震災復興から持続可能か福祉社会に向けて宗教は公共的役割を果たせるか?
地震・津波・原発事故など未曽有の災害を経験した日本は市民と政府・行政の協働から「新しい公共」の構想をもって再生できるか? 講演とシンポジウム「震災復興から持続可能な福祉社会に向けて宗教は公共的役割を果たせるか?」(公共福祉研究センター、公共哲学カフェ)が3月20日、東京・文京区の文京シビックセンターで開かれた。
稲垣久和氏(東京基督教大学教授、公共福祉研究センター長)は主題講演で「宗教が本気で公共的役割を果たそうとするなら、『人生に意味を与える』と共に『高収入だけが人生の目的』という市場主義の意識転換が必要」と強調した。
シンポジウムで山崎美貴子(東京ボランティア・市民活動センター所長)は、「被災地では人と人、人と行政とがつながり合い地域力を高めることが大切」、川上直哉(東北ヘルプ事務局長、日基教団・仙台市民教会牧師)は「被災者への傾聴と伴奏、死者への慰霊と鎮魂(追悼と想起)などが宗教の公共的な役割で重要」と、ボランティア現場にいた者として語った。岡野守也氏(日本仏教心理学会副会長)は仏教者の立場から、「日本人の『和』『お互いさま』の心を育んできた仏教のエッセンスは、日本独自の福祉社会形成のための基本的理念になりうる」と語った。
写真=シンポジウムで発題する発題者