三浦綾子の名作『塩狩峠』『海嶺』はそれぞれ映画化され、教会での活動にも用いられてきた。三浦綾子生誕100年を前に、文書伝道団体いのちのことば社では両映画を、現代の視聴者の目にも耐えよう高画質化するプロジェクトを立ち上げた。だが企画開始早々、大きな壁が立ちはだかった。両映画のオリジナルフィルムが14年前の水害のために失われていたのだ。

映画「海嶺」の1インチVTRテープ

 

『塩狩峠』は明治時代に実在した一人のキリスト者の犠牲的な愛の生き方を描いた。『海嶺』は幕末、漂流した漁師たちがキリスト教に出会い、日本宣教と聖書翻訳の礎を築くストーリーだ。『塩狩峠』は1973年12月、『海嶺』は83年12月に映画公開された。

両映画のDVD化はされたものの、劣化し古ぼけた映像の印象は否めない。今回の高画質化では、オリジナルネガフィルムから、最新の人工知能(AI)技術を駆使し、鮮明な映像を再現し、Blu-rayディスク化し、後世への遺産とすることをめざすものだった。

作業に必要だったオリジナルネガフィルムは、いのちのことば社旧社屋にあったが、2008年の台風により、旧社屋が水没して失われた。企画が危ぶまれたが、21年7月に新たにオープンリールの1インチVTRテープが現存することが分かった。このテープから既存のDVDよりも鮮明な映像ができる。

高画質化作業の様子

ただしこの高画質化の作業自体も大きなコストがかかる。テープのアナログ映像のデジタル化、AIによる映像の高解像度化、専門の技術者による色調補正など、一作品あたり少なくとも100時間の作業時間がかかる。

このため、いのちのことば社では、この事業と作品の意義を伝え、支援者と協働して目標を達成するクラウドファンディング・プロジェクト(https://readyfor.jp/projects/shiokaritoge-kairei2022)を立ち上げた。

オンラインで資金を募り、目標は600万円。期間は5月31日までだ。支援は3千円から30万円のコースを用意している。1万5千円のコースでは、「塩狩峠」もしくは「海嶺」のBlu-rayディスクと公開当時のフリーペーパーなどが返礼品となる。さらに上位のコースでは三浦綾子作品の新刊『信仰エッセイ選 平凡な日常を切り捨てずに深く大切に生きること』、漫画『塩狩峠』、漫画『海嶺』、復元映画上映会などの特典が付く。

 

 

インターネットでの支援が難しい場合、いのちのことば社で代理支援を受け付ける。問い合わせ先はいのちのことば社 ライフ・クリエイション クラウドファンディング担当原島。℡03・5341・6927 、Fax 03・5341・6912、Mail harashima_m@main.wlpm.or.jp

 

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