シリーズ●教団・教派を知る 日本聖約キリスト教団 自由教会ルーツに、みことばに聞き、宣教に仕える

横浜上陸の最初の宣教師7人(8人目の宣教師が撮影)

スウェーデン聖約キリスト教会から生まれ

西日本から独自の教会形成

●設立まで
宗教改革記念日にあたる1949年10月31日にスウェーデン聖約教会の宣教師8人が中国から来日した。翌年、米国カベナント教会宣教師らの協力により宣教地として岡山に導かれる。倉敷を拠点に「瑞典(スウェーデン)組合教会」(後に瑞典組合基督教会に改称)の名称で本格的な伝道が始まる。50年代初頭より、児島、岡山、吉備、玉野などでの伝道が始まる。54年に「瑞典聖約基督教会」に改称。それまでの日本基督教団との協力関係を解消し、独自での教会形成が始まり、倉敷、岡山にて最初の洗礼者が与えられる。59年には米国より帰国した大山武俊が最初の邦人牧師として任職を受けた。

●日本聖約キリスト教団設立
63年11月10日に(宗)日本聖約キリスト教団が設立される。翌64年にはスウェーデン聖約教会との間で伝道、人事、財産などの移管についての協定書が調印された。同年5月には第1回教団総会が開催され、教憲、教規、諸規定が定められた。

●設立後の歩み
60年代末から70年代にかけて岡山での宣教は躍進し、水島、一宮、備北、広江、山陽、笹沖、津山、と教会設立が相次いだ。さらに80年代には関西および首都圏への召しが与えられ、尼崎、神戸、加古川(以上兵庫県)、吹田(大阪府)、浦安(千葉県)にて伝道が始まる。84年にはその後の青少年伝道注力のために大きく用いられることとなるユースセンターが牛窓に完成した。88年にはカベナント・チャペルが発足。JR岡山駅前のホテル内のチャペルを礼拝堂にしてユニークな教会形成が始まった(2019年閉所)。85年には日本福音同盟に正式加盟した。
90年代前夜より信徒聖書学校を開校し、幅広く信仰の研鑽(さん)が積まれることとなった。92年には南輝教会が産声を上げる。またこの年、同じ自由教会のルーツを持つ日本福音自由教会協議会、日本聖契キリスト教団、日本同盟福音教会とともに日本自由福音教会連盟(通称:四団体)が正式に発足した。93年には教団設立30周年記念大会を開催し、さらなる前進を祈る。95年1月の阪神淡路大震災では神戸教会が被災、教団が一丸となり再建を果たした。

川口達也教団議長

2011年3月の東日本大震災では浦安教会が被災。その支援を契機に災害支援委員会が設置され、以後、岩手県宮古市や熊本県などの被災地での支援活動に協力した。13年には教団設立50周年を記念する聖約コンベンションが開催された。18年7月の豪雨災害にて倉敷市真備町が被災。この時に立ち上げられた岡山キリスト災害支援室(岡キ災)に当初より協力している。
現在、岡山県を中心に、広島県、兵庫県、千葉県に17の教会がある。
(藤田英彦=教団副議長)

 

救いの契約 キリスト者の団結
1.教派の歴史および信仰の立場の概要と特色

「聖約」という言葉には二つの意味があります。一つは、神と人との間にある救いの契約で、旧約聖書の「約」と同じです。二つ目の意味は、世界宣教のためにキリスト者がする団結の「約束」という意味です。
私たちのルーツとなるスウェーデンの聖約教会は、19世紀にスウェーデン国教会を離脱した多くの教会が、世界宣教のために協力しようと集まって誕生したものです。以後、ヨーロッパ、アフリカ、アジア、中米にと宣教師を派遣し福音を伝えてきました。
神学的には、スウェーデンの国教会であったルーテル派の影響とともに、日本の教職者の出身神学校の影響から、改革派神学の流れもあります。そもそも、国教会から出たきっかけが、伝統よりも聖書に聞き従うことを追求した結果であり、また教団誕生の目的が世界宣教のための協力であったことから、みことばに聞くこと、そして宣教の働きに仕えていくことを大切にしています。

2019年聖約コンベンション

信徒の賜物を生かす
2.現状と課題、重点的取り組み

教職者の不足が現状の課題です。ただ、教職者が減少しても教勢は少しずつ伸びています。教団の責任役員のメンバーの半数が信徒であることは、私たちの教団の特徴を表していると言えるかもしれません。教職者のリーダーシップは重要ですが、信徒の一人一人が主によって与えられた賜物を活(い)かし、協力していることは同じくらい大事なことです。私たちは、収穫の主に、働き人を送ってくださるようにと切に願っていますが、働き人の中には信徒も含まれています。この課題について、お祈りに覚えていただけると幸いです。
また、2018年7月の西日本豪雨により、岡山県宣教の集い(草井琢弘委員長)が母体となって岡山キリスト災害支援室(以下岡キ災)が発足いたしました。そのきっかけとなった出来事が発災後に来岡したハンガーゼロ(日本国際飢餓対策機構)のスタッフと教団災害支援委員会(以下委員会)との話し合いでした。この席上に草井師(のちの岡キ災室長)がオブザーバーとして臨席、岡キ災発足へと導かれます。
委員会は、11年の東日本大震災の支援が直接のきっかけとなって設置されました。しかし、背景には1995年の阪神淡路大震災における支援活動から続く流れがあります。大震災の発災当日、教団教職者会が岡山にて開催され、支援活動に即応します。翌日、最初の救援隊を支援物資を満載した車両とともに神戸に派遣、神戸聖約キリスト教会を拠点に活動を開始しました。そのような経験が基盤にあります。委員会は、岡山県内の2教会に緊急支援のための機材(造水機や発電機等)と物資(長期保存食料や衛生用品等)を貯蓄。発災時には災害支援を実施。今後も岡キ災と協力しながら、発生するであろう災害のために備え、迅速に対応できる体制を整えて行っていこうと考えています。

生活の場で世の光となる
3.今後の目標、計画

私たちのルーツとなるスウェーデンの聖約教会は、かつて国教会の人々から「聖書の虫」と揶揄(やゆ)された歴史があります。伝統や常識を疑いながら、主のみこころを求め、聖書には何と書かれているかを常に追求し続けたためです。
この話が過去の美談で終わってしまうことがないように、兄弟姉妹一人一人がみことばに聞き従う習慣を身に着けることができるようにと願っています。
伝道や教育のための集会やキャンプ等の活動は、教団としても各個教会でも行っていきますが、マンネリ化したものにならないようにと願っています。また、イベントは伝道方法の一つではありますが、いちばんの伝道は、信徒一人一人が家庭や職場、学校や近所づきあいの中で世の光となり、キリストを証していくことですから、教会の交わりが、それを支える癒しと励ましの場所となることを願っています。
今年になり、新型コロナへの対策として、様々な伝道活動や教育セミナーなどのオンライン化が進んでいます。その結果参加者が拡大し、未信者の家族がウェブ礼拝を通して福音に触れる機会ともなっているようです。キリスト教会は二千年の歴史の中で、何度も疫病の試練を乗り越えてきました。そして、この試練の中でむしろ福音宣教の拡大と前進という結果を生み出してきました。
同じ主が、現代も生きて働いておられるので、教団教派を超えた諸教会の皆さんと協力しながら、一緒に福音宣教の前進と拡大のためにお仕えさせていただければと願っています。(川口達也=教団議長)

 

 

ユースセンターうしまど

信仰決心、霊的訓練、献身召命の場
ユースセンターうしまど

教団所有の宿泊研修施設、ユースセンターうしまどは岡山県瀬戸内市にあります。この施設はスウェーデン聖約教会(現Uniting Church of Sweden:UCS)の100周年記念事業の一環として1980年に献堂されました。
教団では宣教師の時代から今日に至るまで「バイブルキャンプ」をとても大切にしており、自然の中で行われるキャンプを通し、参加者が聖書のみことばによって様々な決心へと導かれ、信徒スタッフは奉仕を通してよき霊的訓練を受け、信仰が整えられています。教団における洗礼者と献身者の多くは、キャンプを通して主に導かれた人たちです。
当時の建設委員会の報告が残っています。「この施設が新しい魂の覚醒の場となり、主にある兄姉たちの交わりの場、霊的向上の場となることを心から祈っている。」(1981年度教団年報)
施設面では、99年に新しくチャペルが増設され、2017年には外風呂が改築設置されました。教団内外をはじめ、広くキリスト教界の団体や個人にご利用いただいて好評を得ており、当教団における超教派での貢献のひとつと受け止めています。
(吉岡創=ユースセンター局長)

 

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