クリスマスと平和の絵画 カフェで展示 渡辺総一「平和への祈り」展 28日まで
左は《もはや戦うことを学ばない》。剣を打って鋤に変える人物が描かれる
聖書を主題に描く画家の渡辺総一氏の「平和への祈り」展が埼玉県越谷市のCAFE803で12月6日から始まった。28日まで開かれる。午前9時~午後6時(土日午後5時まで、15、19、22日休み)。
イザヤ2章4節の「剣を鋤に」を基調に、この2年間で制作した聖書を主題とした、パステル、水彩、油絵と多様な表現の作品40点以上で、クリスマス、平和、救いのメッセージを届ける。その展示の様子を見てみよう。
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東武スカイツリーライン越谷駅から徒歩5分弱、旧日光街道沿いのカフェは、伝統的な店の雰囲気を伝え、開放的で落ち着きがあった。
カウンター席、ソファ席、小さな子どももいられる小上がりなど、地域の幅広い人々が集えるコミュニティースペースともなっている。
このあたたかな空間に、渡辺さんのやわらかな色合いの絵画が調和していた。
渡辺さんが主宰するワタナベ・アートでは、障がいを持つ人と健常な人の作品も同時に展示する「アールブリュット展」を開いてきた。「越谷市のイベント『越谷技博』として2020年にCAFE803で開き、今年も技博協力者として展示していただいたことをきっかけに、オーナーが私の絵画に注目し、今回の展示にいたりました」
展示はカウンター席横の《もはや戦うことを学ばない》から始まる。
このイザヤ2章4節をもとに剣を鋤に打ち直している人物を描く。
同聖句は、ニューヨークの国連広場にもかかげられている。「そこには、たくましい人物が大きなハンマーで打っている像がある。私のイメージはまた違っていました」
平和、美術、信仰は、渡辺さんの人生を貫いてきた三本柱だ。
「もともと信仰を持つ前から、大学生のころ平和教育の講義や広島の原爆資料館の展示に衝撃を受けたり、キング牧師の非暴力への関心を持たらされたりして、それらをきっかけに信仰にも導かれ、またその後、美術の志をも与えられました。私の50年の歩みは平和と信仰と美術が重なっています。ただ現実は反対方向に向かい、難民、寄留者の方々は増え、ウクライナでの戦争が起き、日本も軍事増強に向かっている。戦争への道を歩まないように祈り続けたいと思います」
作品は《羊飼いの礼拝》、《主の産声》などクリスマス場面を描いたものもあれば、《神への信頼》、《主が共にいる》など聖書のメッセージを伝えるもの、冒頭作品と同じ剣と鋤のモチーフの油絵《平和を作り出す人に》、落ち穂拾いを描いた《寄留者のためにら落穂は残さなければならない》、など平和のテーマもある。
「最終的に神の救いを伝えたい」と展示の最後に《復活の朝》が位置付けられていた。
また子ども連れも多い店内に合う聖書絵本『The Newborn Baby’s Bible Study Lesson』(未邦訳)の挿画17枚も展示。色のみで表現される天地創造につづき、動植物がにぎやかだ。
数年前に白内障の手術後経過が悪く、床で西岡常一さんのインタビュー放送の録音CD10枚を聞く機会になり、法隆寺が1000年先まで残ることを意図して建築されたという話が心に残った。「自分は1000年先まで考えて制作していたか。回復後は、油絵具の研究も深め、100年、200年持つものをと願っています」
病気とともにスランプにも見舞われた。その時に描ききれなかった《和解》という油絵の作品を今年完成することができた。
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すべての作品について、聖書の言葉が作品リストで案内される。様々な人生の節目、出会い、世界の動きに応答した作品はカフェという日常空間で地域の人々に親しまれ、多くの発見と出会いを提供するにちがいない。
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