4月23日号1面:「DVカウンセラーに聞く! 大切な関係の守り方」 怒りで全てを失わないために
はこぶね便事務局は、長年、DV被害者支援・加害者更生の働きをしてきた栗原加代美さん(NPО法人女性・人権支援センター ステップの理事長)を講師に招き、はこぶねウェブセミナー「DVカウンセラーに聞く! 大切な関係の守り方」を、4月10日から3回にわたりオンラインで開催している。
最初に、はこぶね便のスタッフが、今回のウェブセミナー開催の経緯について説明。「栗原さんの著書『DVからの家族再生 加害者が変わる5つの条件』を読ませていただき、自分自身も含め、これは対岸の火事ではないと思った」と語った。
参加者は講師、事務局スタッフ含めて12人。牧師や宣教団体スタッフ、経営者や子育て中の主婦など、背景は様々だ。
第1回目のテーマは「怒りで全てを失う〔怒りの初期消去法〕」。「〝怒り〟は百害あって一利なし。だが、怒らない人はいない」と栗原さん。「怒りは理想と現実のギャップ、分かってもらえない時に出て来る。自分の大切にしている価値観、人格が認められない、満たされない時に起こる。その時に自分が何を大切にしているのかが分かる。それが守るべきものなのか、ゆがんだものなのか区別し、健全なものに変えていってほしい」
怒りのメカニズムを車の前輪(思考、行為)、後輪(感情、生理反応)に例え、「思考と行為を変えれば感情と生理反応(体調)はついてくる。変えられるのは自分の思考と行為、今と未来だけ。自分の思考をマイナスからプラスに変えれば、怒りは消える」と話した。
怒りを消す魔法の言葉として、⑴相手は精いっぱいの選択をしている(信頼)、⑵それはちょうどいい(行き詰った時)、⑶何でもあり(想定内をつくらない)、⑷良かった(良い面を見ていく)、⑸~にもかかわらず(マイナスをプラスに変える接続詞)、⑹大丈夫(悪い想像をしない)、⑺まあ、いいか(小さな事柄に執着せずに流す)、といった怒りと不安を消す七つのプラスの考え方を紹介。また、怒った時の表現方法としてのIメッセージ(自分の思考、感情を言語化する)、怒りの初期消去法として、⑴怒りの数値化、⑵リフレーミング(マイナス思考をプラス思考に)、などを紹介した。
講演後、参加者からは、「いろいろ聞いて、腑に落ちるところがたくさんあった。Iメッセージやリフレーミング、七つのプラスの考え方などを、自分の生活の中に取り入れていきたい」、「今日、怒ってしまったことがあって、自分の怒りの感情がどこにあったのか、思い返しながら聞いていた。やはり、もっとプラスの感情をもたなければならないと思った」、「昨年末に本を読んでいて、頭では分かっているつもりだったが、最近、ある出来事で怒りが爆発してしまった。怒りの感情のコントロールは本当に難しい、まだまだ初心者マークだなと、つくづく思った」などの感想が聞かれた。
また、「クリスチャンは、自分の正義ゆえに暴力的になることはないのか」との質問もあった。それに対し、栗原さんは「御言葉を剣に相手を裁いたり、攻撃するクリスチャン、牧師が確かにいるし、そういう方々がステップにも相談に来ている。クリスチャンはそうならないと思っている人もいるが、むしろクリスチャンにこそ怒りの初期消去法が必要だ」と答えた。
第2回目は17日で、テーマは「思いやりは選択〔7つの良い習慣〕」、「第3回目は24日で「幸せはここにある〔5つの基本的欲求の充足〕」。(次号に続く)