© 2014 NORD-OUEST FILMS PATHE RHONE-ALPES CINEMA

生まれながらに脳神経障がいをもち車いす生活を送る17歳の息子ジュリアン(ファビアン・エロー)を受け入れられずにいる父親のポール(ジャック・ガンブラン)。息子のことは妻のクレール(アレクサンドラ・ラミー)に任せて、自分は海外での仕事を渡り歩きジュリアンを避けてきた。家族3人の言葉に出来なかったぎくしゃくした関係が、ジュリアンのトライアスロンへのチャレンジで撚り合されていく。

アルプスの山間の町で美容師をしながらソフィーとジュリアンを育ててきたクレール。ある日、突然失業したポールが帰ってきた。だが、相変わらずジュリアンとどう向き合っていいのか戸惑いは隠せないままの日々。
ポールに息子として受け入れてもらいたいジュリアンだが、父親の気まずさも感じ取っている。ジュリアンは、新聞にアメリカ人の障がいをもつ息子と父親がアイアイマンレース(トライアスロン)に参加する記事を読んだ。ガレージの工具棚に、トライアスロンに参加していたころのポールの写真があったのを見たジュリアン。ポールにアメリカ人父子のように、ニースでのアイアイマンレースにいっしょにチャレンジしようと持ちかける。
若い時に自らチャレンジし経験を持つポールは、リタイアしたことも正直に話し、今はもうチャレンジできる体力がないと断る。
それでも、ジュリアンの頑固さは父親譲りなのか。学校のクラスメイトたちに、障がいを持つ自分たちにとって、泳ぐこと、走ることそのものが夢なのだとポールに説得を試みる。それでも、競技用自転車の特殊なことや練習の厳しさを理論的に説明して断り続けるポール。だが、ジュリアンの粘り強さに負け、競技への参加を承諾したのだが、競技大会の事務所からジュリアンには参加資格がないとの連絡が来た…。

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ニースでのアイアイマンレースは、トライアスロン競技の中でも最難関の大会といわれる。水泳3.8Km(オリンピック=OP:1.5Km)、自転車180Km(OP:40Km)、ランニング42.195Km(OP:10Km)を16時間の制限時間以内に完走しなければならない。単独参加者でも、完走するだけで’アイアンマン’の称号が贈られる。

ポールは、この難関なレースでジュリアンをゴムボートに乗せて泳ぎ、自転車を2人乗りに改造して標高差1000mの山岳地帯を走り、日陰のない海岸沿いを車いすを押してフルマラソンしてゴールを目指す。一歩間違えば生命を失う厳しいコースと練習。まさに全力でチャレンジする2人を、反対しながらもクレールはこまごまと世話をやき、アルプスの美しい景色、浜辺でスタートを待つ2700人の参加者など印象的な素晴らしい映像が励ましている。ポールとジュリアンから、あきらめない元気がもらえる。 【遠山清一

監督:ニルス・タベルニエ 2013年/フランス/フランス語/90分/映倫:G/原題:De toutes nos forces 配給:ギャガ 2014年8月29日(金)よりTOHOシネマズ日本橋ほか全国順次ロードショー。
公式サイト:http://greatdays.gaga.ne.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/gagajapan

*AWRAD* 2014年フランス映画祭オープニング作品