(前回つづき

前回は→ ○青年伝道座談会④ “「営み」って何ですか”

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 佐野 日本同盟基督教団で今年始まった取り組みで、金曜夜に都心の貸しスペースを借りて、働く青年20〜30人での集まりがあります。

 増田 どんなことを話すのですか。

 佐野 1日どうだったかを話すだけで時間があっという間に過ぎていくそうです。担当する先生もお茶出しに徹して、信徒のリーダーが導きます。

 増田 日本基督教団でも教会を超えた青年の集まりがなくはないですが、30〜40代が集まる場がないという課題があります。

 佐野 青年を私たちの企画に取り込むのではなく、場所を用意して、自由に来てくださいという姿勢。働く人の存在をそのまま受け止めて、肯定してあげます。

分かったことは、今まで青年というと、大学生と青年でひとくくりにすることが多かったのですが、社会人は学生と一緒だと学生に合わせないといけなくなる。本音の話は社会人だけだからこそできるんです。  

野田 大学生までは楽しく奉仕しますが、社会人になると、みな仕事でフラフラになり、教会に来るのがやっとです。これは世界的な傾向みたいです。世界的な聖書講座「アルファコース」では、青年向けコースが最近リニューアルされました。疲れて弱くなった若者に届くプログラムに見直されているみたいです。

 佐野 キャンプで子どもたちをつないで、社会人までに、いっしょに奉仕できるようになることが目標ですね。

 野田 そこまでいくと本当にいいですね。 

 野田 何年かですぐ仕事を辞めてしまうというケースがあります。職業選択についてどう伝えていますか。

 佐野 教団で職業セミナーをやったのですが、その分科会の1つに、スキルアップと転職についてのテーマがありました。職場が嫌だからか、スキルアップしたいかで転職の意味は違います。現実の職場ではケースバイケースで、一概には言えないでしょうけれど、ぜひ取り扱ってほしいテーマの1つですね。「辞めたいけれど、辞めていいんですか」と相談があります。働いている人の悩みは、本当に深いですね。

 野田 そうですね。私が牧会し始めたころの小学生も社会人になってきていますが、3年や1年で仕事を辞めることがあります。仕事がきつすぎるという問題もあるかもしれません。日曜の礼拝や奉仕と両立できない場合もあります。また自分探しというか、職業に夢、目標を求めようとすることもあります。ただ夢と職業が一致するのは、一部の専門的な仕事に限られますよね。与えられた仕事で成長することも多いと思います。職業だけでなく、奉仕や、ライフワークの方向に夢を持ってもいいのでは。「仕事は生計の手段と割り切って、しっかり仕事して成長してもいいのでは」と伝えることもあります。

 佐野 疲れ果てて、仕事ではなくて、「教会を辞めます」ということも起こります。奉仕が苦痛だからだと。勤務状況や体調がありますから、「1つの奉仕をすべてできなくていいから、やれるところでやって」と励ましています。「少ししかできないからやらない」というようにならないよう、フォローが大切になります。若い世代がいると、上の世代は「奉仕をしてもらえる」と、つい期待してしまう。でも実際は仕事で疲れてヘロヘロ。「奉仕やって」と言われたくないから教会を辞めるとなるとどうなのか。難しいですね。

 野田 礼拝に来るだけでやっとということありますね。本当にねぎらって、感謝して「できる範囲でいいから」と励ましたいですね。

 増田 礼拝に来てくれるだけでも本当にいいですよね。

 佐野 礼拝の後に、聞かれたくないかもしれないけれど、「最近お仕事どうですか」と聞くようにしています。仕事の悩みも話せる関係性をつくっておきたい。若い子には「3年は同じ職場でやろうね」といっています。結婚についても学生時代から付き合っている場合、3年待とうと。

でも3年でも大変な場合がありすよね。

 野田 頑張りすぎてうつになってしまってもいけないですから。その子にあったアドバイスを見極めることが、牧会で大事になりますね。

 佐野 私は牧師の仕事しか知らないのですが、働く苦労は、一般社会にも通じる面があるんですね。教会での企画運営は、社会的に弱い立場の人、うまく適応できない人も視野に入れます。これは実は一般社会では非常に高いスキルとみなされるんです。(つづく

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