ミャンマー、香港を中心に、アジア各地で市民や民間機関への圧迫が増している。「民主化」のもろさが露呈し、教会活動にも影響が出た。国際社会も手をこまねる状況だ。2月以降ミャンマーでは、市民らによる平和的な抵抗運動が展開されてきた。初期には現地在住の日本人からもレポートが届いた。やがて事態は流血の抗争、弾圧にいたり、教会にも軍による破壊行為が広がった。

アジア福音同盟、アジアキリスト教協議会などを通じて、国際的な祈りと連帯が広がった。日本でも在日ミャンマー人に寄り添ってきた、マイノリティ宣教センター共同主事渡邊さゆり氏を中心に、毎週金曜9時の祈祷会が継続する。ミャンマーに多い仏教徒とともに諸宗教の祈りにも展開し、具体的な支援団体「アトゥトゥミャンマー支援」も設立された。厳しい情勢下だが、現地で500人が信仰告白したというニュースもある。

中国共産党成立100年、習近平の「歴史決議」、2022年「北京オリンピック」開催など中国の集権化と国際的影響力が強まっている。20年の国家安全法成立以来、香港の自由の幅は狭まり、メディア、組合などの解散が相次ぐ。現地で信仰に立った抵抗をつづけた「香港牧師ネットワーク」も9月に解散した。その中心人物の楊建強氏は、同月移住先の英国で逝去した。日本では香港のために祈り続ける有志の牧師の会が定期的に開催され香港の教会や海外移住者の祈祷課題を共有した。同会メンバーで中国・香港のキリスト教史専門家の松谷曄介氏は『香港の民主化運動と信教の自由』(教文館)を刊行し、香港の教会史、現情勢の神学的考察の土台を提示している。

そもそも日本と中国のキリスト教会の関係は歴史的に密接だ。戦中は日本の教会リーダーらが軍事下を背景にしつつかかわった。戦後は中国を逃れた多くの宣教師たちが日本の教会の土台を築いた。中国の公認教会、地下教会との関係も続いた。中国共産党成立100年について本紙で連載した。こんな中、台湾発放送局 GOOD TVの日本拠点ができた。

近代に西洋から伝来したアジアのキリスト教は現地の文化、政治体制と緊張関係にさらされることも多い。一方そもそもキリスト教はアジア由来でもある。10月に開かれた「アジア宣教会議2021」では、アジアの多様な課題を共有した。デジタル化を背景に広がる「Z世代」は、共通の社会認識、行動力をもつ。世代、地域、分野を超えた対話への期待も語られた。

クリスチャン新聞web版掲載記事)