日本キリスト教婦人矯風会は6月20日、安倍晋三内閣総理大臣、金田勝年法務大臣、大島理森衆議院議長、伊達忠一参議院議長宛に声明「改正組織犯罪処罰法の強行採決に抗議し、廃案を求めます」を出した。内容は以下の通り。

 わたしたち日本キリスト教婦人矯風会は1886年の創立以来、人権を尊重し、日本国憲法の理念の実現と女性の人権確立を求めて活動を続けてきました。
 犯罪を計画段階から処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法が6月15日朝、自民党、公明党、日本維新の会などの賛成多数で成立しました。
 与党政府は、参院法務委員会の審議を打ち切って採決を省略し、本会議で採決を強行するという議会政治の原則を踏みにじる暴挙に出ました。計画段階から処罰する共謀罪は日本の刑法体系を覆し、国家が市民社会に介入し、人権を制約しかねない法律です。刑法学者からも、テロ対策、国際組織犯罪防止ともに新しい立法は不要であり、かつ、提出された法案は極めて広い範囲にわたって警察の捜査権限が濫用される恐れがあると指摘されています。かつて戦時下の治安維持法の被告となった生存者は、治安維持法が多くの人権侵害を引き起こし冤罪を生んだと証言しています。わたしたちは「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ改正組織的犯罪処罰法の成立によって治安維持法下における市民弾圧が繰り返されることを危惧します。
 日本キリスト教婦人矯風会は、憲法の保障する思想、信教の自由、表現の自由、通信の秘密が阻害される恐れのある共謀罪の強行採決に強く反対し、正しい手続きによらない、この法律の廃止を強く求めます。