安全保障関連法案強行採決に抗議する声明

内閣総理大臣 安倍晋三殿

2015 年7月17

日本ホーリネス教団 教団委員会

委員長 中西雅裕

総務局長 島津吉成

福音による和解委員会委員長 平野信二

「神は高ぶる者をしりぞけ、へりくだる者に恵みを賜う」

(聖書・ヤコブ書4 章6 節)

7月15 日、安全保障関連法案が衆議院特別委員会で、反対の怒号が飛び交う

なか強行採決されました。続いて16 日、衆議院本会議でも強行採決され、可決

通過しました。日本ホーリネス教団は昨年8月15 日、かつての戦争責任を表明

した教団として、安倍晋三内閣による集団的自衛権の行使を容認する閣議決定

に対して抗議し、その撤回を求めました。それを無視してなされた今回の暴挙

に対し、法治国家の基盤を揺るがす危険な行為として厳重に抗議し、憲法違反

の同法案を認めないことを表明します。

歴代の内閣法制局が憲法上認められないとしてきた集団的自衛権の行使を、

時の政府の恣意的な解釈によって可能とする今般の法案審議の手法は、憲法99

条【憲法尊重擁護の義務】に明白に抵触し、違憲であることは論をまちません。

今回の法案については、おおかたの憲法学者が違憲あるいは違憲の疑いを否定

できないと判断しています。また、日本国憲法は第98 条【最高法規、条約及び

国際法規の遵守】において、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に

反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、そ

の効力を有しない」ことを規定しています。

よって日本ホーリネス教団は、立憲主義・民主主義の理念に基づき、また、

聖書の命ずるところに従い、もしも安全保障関連法案が可決成立したとしても、

これを遵守すべき法規として認めることはできません。集団的自衛権の行使を

容認する閣議決定から、安全保障関連法案の強行採決に至る法律審議の進め方

は、野党各党の質問に真摯に答えようとせず、衆院憲法審査会で参考人として

招致した3人の憲法学者らが全員、「集団的自衛権の行使容認を含む安全保障法

案は憲法違反」と判断した声にも耳を貸さず、多くの国民が「反対」や「懸念」

を表明している世論調査をも無視するものであり、日本国憲法の根幹である「国

民主権」の原則をないがしろにする高ぶりと言わざるを得ません。

人類の英知でもある聖書は、為政者の「高ぶり」は国を滅びに至らせると警

告を発しています。「国民の命を守る責任」を表明するのであれば、わが国と国

民に危険を及ぼすような強引な政治手法を速やかに改め、当法案を廃案とする

よう強く求めます。