キリスト教会・呉ボランティアセンターは、7月17日に宿泊所を開設し、本格的な支援活動を開始。23日には重機を借り受け、重機プロジェクトを開始している。(レポート・北野献慈=キリスト教会・広島災害対策室室長)

7月9日にすべての道路と鉄道が封鎖し断水状態だった呉市狩留家の児童擁護施設、救世軍・愛光園および児童家庭センター「明日葉」にフェリーを使って給水用のクーラーを手持ちで持ち込んだことから始まったキリスト教会・広島災害対策室の働きも3週目の後半に入った。最初の2週間行なってきた施設や断水地域への数百ℓの大型タンクによる給水活動は、ついに自治体が給水車を直接送ってくれたことで終了することができた。
 7月17日からは、「キリスト教会・呉ボランティアセンター」(以下「教会ボラセン」)の宿泊所を開設。その宿泊ボランティアと広島、呉等からの当日ボランティアと共に本格的な災害救援活動が始まった。活動の中心地は呉市でも最も被害が多かった天応地区を中心に、同市内の安浦、広、川尻地区等である。天応地区は愛光園の隣接地区でもあり当災害対策室メンバーである救世軍吉田有小隊長が施設長およびセンター長として日頃から社会福祉協議会(以下社協)の職員や民生委員と顔見知りであったことで、7月9日の呉市ボランティアセンター立ち上げ時から様々な形で支援してきた。教会ボラセンチームは、社協や自治体での対応が難しいケースを請け負ったり、独自の判断で社協のボランティアが入れないところ、またはほとんど入っていない民家で泥出し作業をさせていただくこともある。実際、教会ボラセンの先陣を切って17日から数日間ご奉仕くださった石巻・渡波キリスト教会チームは、代表の小沢倫平氏とアメリカ人8人によるチームで黙々と丁寧に泥出しや部屋の清掃をしてくださった。特に今まで社協のボランティアがほとんど入っておらず、老夫婦が2人で作業しながら途方に暮れておられた家で2日間にわたる作業を行い、不要な家財道具を搬出し、床下から泥を撤去することができた。作業後チームが許可を得てアメージンググレイスを賛美するとお2人の目から涙があふれた。その後も23人編成の本郷台キリスト教会チームなど団体や個人で駆けつけてくださっている。その真摯で心のこもった働きぶりは派遣されるあらゆる場所で住民からの感謝と賞賛を得ており、現在2週目の後半である。

7月23日からは重機プロジェクトを立ち上げている。当初は2tや軽トラックを数台借りて運搬に使用していた程度だったが、地元住民が借りていた重機を代わりに借り受けたり、新たにリースをしたり、災害前から万一の場合の依頼をしていた広島市内の建設業者に4人の重機およびダンプカーの運転手を有料で派遣してもらったりし、重機プロジェクトが本格始動した。現在はユンボが4台、2tと3tのダンプカー5台、2tと1tの軽トラックが4台を自由に使うことができ、ボランティアの運転手たちと協力し、また市からの派遣業者と分担しながら急ピッチで里道や民家の泥出しを行っている。時には住民やボランティアの人手ではどうしようもない場所をアッという間に解決したり、手作業との連携もあったりして欠くことができない働きとなっている。
教会ボラセンの立ち上げ直後にバイクプロジェクトも立ち上げた。バイクを3台購入し現地リーダーに貸し出し、さらに中古3台は自由に無料貸し出しリーダーたちの機動性や力温存に一役買っている。7月26日からは高圧洗浄機による「クリーンプロジェクト」がスタート。先に「水支援プロジェクト」で活躍した数百ℓ入りの給水タンクをトラックに載せ複数の高圧洗浄機を駆使していっきに町を綺麗にする。すでに日本基督教団から約20台のエンジン付き高圧洗浄機の寄贈予約をいただいている。
 これらの働きは教会ボラセンのために教会を提供くださった本部のインマヌエル呉キリスト教会(内山忠信牧師)をはじめ5つの宿泊を提供してくださっている教会と団体があること、また全期間に渡りスタッフを派遣する日本国際飢餓対策機構(JIFH)とサマリタンズパース・カナダがあること、その他すべての団体と個人の協力があることで、良きチームが成り立っていることを付け加えたい。
 献金およびボランティア参加はウェブサイトかフェイスブックの「キリスト教会・広島災害対策室」を参照。キリスト教会・広島災害対策室(北野献慈、堀川寛、吉田有)。