©COPYRIGHT 2011 Cinemaundici
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取り壊しが決まった教会堂に逃げ込んできたアフリカから不法入国してきた難民と老祭司の2日間の物語。オルミ監督は、前作「ポー川のひかり」(06年)のように今の時代を生きる者にとっての’キリストの人間像’を、観るものそれぞれの心に思い描かせてくれる映画美に溢れた作品に仕上げた。

イタリアのある町の小さな教会堂。すでに取り壊しが決まっている。この教会で祭司任職のときから務めてきた老祭司は、取り壊される最後の日まで教会堂に居残る決意をしている。

祭壇用具や聖画などの荷造りをする業者が、聖壇の上部の十字架にかけられたキリスト像を下ろし丁寧に箱に収める。業者が去り、取り壊しを待つだけの教会堂。

聖堂の長椅子をベッドにしてその周りを段ボールで囲み、布切れを屋根代わりに暖をとる不法入国者たち。荘厳できらびやかな聖壇用具が取り去れた聖堂。そこに段ボールと布切れで作られた不法入国者たちの寝床は、さながら荒野を旅する天幕のようだ。

ほどなく、保安員らが不法入国者の捜索で教会にやってきた…。老祭司は、自ら祭司の務めを終える時が来て、キリスト像が取り去られた聖堂に逃れてきた旅人たちを友として受け入れ、保安員たちに引き渡さず守ろうとする。

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オミル監督は、あるインタビューに答えて言う。「私は隣人の顔のなかにキリストを見いだします。人は苦悩し死んでゆくのであり、それは非難されながら死んだキリストと同じです」。

監督・脚本:エルマンノ・オルミ 2011年/イタリア/87分/映倫区分:G/原題:il villaggio di cartone 英題:The cardboard village 配給:アルシネテラン 2013年8月17日(土)より岩波ホールほか全国順次ロードショー。
公式サイト:http://www.alcine-terran.com/rakuen/
Facebook:https://www.facebook.com/rakuen0817