前回つづき

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 佐野 今の子どもたちはどうですか。

 増田 教会には、幼稚園生、小学生が14、5人います。ただ中学になると部活で教会に来れなくなりますね。青山学院や、東洋英和女学院と関わりがあり、生徒さんが来てくれます。  

 佐野 5年前に埼玉県の教会に就任しました。当時、小学生以下がいなくて、中学3年生が1人。信徒は50〜60代の人が中心ですが、その子どもの世代が教会につながらなかった現実があります。高齢者が多いのですが、大変元気に食事当番や掃除を奉仕なさいます。現状、教会学校は、定期的に来るのは私の子どもだけ。小中以下の世代を開拓伝道していかないといけない現場にいます。

写真=左から野田、増田、佐野の各氏。東京・千代田区お茶の水クリスチャン・センター内の東京グレイスハウスで

 増田 何か取り組んでいますか。

 佐野 未就学児用のナーサリーのプログラムをしています。教会学校もアレンジして、楽しいことをやるようにしました。子どもの友だち関係で、年平均約15人が出入りするようになりました。ただ定期的に教会に来るのは難しい。上の子も中学生になり、部活をどうするか。同盟教団全体の統計では、教会に集う中1の数が小6の数の半分でした。今教会にいる子をどう育てるかが課題です。JEA(日本福音同盟)でも、子どもが1人、2人だとしても大事に育てれば次世代形成ができる、という意識を共有しています。

 野田 うちは小学生14、5人、中高から青年も30人以上います。全体で80人くらいの礼拝ですが、半数以上が子どもや青年。フィリピン系の子が多く、明るい元気な気質があります。

 増田 多いですね。

 野田 しかし8年前に赴任したときは、子どもたちが教会で遊び回って、教会学校も学級崩壊のような状態。「放っておいたら、将来みな教会に来なくなる。教会学校を作り上げるのが急務」と思いました。教師を励まし、指導して、教師が増え、キャンプも実施しました。今ではあまり教会を離れる子はいなくなりました。離れた子たちも戻ってきています。誘われて新たに来る子もいますが、ずっと育ってきた子たちが核になっています。

 佐野 どのような工夫をしましたか。

 野田 キャンプでは、5、6年生には個別のカウンセリングをしています。「中学になるとすべて変わるよ。部活、受験勉強があるよ。君はどうする。先輩たちを見てみて」と話します。なるべく教会と両立できる部活を選ぶよう勧めていますが、大事なことは、小学生のときにできるだけ信仰を持つことが大事だと知ってもらうことです。サッカー部など忙しい部活に行った子も、引退して戻り、教会で熱く燃えて奉仕しています。子どもたちに伝えるには中学になってからでは遅いかなと思います。

 佐野 個別にしっかりと向き合わないといけないですね。

 野田 それから、とにかく教会が楽しくないといけない。教会はビルのほぼ1フロア。部屋も少ないので、牧師室を開放して、中高生の居場所にしています。漫画、ボードゲームも用意して。日曜は礼拝後に中高生や青年のプログラムがありますが、中高生はそれが終わっても、夜7時ころまで残って遊んでいます。教会が楽しいと思える時間を1分でも長く持って欲しい。結局早くに教会を閉めても、中高生は、いろんなところに遊びにいってしまう。変なところに行くよりも教会の方が健全かなと思います。

 佐野 確かに。

 野田 最初は20代以上は少なかったのですが、子どもたちが、だんだん成長してきて、礼拝の奏楽の奉仕もしています。飛び跳ねて賛美しています。いくらフィリピン系の人が多いと言っても、高齢の方はリズムについていけないと思うのに、喜んで受け入れてくださっています。

 増田 それはいいですね。

 野田 未熟な部分もあるけれど、なるべく忍耐します。今の子は怒られることに慣れていない。タイミングをみて励ましながら注意しますね。いきなりガツンと言うと関係が切れることもあります。私も失敗しながら学びました。しかし、私たちの子どものころは教会学校でもすごく怒鳴られましたね。

 佐野 めちゃくちゃ怒られたなあ。

 野田 学校でもそうでした。そういう時代だったので耐えられたのかもしれないですが。 (つづく)

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