アリアーナ・リヴォアール: 1995年生まれ。アメリス監督は、マリー・ウルタン役を盲者もしくはろう者の少女をキャスティングすることを考えていた。アリアーナは、オーディションに応募していたが、すっかり忘れていた。アメリス監督が学校を訪問したときアリアーナの存在に気づき、面談して決めたという。マリー・ウルタンは10歳のときライネル聖母学院に入学したが、アリアーナに合わせて14歳に設定した。本作がデビュー作品だが、演技は初めての経験。国際的な映画祭でのアリアーナに対する演技力の評価は高い。
アリアーナ・リヴォアール: 1995年生まれ。アメリス監督は、マリー・ウルタン役を盲者もしくはろう者の少女をキャスティングすることを考えていた。アリアーナは、オーディションに応募していたが、すっかり忘れていた。アメリス監督が学校を訪問したときアリアーナの存在に気づき、面談して決めたという。マリー・ウルタンは10歳のときライネル聖母学院に入学したが、アリアーナに合わせて14歳に設定した。本作がデビュー作品だが、演技は初めての経験。国際的な映画祭でのアリアーナに対する演技力の評価は高い。

フランスのライネル聖母学院で点字教育指導などに奉職した生まれながら盲ろう障がいをもったマリー・ウルタン(1885~1921年)と、マリーに言葉を教え生きる希望へと導いたシスター・マルグリットの物語を描いた映画「奇跡のひと マリーとマルグリット」が6月6日より公開される。同作は、盲ろうの教育家・社会福祉活動家ヘレン・ケラー(米国・1880~1968年)とサリバン女史の物語「奇跡のひと」(アーサー・ペン監督、1962年作品)に感銘を受けたジャン=ピエール・アメリス監督が、20年間盲ろう者について研究し、ルイ・アルノ著『檻に閉じ込められた魂たち』に紹介されているマリーとマルグリットを知り映画化に取り組んだもの。生後19か月までは健常で裕福な家庭に育ったヘレン・ケラーとは異なり、貧しい樽職人の家庭に盲ろうで生まれ、教育も受けられず野性的に育ったマリー・ウルタン。マリーの粗暴で難しい心理描写を演じたろうの障害をもつアリアーナ・リヴォアールさんに話を聞いた。

言葉は暗闇だった魂に光を与えた

アリアーナさんは、この作品のオーディションに応募していたが、選考当日そのことをすっかり忘れていたという。「私にとって映画に出演する女優になるなって、まったくの想定外のことでした。でも、アメリス監督から話しかけられ、自分の内側に閉じこもっていたマリーがマグリットによって外に向かって引き出されていき、自分の障がいを乗り越えて他者とコミュニケーションできるようになる進化のプロセスにとても興味を持ちました。」
実際のマリーは10歳のときライネル聖母学院に入学したが、物語ではアリアーナさんに合わせて14歳に設定されている。マリーの両親は、言葉やしつけを教えるられず野性児のような振る舞いをそのままにしていていたが、マリーを愛していた。父親は、マリーを精神病院へ入れることに躊躇しろう者を養育しているライネル聖母学院に連れてきた。だが、唯一信頼できる父親から引き離されることを直感したマリーは、学院の庭を動物的なすばしっこさで逃げ回り木によじ登ってしまう。シスター・マグリット(イザベル・カレ)は、院長に命じられてマリーを木から降ろすが、その行きがかりの中で暗闇の中にいるようなマリーの魂を導いて生きる希望へと解放させたいという召命を強く抱き、重い持病も顧みずマリーの養育に命をかける。
「マリーには、人との触れ合いが必要でした。でも暗闇の世界しか知らないマリーの心は怒りと憤りにあふれていたことでしょう。マルガリットは、そのようなマリーを一人の人間としてみようとしていた。大変な努力と忍耐を要したことでしょうが、二人の間には、人間として最低限必要な“お互いをリスペクトし合う関係”が生まれたのです。これは、障がいを抱える人に限らず健常者の人々にも大切なことだと思います」。

 (c)2014 - Escazal Films / France 3 Cinema - Rhone-Alpes Cinema
(c)2014 – Escazal Films / France 3 Cinema – Rhone-Alpes Cinema

現在、この作品のろうあ者向け字幕版や手話付上映、視覚障がい者向け音声ガイド版などのバリアフリー版制作のためのキャンペーンが展開されている。アリアーナさんは、「アメリス監督は、盲人・ろうあ者の生活習慣についてとても正確にこの作品で描いています。フランスでこの作品の障がい者向け字幕版を作り、上映するために大変苦労され戦ってくださいました。日本でバリアフリー版が完成し、障がいをもっている人たちにも見ていただけるなら大変うれしいですし、ポジティブで素晴らしいこと。映画とキャンペーンが成功することを心から願っています」と期待を語っていた。【遠山清一
バリアフリー版キャンペーン  http://kibi-dango.jp/info.php?type=items&id=I0000100

監督:ジャン=ピエール・アメリス 2014年/フランス/94分/映倫:G/原題:Marie Heurtin 配給:スターサンズ、ドマ 2015年6月6日(土)よりシネスイッチ銀座ほかロードショー。
公式サイト:http://www.kiseki-movie.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/kiseki.movie