常連客が失踪すると噂されるカフェ店主マリコはどこか謎めいている…

なぜか常連客が行方不明になるという噂が立ち始めた町外れのカフェ。趣きのある店づくりで、オーナー店主は美人。そこには人生の迷路にはまり込んだ自殺志願者が集まっていた。いのちを捨てたいと願っている人に、女店主はなんと骨髄移植のドナー登録を条件に自殺を手伝うと約束する。捨てようとする’いのち’が、生きたいと願う見知らぬ人の’いのち’につなげようとする意図は何なのか。サスペンスフルな味付けで自殺志願者たちはそれぞれに人生といのちのつながりを見いだしていく。

ルポライターの榎木田(大迫一平)は、週刊誌の編集長(螢雪次朗)からスクープねたの取材話を持ちかけられる。美人オーナーのマリコ(関めぐみ)が経営する人里離れたカフェから常連客が疾走するという噂の真偽を探り、経過を毎日報告しろという。

榎木田は、ほどなく3人の常連客に目星を付ける。元ボディビルダーの松浦(角田信朗)、婚約者に逃げられたアスカ(市川由衣)、頭脳明晰と自負しいじめられっ子だったため無差別殺人を企てていたというスグル(藤原薫)。彼ら3人は、マリコに勧められて骨髄移植のドナー登録をしているという一本の線でつながってきた。そして3人とも自殺願望をもっている。

客扱いはそつないが、どこか心が読めず不思議な寂しさを感じさせるマリコ。マリコは、自殺志願者の客に、骨髄移植のドナー(提供者)登録をし適合患者への移植を受け入れることを条件に安楽死できる薬を提供していた。マリコは、なぜ骨髄移植手術で他人を助けることと、自殺の実行を補助するという矛盾するようなことをしているのだろうか。

ルポライターの榎木田(左)は、週刊誌の編集長からカフェのスクープ取材を持ちかけられる

骨髄バンクに登録したドナーは、適合する患者が見つかるまで施術できない。提供者も適合する患者も互いに相手の情報は知らされない。そのほか骨髄移植についての実情が、松田の適合患者が見つかったことから自然な形で教えられていく。

この作品の企画は、14歳の娘を急性骨髄白血病で亡くした母親が骨髄バンクの少ない事や骨髄移植についての誤解や偏見を実際に経験したことが発端になっている。

たんに骨髄バンクの存在や骨髄移植のことを知ってもらいたいためだけではないだろう。生きたいと願っていても病気などで自分の寿命を見極めなければならない人生がある。一方で、毎年3万人近くの人が自死している日本。自分の人生とかけがいのない’いのち’がどこかでつながれば、この’迷宮カフェ’のように、人生の迷宮に出口の灯が見えてくる。 【遠山清一】

監督・脚本:帆根川廣 2015年/日本/111分/映倫:G/ 配給:KADOKAWA 2015年3月7日(土)より角川シネマ新宿ほか全国順次公開。
公式サイト:http://www.meikyu-cafe.com/
Facebook:https://www.facebook.com/meikyu.cafe