第7回首都圏宣教セミナーで竿代氏 「地域重視」の教会形成を実践

竿代照夫氏

「第7回首都圏宣教セミナー」(セレブレーションOCC宣教協力会主催)が11月23日、東京・千代田区神田駿河台のお茶の水クリスチャン・センターの会場とZoomによるオンライン配信で行われた。講師の竿代照夫氏(イムマヌエル綜合伝道団牧師)が「地域に根ざす教会─中目黒でのささやかな実験」をテーマに講演した。当日は会場とオンライン合わせて約80人が参加した。
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竿代氏は、3年半前までインマヌエル中目黒キリスト教会(以下・中目黒教会)の主任牧師として奉仕。牧師、宣教師としての自身の歩みと共に、そこでの地域宣教について分かち合った。
竿代氏はケニアで18年間、教会形成の働きに従事。1998年に帰国すると、中目黒教会の前身の主都中央教会に赴任。同教会は、戦後まもなく東京の真中で福音を伝えようとのビジョンで、同伝道団初代総理の蔦田二雄氏によって創設された丸の内教会にその始まりを持つ。その後、渋谷区広尾に移転し名前も主都中央教会に変更。2002年には目黒区に217坪の土地を取得し新会堂を建設。名称も教会員同士で議論の上、地域に根差したものに変更した。
中目黒教会は、丸の内教会、主都中央教会時代の伝統、特色を継承しつつ「地域重視」を加味。そのミッションステートメント実現のため、第一に会堂に工夫をこらした。設計家と話し合い、3階を礼拝堂に、1階を地域に開かれた場所とするために、「オアシスホール」とした。そこは二面道路に面しており、外から見えるようガラス張りにしてある。月曜日を除く週日の朝9時から夕方5時まで、誰でも入れてくつろげるスペースとした。コーヒーも無料で提供している。
第二に、自治会、町内会への協力。毎年、有料のチャペルコンサートを開き、その入場料の半分を、自治会の歳末助け合いに献金した。自治会活動には宗教色のある祭礼以外の活動には参加、協力した。特に「桜祭り」では教会でコンサートを開いた。また、区が所有する会堂隣の空き地の緑地保存運動に協力。更に目黒区保護司として近隣の小中学校での証しの機会を得た。
第三に、聖書を読む会、手芸教室、押し花アート教室、賛美歌を歌う会などをオアシスホールで行うことによるプレ・エバンジェリズムを効果的に活用。「ガラス張りの中でするので、通りがかりの人が『何やっているのだろう』と覗(のぞ)く。そういう方には『どうぞ』と言って入ってもらう。ささやかだが、伝道のチャンスとして用いた」
第四に、防災拠点としての教会。「耐震構造の会堂で、緊急時には避難場所として近隣の方々を受け入れられる。『食料、水などの備蓄があるので、まさかの時はおいでください』と町内会の方々に告知した。目黒区の諸教会と協力し、教会防災ネットワークも立ち上げた」
最後に、「これまで教会は世の中から隔離した存在という側面が強かった。しかし、日本のすべての教会がコミュニティー・チャーチになり、世の光として地域で輝くことが大切なのではないか。コミュニティーチャーチ作りを日本の教会の宣教戦略として、みんなが共有できるならすばらしい」と結んだ。