2月9日号紙面:イラスト描画を追って聖書の構造を理解 「Bible Project」映像
イラスト描画を追って聖書の構造を理解 「Bible Project」映像
新旧約聖書各巻の内容を、堅実な神学に裏打ちされながら、スタイリッシュかつ簡潔に伝える映像シリーズがYoutubeなどで公開された。「Bible Project(以下・バイブルプロジェクト)」(URL https://thebibleproject.com/japanese/)だ。
聖書各巻の「概観」シリーズでは、ナレーションに合わせてイラストや図が描かれ、それらを目で追いながら各巻の内容を整理できる。全体構成や前後関係が絶えず意識され、最後は一枚の大きなイラストとなり、各巻の絡み合った内容が一目で分かるようになる。どの映像も約7、8分だ。
たとえば詩篇では、「最初から最後まで読まないと気づかない構造がある」と指摘。詩篇の5巻からなる構造をとらえ、トーラー(教え、モーセ五書)を思いめぐらす第一篇、メシアなる王を示す第二篇が全体の基調となることを提示。この視点から各巻の内容や解説をしていく。詩篇全体には、嘆きから賛美への移り変わりがあり、「メシアを待ち望みつつ、この世界の悲劇、葛藤を見て見ぬ振りをしない。しかし信仰は未来志向」と述べ、最後に「トーラーとメシア、嘆きと賛美、信仰と希望、これが詩篇です」とまとめる。
バイブルプロジェクトが翻訳する映像は、米国の「Bible Project」(URL https://thebibleproject.com/)が制作したもの。そのビジョンは、「聖書は、最初から最後まで一貫したストーリーであり、そのストーリーはイエスに至ることを伝える」だ。
米国のキリスト教大学で同級生だった聖書学者のティム・マッキーさんとアニメ制作者のジョン・コリンズさんが、ビジョンを語りあったことに始まる。2013年に数人でアニメーションを制作すると、次々と協力者や支援者が現れ、現在では旧新約聖書全巻の概観、テーマごとの解説など、140本の映像を備える。スタッフの中には神学者、アニメーター、イラストレーター、ウェブ技術者、マーケッターなど各業界の一線で活躍してきた人たちがそろう。
同日本語チーム、プロジェクトマネージャーの宇賀飛翔さんは、4、5年前からバイブルプロジェクトの映像に関心を持ち続け、「ぜひ日本語版を制作したい」と交渉していた。昨年G&M文化財団の協力も得て、制作が開始した。宇賀さんが所属する青少年宣教団体ワンホープも応援した。
日本語版は字幕ではなく、映像そのものの文字をすべて日本語に置き換えている。それらの作業のためにイラストレーター、アニメーター、ナレーター、翻訳者、学生伝道団体スタッフなどが集まった。「台本は、すぐれた神学的考察に基づいてつくられており、基本的にはこれに従う。もともと神学用語や教会用語をなるべく使わずに、シンプルな言葉に置き換えている。それでいて意味は浅くない。しかし英語と日本語の文法の違いがあり、イラストやアニメーションの調整が必要。言葉のニュアンスや説明も日本に合ったものにしなければなりませんでした」。このような努力の結果、日本語版としてスムーズに視聴できる内容に仕上がった。
昨年のクリスマス前から映像の公開を始めた。中には一か月で再生回数7千回以上になる映像もあった。今後は、月4本のペースでほぼ毎週1本ずつ公開する予定だ。聖書各巻の「概観」シリーズ全73本を毎月3本ずつ3年かけ、ルカの福音書・使徒の働きのアニメーションシリーズを毎月1本ずつ1年かけて公開する。
「ぜひYouTubeの『ザ・聖書プロジェクト』チャンネルを登録して見てほしい。フェイスブックやウェブサイトもある。今後、字幕をつけて聴覚障がいを持つ方も見ることができるようにしたり、概観のイラストをダウンロードできるようにする。個人で使用すると同時にグループの学び会に役立つと思う」と勧める。
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