3月11 日の大津波で教会堂と牧師館が全部流出してしまった保守バプ・気仙沼第一聖書バプテスト教会(嶺岸浩牧師)。あれから11か月あまり、同教会は現在、復興した愛隣オフセット印刷社(阿部克衛社長)の一室を借りたチャペルを拠点に、国内外から入れ替わり立ち替わり応援に来るボランティアと共に、仮設住宅に支援物資にトラクトを入れて、福音の種まきを続けている。

 気仙沼でもこの日一番という寒さだった1月28日、仮設住宅に支援品を届ける活動に記者も同行。支援物資はお米やカップラーメン、ホカロン、湯たんぽ、靴下、Tシャツなど。それに福音伝道文書も入れてある。
 メンバーは市内にある2個所の仮設住宅を一軒一軒尋ねて支援物資を届けていった。
 「こんにちは。教会から支援物資を届けに来ました」。ドアを開け出てきた70過ぎぐらいの女性の頬がゆるんだ。そして、「ありがたいねえ。皆さんのお陰で、またがんばれます」と感謝した。
 当日は嶺岸牧師夫妻と同教会のメンバーと、この支援活動のために週末、神奈川県からかけつけたカンバーランド長老・高座教会のブラジル人、スペイン人チームが参加。市内には3千451の仮設住宅があるが、当日は100件を目標に2個所の仮設住宅を手分けして回った。
 驚いた点は、どの仮設の住民も、キリスト教、教会に対する拒否反応が全くないこと。 「教会から来ました」と言って訪ねると、どこの仮設の人達も「教会さん、いつもいつも、ありがとさん」と感謝する。「皆さんを応援しにブラジルから来ました。イエス様はあなたを愛しています」と言うと「そんな遠いところから。ありがとう。なんとか頑張らないとね」と笑顔で答えていた。
 震災直後から国内外からの応援を受け、避難所や地域の被災家屋、仮設住宅に支援物資を届けてきた嶺岸牧師は、こう語る。「支援活動で気仙沼の人々の心も開いてきており、福音のメッセージにも耳を傾けてくれ、救われる人も起こされている。だから出て行くことに喜びを感じています」
(中田 朗)

写真=仮設の住民に支援物資を届けるボランティアチーム