誰もが迎える死にどう向き合うか。『ナウエン・セレクション 死を友として生きる』(ヘンリ・ナウエン著、廣戸直江訳、中村佐知解説、日本キリスト教団出版局、2千420円税込、四六判)の著者は霊的指導者として知られる。交通事故を通して自らの死を現実のものとし、死は終わりではなく、生き残るだれかのために意味をもたらすことに気づく。今回初訳収録された『鏡の向こう』に事故前後の心の移り変わりが記される。


『聖書の「死と天国」』(鈴木崇巨著、春秋社、2千530円税込、四六判)では聖書全体から死の意味、迎え方を読み取っていく。聖書66巻に書かれたことには忠実に、書かれないこと、あるいは黙示される「隠されたこと」は慎重に扱う。神の国にふさわしい生き方を勧める。長い牧会の経験から遺族のための葬儀、クリスチャンではなかった人の葬儀の可能性についても考察する。


『キリスト教の死生観』(上田光正著、教文館、2千750円税込、四六判)では、死を教義学的な観点から考察する。神や霊という永遠の視点、記憶論による人間の生の捉え方、限りある生を生きるすべての人に開かれた福音、この究極の言葉を語る教会の使命を述べる。


イエスが語った「神の国」は、どのようなイメージのネットワーク、共同体の影響関係の中で共有されたか。『イエスの「神の国」のイメージ』(大貫隆著、教文館、4千950円税込、四六判)では、死後の世界、十二弟子の位置、イエスの変貌などの聖書記述の検証、同時代のユダヤ主義の終末論との比較などを通して、個別の視点から全体像を探る。


コロナ禍はとどまることがなく、人々にとって死が間近になった。そんな2021年にオンラインで開催された各聖会が『わたしたちの希望 パンデミックの時代に 2021ケズィック・コンベンション説教集』(大井満責任編集、千430円税込、日本ケズィック・コンベンション、四六判)にまとめられた。それぞれ短い説教の中に希望の根拠、罪の現実、神との関係の回復、実際に聖霊に満たされて歩む生活の勧めがある