伊藤氏「『天皇代替わり』でできたこと、できなかったこと」 天皇制支える国民から脱却を NCC靖国神社問題委員会 天皇代替わり問題総括集会

大嘗祭の1年前から天皇代替わり問題を考える取り組みを行ってきた日本キリスト教協議会(NCC)靖国神社問題委員会(星出卓也委員長)は16日、第7回目の集会として、天皇代替わり問題総括集会を、東京・新宿区西早稲田の日本キリスト教会館で開催した。テーマは「大嘗祭より1年『天皇代替わり』を総括する~できたこと、できなかったこと~」。天皇制史を専門とする歴史家の伊藤晃氏(元千葉工業大学教授)が「明仁天皇の30年は何だったのか」を中心に講演した。
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最初に、伊藤氏はこう語った。「今回の代替わりは昭仁天皇の主導によって行われた。これは私たちの考えでは憲法違反だ。だが、国民はそのことをほとんど問うことなく、むしろ天皇の主張を支持した。これは多少の運動が成立した30年前の代替わりとは少し違っている。それは戦前戦中のイメージがある裕仁と、民主主義的天皇に見える昭仁との受け止め方の違いであったと思う」
「自分が主権者になっているはずの戦後民主主義と天皇の存在とが矛盾するとは考えていない」国民の内面が、天皇を存続させている理由だと指摘。その上で、「明仁天皇モデル」について説明した。「60、70年代は、人民勢力と国家との和解の一方で、社会的現実の中に多くの矛盾、対立が発生した。これらをとらえて、環境問題、都市問題、消費者運動などの新しい社会運動が生まれた。この時期に皇太子時代の明仁は、自分の天皇のあり方を模索。被災地を訪れたり、慰霊の旅を行うなど、行動することによって、国民に身をもって心の持ち方を教え、国民の平和意識を『日本の平和』に誘導した。こうして明仁天皇は国民から見て民主主義的天皇、護憲天皇になった。だが、これは本来の『主権者たるべき人民』と対抗関係にある」

講演する伊藤晃氏

「徳仁新天皇は明仁モデルを引き継げるか」について、、、、、

2020年1月29日号掲載記事