「大宣教命令」を真っすぐに受けて未伝道地へ向かった19世紀の宣教師たち。その筆頭に上がる人物を絵本で分かりやすく伝えるのが『不可能からの出発ハドソン・テーラー 中国にキリストの愛を伝えた宣教師』(ジョージー・ワン文、ジェサー・アマル絵、すぎもとれいこ訳、いのちのことば社、880円税込、B5判)だ。後に宣教団体OMFとなる団体を創設する。本書はテーラーの幼少から中国出発に至る「準備期間」に焦点。そこで信仰によって「不可能」が「困難」に変わり、最後には「可能」となることを体験する。

 

医療の臨床とホスピス、教育の現場で先鞭(べん)をとった柏木哲夫氏の著作が相次ぐ。『幸せのかたち』(いのちのことば社、千320円税込、四六版)は、自身の経験や病院での患者、同僚との触れ合いのエピソードから「幸せ」について考える。「幸せのかたちは、人、時、場合によって変わる」が、「たましいの平安があるかないかが、決定的に大切」と言う。淀川キリスト教病院現理事長の笹子三津留氏との対談では、それぞれの医療者、教授、リーダーとしての歩みを振り返っていく。

 

 『苦しみの意味 信仰生活ガイド』(柏木哲夫編、日本キリスト教団出版局、千540円税込、四六版)では、病気、喪失、障害、災害など、様々な苦しみについて17人の牧師、カウンセラー、専門家らがそれぞれの切り口で語る。柏木氏によると、苦しむ人に対する「励まし」は「多く見られるよくない対応」だという。各著者の体験と回復の道筋が具体的な励ましとなる。

 


『牧師夫妻のがんばらない「恵老」生活 夫は人工膀胱、妻は人工肛門』(中村寿夫著、いのちのことば社、千760円税込、四六版)は、教会開拓を中心に、62年歩んできた夫婦の物語。健康法や食事といった現在の生活を語る間に、牧会を続けた日々、極貧生活や大病、などの苦労などが思いだされ、「『今』と『過去』が折り重なって、私、妻、そして夫婦、家族がある」と語る。

 

 

『老いと信仰 信仰生活ガイド』(山口紀子編、日本キリスト教団出版局、千540円税込、四六版)では、「老い」「認知症」「介護」「葬儀」などについて牧師、専門家らがそれぞれの観点で語る。同書編集中に、召天した加藤常昭氏は、人間的要求だけでなく、罪の赦しと復活を語ることを強調、編者の山口氏も「死は通過点」であり「栄光が待っている」と励ます。