスチャンミュージックとセキュラーミュージックという分け方をすれば、サルーキ=は明らかに後者だが、「そんなの関係ねーぜ!」とばかりに、軽々とその垣根を越えてくれる。考えてみれば、クリスチャンでなければクリスチャンミュージックにこだわりがあるはずもない。つまりは、聴く側には本当に「関係ない」のであって、かえって自由に「聖書」を語れるのかもしれない。
グローバル化する社会の中では、反動的に右傾化して原理主義的に西洋文明とその根幹であるキリスト教を否定・敵視するのでなければ、それを理解するしかない。雑誌等で「キリスト教」や「聖書」が取り上げられているのには、そういう背景があるように思う。
サルーキ=(チヨ)が社会や人生や愛などを考え、歌うときに、その背景にはキリスト教がある。そういうスタンスのような気がする。
そんな小難しいことを思わず考えてしまうのは、歌詞が哲学的だから。難しい言葉を使っているわけではないが、人生とか愛とか、本気で向き合って考えているのだ。そして、そこから心を打つ、納得させる言葉が出てきている。
1曲目の「復活進行」は、表面的には震災からの復興を励ます歌であるが、「進行」が「信仰」の隠語となって、信仰復興の歌となっているのを、クリスチャンであればすぐ気づくだろう。そうすると、他の曲もそんな「しかけ」があるのかもしれないという気になってくる。「奥」があるように感じられるのだ。ちなみに「復活進行」に続き、「人間活動」「シャローム」「仕事」「新しい暮らし」「もしも今日という日が人生最後の日ならば」「生活」の7曲が収められている。
明るくキャッチ―なサウンドで、でも、全く軽薄でない独自の「ロックンフォーク」、じっくり聴いていただきたい。
「武道館」の夢を語り続け、そこに向かって走り続けるサルーキ=。9月8日(土)には、渋谷公会堂での2,000人ワンマンライブを開催する。【柳 聖生】
発売元:yellow ribbon inc. 全7曲 価格2,000円(税込)。全国のCDショップまたはアマゾンにて販売中。
公式サイト:http://www.saluki.tv