10月4日号紙面:落ち穂
わが国では、2人に1人はがんにかかると言われている。筆者の知人にも、この数年で50代の女性2人ががんの発病後1年で亡くなった。がんという病は、患者自身の苦悩が大きいと同時に、その家族にも大きな心の負担を与える。そのような現状の中、8年前にスタートした「がん哲学外来カフェ」は全国で94か所を数え希望の光となっている◆「がん哲学外来・カフェ」は病理学者の樋野興夫氏が2008年、「がん哲学外来」を順天堂大学で提唱したことに始まる。順天堂大学医学部に勤めていた樋野氏は、がん患者が病を得たことを機に、より良い生き方を模索するためのサポートをする働きを始め、それが発展して「がん哲学外来カフェ」が、教会や公共の施設などで開かれるようになった◆樋野氏は、「百万人の福音」誌のインタビューで「カフェに来て、悩みがすべて解決するわけではない。でも、解消する。つまり、悩みの優先順位が下がることで、自分の生き方を見つめ直し、与えられた使命を生きる勇気が湧いてくる。病気であっても“病人”ではなくなる」と語る。このカフェの働きは、教会に求められている現代的役割と言えないだろうか。