ミャンマー正義に各国教会が祷援 現地福音派「教会は光、預言者」

２月１日の軍事クーデターにより、ミャンマー国軍が軍政を敷くミャンマーでは、依然国家顧問や大統領など政治指導者の拘束が続き、抗議する市民に対する軍の弾圧は激しさを増している。各国から政治的な働きかけがなされる中、キリスト教会も国を超えてミャンマーの人々を支持する動きが広がっている。（４月11日号で一部既報、２面に関連記事）

ＡＥＡ・ＭＥＣＡ 緊急祈祷会

アジア福音同盟（ＡＥＡ、ゴッドフレイ・ヨガラジャ議長）は３月31 日、緊急祈祷集会「ミャンマーとともにミャンマーのために祈る」をオンラインで開催。画面で確認できる参加者数は300人に上った。集会は総主事のバンバン・ブディジャント氏の司会で進められ、「ミャンマーの国家、政府、指導者のために」「ミャンマーの人々と路上で正義求める人たちのために」「ミャンマーの教会とその指導者のために」、三つの祈りのセッションが開かれ、それぞれに祈祷課題が挙げられ、複数の代表祈祷が捧げられた。
初めにヨガラジャ氏があいさつと奨励。「今日の集会は、何かのプログラムでもイベントでもない。主に叫ぶ時だ。義人の祈りには力がある。心を一つにして祈るなら、神は聞いてくださる。今は主の介入と癒やしと回復が必要だ。人々は傷ついている。教会はチャレンジを受けても預言者として語り、指導者たちが指導力を発揮できるように、主の血潮で覆い、勇気が与えられるように。心を一つにして祈ろう」と語った。
各セッションの冒頭では、ミャンマーの政情、ミャンマーの人々、教会の現状が報告された。
ミャンマー福音同盟（ＭＥＣＡ）議長のエイ・ミン氏はミャンマーの政情について報告。「多民族国家であるミャンマーは、英国からの独立後も、50年間軍事政権による圧政を経験してきた。スーチー氏の率いるＮＬＤが選挙で勝利し民主化が進んだことで、人々は平和と繁栄を期待していた。その中で２月１日のクーデターが起きた。国家指導者は拘束され、人々は恐れ、虚偽の闇が国を覆い、殺人、流血、抑圧、恐怖、涙、の苦しみを受けている。抗議デモには若者も老人も参加しているが、軍隊は武力により、子どもさえ殺し、至るところで道路が封鎖され、爆破されている。無法状態だ。次に何が起こるかわからない。ミャンマー市民である私でさえ、どう祈ったらいいのかわからない。この状況への神の介入を祈ってほしい。祈りとともに、苦しんでいる人への支援も必要だ」と語り、困難への救済とともに、「公正な裁判が行われるように」「クリスチャンが神学的霊的に一致し、人々に主への賛美をもたらせるように」と課題を挙げた。
ＡＥＡ女性委員会委員長のメイ・パン・リン氏は、ミャンマーの人々について報告。「親は子を失い、妻は夫を失っている。500人以上が殺された。特に幼い子どもたちが理由もなく殺されている。女性と子どもが大変困難な状況にある。私の住むミャンマーの首都でさえ安全ではない。外は危険なので家にいる。外出には細心の注意を払わなければならない。以前は集まって祈ることもできたが、今はそれすらできない。事態は暴力的で非人道的。都市だけでなく、地方の人たちも困難にあい、隣国タイに逃げた人たちも追い返されている」と語り、「指導者が悔い改めるように」「偶像礼拝が盛んな祖国が悔い改め、神に立ち返るように」と課題を挙げた。
ＭＥＣＡメンバーで牧師のＴＴ氏は、ミャンマーの教会について報告。「教会は、軍事クーデターに反対する声明を出し、路上に出て人々とともに抗議する。なぜならこの国にあって教会が光であることを私たちは理解しているからだ。この国の教会の素晴らしい点は、過去３度にわたる軍事政権の圧政に対して、毅然とした態度を取り、荒野の洗礼者ヨハネのように預言者として行動したことだ。同様に、必要を覚えている人のためには、サマリア人としての働きも行なう。モーセが同胞と苦しむことを選んだように、教会は、ＭＥＣＡのメンバーは、ミャンマーの人々とともに苦しむことを選ぶ。２千500人以上が拘留され、120人以上が起訴された。多くの人が信じられないほど悲惨な方法で殺されている。彼らは、政治のためではなく、正義のために死んだのだ。正義がこの国を覆うように。神が聞かれる。私たちは必ず勝つ」と語った。
代表祈祷の後、参加者は30秒間、ミュートを外してマイクをオンにし、それぞれの言葉で、ある者は異言で、祈った。
司会のブディジャント氏は、「祈りのセッションはこれで終わるが、ここから我々は祈り続けていく」「この祈りは、後の世代、これから生まれてくる子どもたちに愛を届ける祈りだ」と語った。

 

ＷＣＣ・ＣＣＡ共同声明 「深い懸念と警戒」

世界教会協議会（ＷＣＣ）とアジアキリスト教会議（ＣＣＡ）は３月31日、各総幹事連名で共同声明を発表。「ミャンマーの状況が悪化し続けていることに深い懸念と警戒を表明」した。
声明では、この10年間続いた比較的平和な状況を大部分の市民が宗教指導者と同じ様に、支持していることを確認。軍による彼らの抗議行動に対する取り締まりを非難し、それがカレン民族との紛争を 再び激化させることに失望を表明。国際社会に対して、軍事政権に対する建設的な圧力を強めるよう、呼びかけている。
さらに、国連安全保障理事会と東南アジア諸国連合に対し、軍事政権が国民の尊厳と人権保護のための行動を取るよう促し、公正な選挙の実施を求め、各国にはオンラインでの緊急国際サミットを呼びかけ、軍に武器を提供している国や企業にもその支援をやめるよう求めている。