2019年02月10日号 08面

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『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』(偕成社、1,080円税込)というお話を読んだことがあるだろうか。退屈なキリンが一度も会ったことのないペンギンと文通を始め、ペンギンとはどんな姿かと想像をたくましくし、やがてペンギンの格好をして会いに行くというお話だ。この作品は世界各国の言語に翻訳されており、昨年10月、ドイツで最も権威のある「ドイツ児童文学賞」の児童書部門で金賞を受賞した。作者は童話作家の岩佐めぐみさん(ぶどうの木八王子キリスト教会員)だ。岩佐さんは「27歳の時に見た夢がすべての発端だった」と語る。 【中田 朗】

「ペンギンのまねをするキリン」
という不思議な夢を見た

『ぼくはアフリカにすむキリンといいます』は、2001年に出版され、今年1月の時点で16刷りを数えるロングセラーだ。絵は絵本作家の高畠純さん。この作品は韓国語、台湾語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、英語、ドイツ語など世界各国の言語に翻訳され、さらに他国からの翻訳のオファーがあるという。また、この作品をきっかけに、『わたしはクジラ岬にすむクジラといいます』『オットッ島のせいちゃん、げんきですか?』など、シリーズ化もされている。キリンとペンギンといった身体の形も生活スタイルも全然違う二つの動物が交流してお互いを知り、認め合うという内容は、人種も民族も言語も文化も全く違う人同士の「異文化交流」をほうふつとさせるお話としても注目を集める。DSC_0001
この作品が誕生するきかっけは、「不思議な夢」を見たことだった。本を出版する夢で、その本には「ペンギンのまねをするキリン」というタイトルがついていた。「とてもクリアな夢でした。夫にその夢の話をしたところ、『どんな話?』と聞いてきました。『読んでいないから分からない』と返事をすると、『タイトルが面白いから、どんな話か考えてみたら』と言ってくれたのです。それでその日一日ストーリーを考えて、『こういうお話を考えたんだけれど』と話すと、今度は『面白いから書いてみたら』と勧めてくれたのです」
だが、その話が本になるまでは、15年の歳月が流れることになる。理由があった。当時はちょうど11年間離れていた教会に戻ったばかりの頃。「もう二度と神様から離れたくない、神様の願っているように生きていきたい」と強く思っていた岩佐さんは、その時は、「このお話を書くことが神様の願いではないような気がして、途中で書くのをやめた」。同時に、「このお話を書くことが神様の御心ならば、いつかきっと書く時がくる」という確信があった。そして、「ペンギンのまねをするキリン」の夢のことが思い出されるたびに「神様、書いていいですか」と祈った。でも、神様のゴーサインは、なかなかでなかった。

「私の手のわざを祝福して
ください」と祈りながら書いた

ある日、「自分で絵を描いてみよう」とアフリカのサバンナの絵を描いてみた。しかし話と合わず、全然描けなかった。そんなある日、高畠さんの絵と出会った。「こういう絵だ!と思いました。その時から、『高畠さんは私のお話にぴったりの絵を描く人』とインプットされました」49603601_2055564087832640_3798268441480134656_n
ある日、子どもたちが通う小学校で朗読会があり参加してみた。その朗読会には特別ゲストが来ていたが、なんと高畠さんだった。 岩佐さんは高畠さんにサインをもらい、その時ポロッと言った。「私もお話を書いているんです」。すると、「それはいいですね。頑張ってください」との返事があった。
半年後、高畠さんから個展の案内が届いたので行ってみた。個展で再会すると、「お話はどうなりましたか?」と言われた。「すぐに出版の確率は低いけれども、何かアドバイスができるかもしれないので、良かったら見せてください」。その言葉に励まされ、原稿を完成させて送ったところ、「楽しいし、面白い。出版社に見せていいですか。これが形になるようなら、僕に絵を描かせてもらえませんか」との返事が来た。さらに、来年のカレンダーが同封してあった。「8月のページを見てください」と書いてあったので見てみると、それはキリンが手紙をくわえてペンギンに差し出している絵だった。「奇しくもそのカレンダーは私が原稿を送るときには、すでにできあがっていたのです」。こうしてトントン拍子に話は進み、本が偕成社から出版された。
「時がついに満ちて、この時のためのみこころが実行に移され、天にあるもの地にあるものも、いっさいのものがキリストにあって一つに集められることなのです」(エペソ1・10、新改訳聖書第二版)
出版へと動き始めた時に、岩佐さんに与えられた御言葉だ。お話は、「主はあなたのすべての働きと手のわざを祝福してくださる」(申命記15・10)の御言葉を覚えつつ、「私の手のわざをきよめ、祝福してください」と祈りながら書いた。今、この物語は世界中に広がっており、イギリスのブックフェアなどにも招かれるようになった。「今はこの本と共に世界に出て行って、神様のことを伝えていきたい」と、岩佐さんは目を輝かせながら語った。