制約下で問われたアイデンティティー

JEA宣教委員会宣教研究部門調査レポート「コロナ禍のキリスト教会への影響に関する調査」(2021年春実施)より。アンケート結果は日本伝道会議の2年前大会(21年)で発表済みだが、今年書籍化予定

 

コロナ禍はキリスト教界にも様々な変化をもたらした。感染症予防のため礼拝時間の短縮や交わり・伝道の休止など、教会活動の縮小を余儀なくされたことでは、「教会とは」「礼拝とは」「交わりとは」といった教会のアイデンティティーと言える部分が改めて問われている。

一方で、日本福音同盟(JEA)宣教委員会宣教研究部門によるアンケートでも65%の教会が「導入した」と回答するなど、集会等のオンライン化が広く普及し、議論の余地はあれ教会の可能性を広げる役割も果たした。

その一つが、これまで教会に足を踏み入れたことのなかった層、クリスチャンではあっても様々な事情で教会に集うことができなかった層に、教会が届く手段としてである。コロナ禍の苦難を楽観視することはできないが、複数の教会への取材からは、近年のキリスト教会の変化と可能性が見えてきた。

 

礼拝継続を可能にしたオンライン

 

「ウォーキングしながら礼拝を聞くのが楽しみになりました」
これは求道者の言葉だが、教会の敷居が下がっている一つの象徴だろう。東京都板橋区にあるバプ連盟・常盤台バプテスト教会(友納靖史牧師)では、感染症拡大すぐの2020年3月からオンライン礼拝に切り替えた。感染状況を見ながら少しずつ緩和してきたものの、コロナ禍になって最初の一年は、求道者や新来会者、どうしても対面でなければ難しいという信徒以外は、ほぼ集まることなく礼拝を守った。

「礼拝の動画を配信し、視聴が難しい人にはDVDやCDに焼いて届けたり、教会でタブレット端末を購入して貸し出したりしていました。それも難しい方には、メッセージの要約が載った週報を毎週お送りしました。『一人も漏れることなく、全ての方が何らかのかたちで同じ礼拝をもちましょう』と、励まし合って進めてきました。コロナ前まではむしろ、日曜に教会に行けなければその週の礼拝には参加できない、という状況でしたが、コロナ禍では『たとえ時間帯は違っても、一週間の間に必ず礼拝を守る』という意識が高められていったと思います」と友納牧師は話す。

もちろん、オンラインゆえ礼拝姿勢の緩みは想定される。同教会では、「礼拝の守り方」を打ち出すべきでは? との議論もあったが、最終的には見送った。

「確かに礼拝姿勢を伝えることは大切ですが、たとえば求道者の中から冒頭の声も聞かれます。そういった機会を全否定するのではなく、どんなかたちであっても礼拝に触れることができる、関心のある方に『気軽にちょっと聞いてみて』と言えるということもまた、大切と思います。神様との関係がすでにできた方は、時間をとって静まって礼拝を聞くということをされていますが、そのことを自分で選び取るようになるまでは、『礼拝はかくあるべき』としてしまわないほうがよいだろう、と判断しました」

そうした方針が一助となったのか、同教会ではこのコロナ禍に新来会者が増えて洗礼を受ける人も出たといい、驚いたと友納氏は話す。

北海道苫小牧市にあるアッセンブリー・山手町教会(大坂太郎牧師)では、感染拡大後、教会本館で行われる礼拝を別棟の教育館「ベタニヤ館」にもオンライン配信することで信徒を分散させ、「集まる礼拝」を継続してもった。同時に、苫小牧から200キロ離れた広尾郡にある枝教会(大樹〔たいき〕伝道所)にも配信し、コロナ禍を機に二教会同時の礼拝を実現させた。

「伝道所のオンライン化は、実はコロナ禍の前から課題だったんです。それまでは常駐の伝道者が伝道や牧会的な役割に携わり、私が定期的に行って説教をしていました。『どうすればオンライン化できるかな』という感じだったのが、コロナ禍をチャンスに一気に〝インフラ整備〟しました」と大坂牧師は話す。

教会本館礼拝堂、ベタニヤ館、大樹伝道所。この三つの礼拝会場それぞれに、他の会場の信徒が礼拝する様子がプロジェクターで映し出される。司会者の呼びかけで互いに画面越しに手を振り合うなど、コミュニケーションは双方向。「同じ礼拝に共にあずかる」「共にいる」を感じられるための工夫だ。(4面に続く