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 第2回日本青年伝道会議(NSDⅡ)初日の青年大会で講師を務める山本陽一郎さんは、岐阜県多治見市の同盟基督・多治見中央キリスト教会を牧会する。同教会は、戦争孤児の養護施設として宣教師の働きで始まった。施設は数年で閉じたが、「歴史の中でたえず、子ども、青年がいた教会」と山本さんは言う。「地方の田園地帯だが、教会には様々な世代が集っています」

 近年も教会員の子どもだけでなく、地域の子たちも集っている。その窓口の一つが、平日に宿題や遊びのために教会堂を開放する「みんなのひろば」だ。「5年前に自分たちや教会員の家族の子どもたちが夕方集まって宿題をしたことから始まった。内輪の小さな集まりだったが、学校の友だちを誘うようになって広がった。地域の皆さんには、教会に対する様々な先入観があったかと思うが、教会はこういう場所なんだと実体験で分かってもらえる場になっています」

 青年伝道において大切にしていることは、「彼らの気持ちや状況を受け止めて、いっしょに歩むこと」と言う。「上から目線で正論を言われても、青年の心に届かない状況がたくさんある。いっしょに歩み、その中で、神様を見上げていくことが大事です」。教会では、よく声かけをしたり、個別の課題がある時は、「この間のことはどうなった?」と聞いていっしょに祈ったりしている。

 幼いころから教会にきていた青年たちは大学生になり、教会学校で精力的に奉仕するようになった。「一方的ではなく、いい形で背中を押していきたい。しっかり土壌つくりをして、彼らの主体的な力を信頼していくことが大切だと思います」

 山本さん自身、青年時代に、助けられた経験がある。10代後半に不登校になり、それをきっかけに教会や神様に対して「どうして信じているのにこんな苦しいの? なぜ答えてくれないの?」などの疑問をもち、教会にも行かなくなった。

 親の強い勧めでクリスチャンのキャンプに行くと、「難しい高校生だったと思うが、青年のスタッフたちが、根気強く隣に座って話を聴いてくれた。『ダメだ』などと言わず、『こういうことかな』といっしょに考え、気持ちを理解しようとしてくれた。あのような人たちがいてくれたおかげで、立ち直って神様を見上げていくことができたのだと思います」

 そのころ悩んでいたのは「生きる目的」だった。「クリスチャンではない人からは『どうせ分からないのだからそんなこと考えても仕方ない』と言われた。しかし、目的なしで生きることに納得できなかった。本当に神様がいるならば、その答えを教えてほしかった」と振り返る。

 そのような中、教会のメッセージから、「自分の命は、自分の楽しみ、思い通りにするためだけにあるのではない。神の国を建て上げるためにあるのだ」と教えてもらった。「神の国建設、ということで生きる意味がはっきりした。友だちと遊ぶ時も、家庭にいても、勉強していても、悩んでいる青年と話しているときも、何をするにも、目の前のことを対処しているだけではなく、その場で神の国を広げているのだと分かりました」

 自身がキャンプで励まされた経験から長らく松原湖バイブルキャンプに関わり続けて、現在は、キャンプ委員長も務める。「キャンプで受洗の決心ができたり、新しい賛美を覚えてきて励まされたり、青年たちや子どもたちにいい影響を与えています。それだけではなく、子育てが終わった世代の教会員も奉仕でキャンプに参加し、子どもたちの成長をみて、励まされています」

 NSDのような超教派の集会については、「教会に通う人たちにとって、集まること自体に意味がある。こんなにもクリスチャンの青年が全国にいると実感してほしい」と話した。「知らない人たちと会うのは緊張するが、刺激も多い。牧師の100の言葉より、一人の同世代の姿に大きな影響を受けることがある。ぜひ友だちをつくってほしい。それは自分の教会をより深く知り、愛することにもつながる。そして、いっしょに神の国を建て上げていく使命と喜びを知ってほしい」と勧めた。           つづく)【高橋良知

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